中国鉄道の旅17 宜昌13:36〜2542次〜荊門16:13(硬座5.5元)
           荊門15:06〜1513次〜宜昌17:25(硬座17元)

 久々の華北。中国では(どこでも同じかもしれないけれど)、自分の住み慣れた地域から離れると、習慣、人々の性格、全てが変化し、面白いと同時に緊張するものだ。宜昌駅の切符売り場は大混雑。列の横入りは当たり前。いつもの調子で「行列しなよ!」と声をかけると、じろりと睨まれた。周囲の反応も冷たい。やっぱり南のほうがいいなあ。南では、言われたほうは照れくさそうに引き下がるか、少なくとも急がなくてはならない理由をまくしたてる。周囲も一緒になって「行列!」とやってくれるものなのに、なんだか寒〜い。おまけに駅前のボロ食堂で面を一杯食べたら3元。どう考えてもぼられている気がする。昆明なら2元だぞ。
 ともかくなんとも納得のいかない気分で駅舎へ。入り口では一人一人の身分証確認。外国人居留証を出したら、3人がかりで鳩首会議をした上で放免となった。中国人の場合、いちいち身分証番号をコンピュータでチェックしていた。一体なにがあったのだろう。
 本線からぴょんと外れた宜昌の駅は、狭いホームに多くの人で混乱していたが、始発列車のため問題なく窓側の席を見つける。全員乗り込んでみれば、まだ席には余裕がある。
 ゴトリと動き出す。出発前はいろいろあったが、動き出してしまえば初めて乗る路線は気分が良い。南とは違う並木、そしてそろそろ紅葉が始まっている。紅葉?そういえばもう何年も見ていないような気がする。なにしろわが故郷広西は常緑の都なのだ。気分が良くなり、車内販売でビールを購入。なぜかこんな場所で「北京ビール」。あとはのんびりするだけである。2時間半は始まったばかりの紅葉を眺めていればあっという間。もう少し長距離でないと、中国鉄路の旅にはふさわしくなかったのかもしれない。白く新しい駅舎が眩しい荊門に到着。スナフキン氏が迎えに来てくれていた。

 帰路は巻き戻しみたいなものである。でもひとつだけ違ったこと、それは車両。運賃が往復で異常に違うのは、実はこれが原因。往路は旧式の濃緑色の列車で窓からの風を楽しんだが、帰路は新型空調車。白とオレンジのツートンカラーの、見るからにスマートな車両。窓が開かないのは残念だが、座席も気持ちやわらかく、きちんとカバーがかかっている。そんな中でうとうとしながら宜昌へ戻った。

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