中国鉄道の旅18 昆明8:35〜K440次〜石林10:52(軟座往復割引40元)

 中甸ぱんだがやってきたので、いっしょに石林へ行くことにした。根っからの雲南人なのに雲南の誇る石林へ行ったことがないのは問題だし、大体鉄道に乗ったことがないという。というわけで今回は豪華に軟座で。といっても往復割引で7掛けくらいにはなる。
 朝、まずは軟座待合室を使おうと昆明駅に着いてみれば、駅員のサボタージュ。門が閉まったまま。そういうことやっていると旧日本国鉄みたいに解体されて人減らしされるよ…というか、現実にそういう話は出ているのだけれども。仕方が無いので寒い中改札前で待つ。長距離列車と違い、観光短距離専用のこの列車の場合待合室で待つのではなく、専用改札から直接入るのだ。
 ようやく開門。中国では非常に珍しい「電車」である。つまり機関車が牽くのではなく自力で走るわけで、前後はかっこよい(?)流線型。一見JR東日本のMAXに似ている。走る路線も新しい南昆線。トンネルと鉄橋で地形に関係なくすっとばす。ひそかに僕はこの列車のことを「昆明新幹線」と呼んでいる。車内も、軟座ということもあって、中国らしからぬゆとり。ある意味、非常にお勧めの列車である。
 列車は定刻に出発。乗客数は定員の半分くらいか。早速車掌のお湯配給サービスが始まる。続いてサニ族の衣装を着た旅行社の人が、石林駅からの観光団の案内と注文取りをはじめる。はなから観光団に参加する気のない僕は、気持ちの良い列車の揺れにまかせ、半分狸の居眠り。隣の中甸ぱんだに売込みしているようだが、知らんぷり。中甸ぱんだはこちらを指して「この人に聞いてくれ」と。結局旅行社の人があきらめたみたいだった。車窓を《12》で取り上げたベトナム国境方面への狭軌鉄道が走っていく。等高線に沿った直線の一切ない線路を小さな車両が亀のように進む。本当に新幹線から在来線を眺めているような気分だ。
 深い谷に沿って狭軌鉄道が南へ離れていくこちらは一路東へ向かう。地形がなだらかになり、ボコボコと石柱が立ち始めると、間もなく石林。快適な列車の旅も終着駅に近づく。新線だけあって石林駅もピカピカだ。改札の外に出ると、車の客引きが寄ってくるが、ここは大石林区まで、その先に佇んでいる馬車で行きたいところ。馬の足音と日射、そして少し冷たい風のハーモニーにいつしかまどろんでいた。

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