中国鉄道の旅  第4回 来賓〜南昌(458次直快 1109km/21時間47分/117元(硬臥中段))

 小平陽在住時代、北京へ上がる必要が出て、こんな乗り継ぎをしてみました。大変だといわれている切符の購入も最近では大分良くなっているようで、地方都市ならばこんなことも可能です。第4回、第5回2話連続でどうぞ。ちなみに、この列車、時刻表での表記が南寧〜南昌に戻りました。どうやら部分廃止の恐れはなくなりました。また、2000年11月の時刻改正で1558次列車に変わっています。

 115日、来賓科技局Kさんの知り合いの車で、17時過ぎに来賓駅へ滑り込んだ。来賓駅では指定券が買えないため、まず柳州へ出て、そこで明日の北京行寝台をとる予定であった。指定券などという面倒くさいものを扱っていないかわり、来賓の出札はすばやい。すぐに1723分発の南昌行458次の切符を売ってくれる。これが大きな駅では、出発まで30分を切っていると、乗れない可能性すらあるのだ(北京などは要注意!)。すぐに改札。第回でおなじみの合山行きが、今日は遅れてまだ停まっている。そして合山行の停車している線路とホームとの間に、458次は滑り込んできた(合山行の乗車は終わっているとはいえ、少し危険である。)。旧態依然の旧型の列車(俗にグリーン車と呼ばれるダークグリーンの車両)に乗車してみると、それほど込んでいない。列車員に、寝台は余っているのかと聞くと、軟臥でも硬臥でもお好きなほうをどうぞといわれる。おまけに、お食事中にお邪魔したにもかかわらず、愛想もよい。「日本人、メシメシ(この単語は中国で最もポピュラーな日本語。他にバカヤロやヨシなどもポピュラー。いずれも近代史もののテレビドラマの影響と思われる。)」といいながら車内補充券を出してくれる。そこでさっさと計画変更、「近づけるときに北京に近づく」という理屈をつけて南昌までの硬臥を手に入れた。これほど簡単に寝台が取れるとは思ってもみなかった。しかし、この素敵な列車、全国版時刻表上では柳州から南昌までの運行となっている。近い将来、南寧〜柳州間が廃止されるのかもしれない。来賓住民としては、杞憂に過ぎないことを祈っているのだが。

さて、柳州を出発する頃には、外も真っ暗である。車内売りの弁当を食べ、お茶でも飲もうと思ったら、必携品の蓋付きカップを忘れてきたことに気がついた。仕方なくミネラルウォーターを買ったが、長距離列車内でのお茶は必要不可欠なだけに、少しがっかりした。出発間際まで科技局と一緒に農村へ言っていたのが敗因だった。ところで4列ぐらい先の若き娘さんが、車内販売のサトウキビを買うと猛然とかじり始めた。旧型車両は窓があくので、こういう時便利である。かじり滓を直接外に出している。50cmはあろうかというサトウキビはあっという間に植物性有機質として線路際にばらまかれた。中国人の歯はたくましい。車掌が時刻表を売りに来た。僕が見ていた全国時刻表を見て、「何だ、持っているのか」と言う。10月の改正から1ヶ月以上経っているのだから、持っていない訳が無い。「柳州地区版もある」と見せてくれたが、そちらに至っては改正前から来賓駅で買って部屋に張ってある。柳州鉄路局は商売熱心なのか、この柳州版時刻表は様々な列車で車掌が売りに来た。

  2151桂林着。ここのホームで、お茶っ葉とカップを売っていた。ほっと一息。車内の電気も消されたことだし、寝ることにする。   翌朝、株洲到着直前にはっきりと目が覚める。夜行列車に乗ってもがめつく寝るようになった自分に驚く。でも、ここからは初めての区間なのでできれば寝たくない。7:29、進行方向を変えて出発。湖南省と江西省を隔てる丘陵地帯へと登っていく。広西を出てくるとき、まだ一部の田んぼには2期作目の水稲が残っていたが、ここでは当たり前のように田んぼには株しか残っていない。だから「株洲」。ギャグも寒いが風景も寒々としている。中国の列車に乗っていると、右から左へと時間をやり過ごすのが得意になるのか、車窓を眺めるうちに時が過ぎる。線路が複雑に絡み合ってきたかと思うと13:38、あっという間に向塘に到着。ここから日本でも話題となった京九線(北京〜香港)1駅北上し、14:10、江西省の省都、南昌に到着した。改札手前に降車客専用の乗り継ぎ切符売場が設置されていて、今晩の北京行きの切符が入手できた。中国では乗り継ぎ列車の切符は現地でしか買えないので(オンラインではない)、この制度は便利である。硬臥、軟臥とも売り切れで硬座になり、少々きつそうだが、最悪の場合ここから飛行機で北京に飛ぶかもしれないと思っていただけに、ほっとした。出発までまだ3時間半もあるので、荷物を預けて街に出よう。江西省省都南昌、地味な街に見えるが、実は人民解放軍創設の由緒正しき街なのである。192781日ここ南昌で中国共産党は武装蜂起した。その記念館でも行ってみようと思った。

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