中国鉄道の旅    第5回    南昌〜北京西(68次特快  1449km/20時間33分/151元(硬座))

 第4回に引続き、来賓〜北京西の後半です。この列車は2000年10月の改正でK68次となり、列車種別が快速となりました。以前は中国の列車種別は、快速、特快、直快、快客、普客が原則でしたが、2000年の改正で特快、快速、普快、普客となっています。

11月6日、人民解放軍記念館を参観し、解放軍がどうやってこの広い中国の統一を行なったのかに思いをはせ、町のどまんなかに大きな湖を持つ南昌の街を散歩した後、僕は駅へ戻った。南昌の駅は新しく、凱旋門型、北京西駅を貧弱にして、てっぺんの楼閣を取り除いたような形である。この形、中国でははやっているのかもしれないが、風情のある南昌の街にはふさわしくない気がした。ぎりぎりまで散歩していたため、既に改札は始まっていた。1番ホームには、南昌と九江を結ぶ新幹線のマックスのような列車が停まっていたが、北京西行きは普通のエアコン列車である。ホームの売店で南昌名物?新紀元ビールを買う。売店のおじさんが、北京の旅社の広告チラシをくれた。ありがとう、おじさん。でも、僕は外国人だから泊まれないよ。

列車は大混雑。自分の席にはたどり着いたものの、これではおちおち眠れそうもない。さすが南昌と、この時は思った。17時41分、定刻に出発。となりの女の子二人は北京へ遊びに行くところだそうで、りんごをくれた。北京へ旅行とはすごいと思ったら、そのうちの一人は、国営企業のリストラにあったとのこと。今はやりの「しゃーがん」である。その腹いせの意味もあるらしい。日本だけではなく、中国も大変である。19時17分、最初の停車駅、九江に到着。ここで、3分の1近くの乗客が降りてしまった。南昌〜九江は、先に述べたマックス君が1日4往復しており、それ以外の列車もたくさんあるのだが、すごい利用率ではある。逆にいうと、ここから先、香港返還に合わせて開通した京九線の新線部分の利用率がまだいまいちという事だろうか。しかし、おかげで一応横になって眠れるようになった。

横になって眠れるようになったのはよいのだが、車内の温度がいやに低い。南方の列車ならば暖房はまだ要らないが、この列車は北京行きである。暖房ぐらい入れてほしいものだ。そんな訳で、結局あまり眠れなかった。僕が特に寒さに弱いのは確かだが、周りの中国人民も座席のカバーをはがしてかぶって寝ていた。そんなことをして良いのかわからなかったが、背に腹は変えられぬ、真似をしてみたが、やはり寒かった。

京九線の特徴は沿線の駅が新しい割に閑散としている事である。これも、新線だから仕方がない。少し大きな駅は、従来の路線と交差する駅である。駅の売り子も他の路線と比べ少ないようで、結局車内販売が命綱になった。

 朝、突然さわやかな音楽が響き、列車員が現れる。なんと体操の時間である。別に強制ではないらしく、半分ぐらいの人が参加していたが、苦笑いしながらも徐々に参加者が増えていった。僕はと言えば、トイレから戻ろうとすると体操の真っ最中。自分の席に戻れず、サボるわけにもいかなくなり、結局デッキから参加した。列車員のおばちゃん、妙に楽しそうだった。体操が終わって席に戻るとまもなく衝水駅。ここでドッと乗客が増える。ビジネスマンらしき人が多い。車内放送では漫才をやっている。周りの人の笑いには、まだ10分の1ぐらいしかついていけない。話が理解できればきっと面白いのだろうけれど。北京に近づくにつれて列車のスピードが遅くなる。各地から北京を目指す列車で線路が込み合っているようである。停車しないはずの豊台駅で10分近く停車。こちらも特快のはずだが、抜いていったのは最近増えてきた快速列車。向こうの方が一枚上手であった。13時20分、12分の遅れで北京西駅到着。この駅で降りるのは初めてなのだが、外に出るまでに迷ってしまった。やはり大きな駅である。冷たく乾燥した空気が北を感じさせ、少し心地よかった。

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