さて、当HPにおいてはかなりまともなコンテンツです。

1970年代から「土曜ワイド劇場」にて放映された「美女シリーズ」についての考察。
「私、天地茂。探偵の中の名探偵、明智小五郎」という予告編が有名なこのシリーズは
2001年、DVD化が決定し、再放送を待つしかなかったマニアを歓喜させております。

このシリーズの見所をご紹介いたします。

(こんなHP的な内容を隠しページに持ってくるあたりがさすがアングラHPたる所以か?)




【1:氷柱の美女 〜江戸川乱歩「吸血鬼」より〜】(1977/8/20)

記念すべき天地茂の明智小五郎シリーズの第一弾。
初めて観たのは私が幼稚園ぐらいのころでしたか。

今回のヒロインは三ツ矢歌子。幾分お年を召されているヒロインでございます。

「誰が美女なの?」と幼少の頃の私はツッコミを入れていた記憶がございますが、
いやいや終始和服での登場ゆえ、犯人に帯を解かれる
いわゆる「アレ〜っ」とくるくる回転するお約束のシーンや
ラストの氷漬けのシーンでの髪を下ろした姿はかなりグッドです。

しかし松橋登(最近こういう線の細いタイプの俳優さん、いないですね)とのベットシーン。
「好きよ〜ん。好きよ〜ん。」には、いささか閉口気味ではありますが。

さてパイロット版ということでございまして、
恒例の入浴シーンや乳の吹き替えどころではなく、
三ツ矢歌子以外、女性の登場人物がほとんどいないのが特徴。

また荒井注扮する波越警部も登場していないのも、初回が初回である所以。
しかも明智探偵の助手の小林には大和田獏。これも初回限定であります。
さすがに「小林少年」と呼ぶにはアダルティな雰囲気がムンムンなので
タイトルロールには「小林」となっておりましたがね。
(以降、第6作「妖精の美女 〜江戸川乱歩の黄金仮面〜」まで、小林少年は登場しません。)

まあ何といってもこの作品の完成度が高かったからこそ、25作も続く人気シリーズとなり得たわけで
必見の作品ではあります。再放送の頻度もそこそこでした。

しかし”美女が犯人でない”ケースってのも珍しいんですがね。実際。





「美しすぎる・・・あの人には近づかないほうがいい。」(明智)




【2:浴室の美女 〜江戸川乱歩「魔術師」より〜】(1978/1/7)

第2作の本作。既にこの後のシリーズの要素を確立しているのがさすが。

まずキャスティング。

犯人の美女ありき。かわいい(犯人以外の)美女ありき。当時の二枚目人気俳優の起用ありき。
そしてビッグネームの男性俳優の起用ありき。
ほぼ例外なく、このようなキャスティングで今後は構成されていきます。

今回でいうと、まず犯人(の一人)夏樹陽子。この人はホントに美人です。
だてにこのシリーズで2度もヒロインをやってないぞ(北大路欣也版でも一回)。
23歳という設定ですが、こんな妖艶な23歳がいたら、もう堪りませんな。
この方の取ってつけたような入浴シーンも、裸体の吹き替えも今後に繋がる重要な要素。

綾子役の高橋洋子。同じヨウコでもこちらは魔術師の娘として犯罪に加担されつつも
明智を助ける魅力的な女性。原作では後の明智の助手(後には妻)になる文代ということで、
魅力的な扱いでないわけがありません。
ただ前作「氷柱の美女」で五十嵐めぐみ扮する文代が登場しているわけで、
残念ながら今回のみの登場。

時計台に首を挟まれ死にかける一郎役には志垣太郎
最近では3の線のキャラですが、確かに男前。
このシリーズでは「美青年の剥製にされる宅摩真」や「SEXの虜になって殺される中条きよし
ああ、こんなこともやってたんだあ。的な2枚目俳優の過去も垣間見ることができます。

魔術師役には西村晃。2代目黄門様ですね。荒唐無稽なこのストーリーの核として
それはもうのびのびとしたいい怪演です。

そして忘れてはいけないのが荒井注演じる波越警部。

明智対犯人の攻防、明智対波越、文代の掛け合い・・・これがシリーズの人気の要素。
波越=荒井注 文代=五十嵐めぐみのキャスティングは19作「湖底の美女」まで続くのですが、
この法則が崩れた20作以降より、シリーズが斜陽の時代を迎えた、と思っているのは私だけ?

それと物語の途中で「明智が死んじゃう」という設定も、2作目から確立していますね。
もちろん犯人の目を欺く為の偽装なんですが、
さすがに文代さんの前でやるのは今回初めてのようでして、
今回明智が生きていることを知った時の文代の喜びようが可愛いこと可愛いこと。
シリーズの後半では、結構アッサリしてくるんですけどね。そりゃあ何度も死んでると。

まだシリーズの構成要素がまだまだ本作で確立されてるんですが、それはまたおいおい。





「お父さん。これで復讐は完成だ!」(魔術師)




【3:死刑台の美女 〜江戸川乱歩「悪魔の紋章」より〜】(1978/4/8)

松原智恵子姐さんが今回のヒロインです。宗像博士の妻、京子を演じます。
楚々とした上品な気品。シリーズ屈指の上品な美女です。
病弱ではかない花のような美女。毎度のこととはいえ明智が心奪われるのは仕方の無いこと。
しかしそれゆえエロティズムには少しかけるかな、というところですか。

その分、殺されかけるかたせ梨乃が頑張ってます。
鼻にかかった声もエロいし、死刑台の振り子にかけられ乳首がポロリと(当然、吹き替えです)。
この人、20年以上も”女”やってるわけで、もはや化け物ですな。
それと今回、初めて文代も生命の危機にさらされます。
犯人に股裂きの死刑台に乗せられてしまうのです。文代絶叫!
この作品で「お茶の間で見てはいけないシリーズ」の地位を確固たるものにしましたね。

加えて「吾郎ちゃん」こと伊吹吾郎の初登場です。明智と最多対決記録を有する男優で
今回は「宗像博士」として、次回は黄金仮面ことロベール佐藤として登場いたします。
今回はライバルとなるであろう明智に「香港の仕事を依頼」して所払いをするという
いささか姑息な手段にして、復讐を完達できないヌケてる犯人像ではありましたが、
黄金仮面シリーズではこの90分枠の放映枠を120分に拡大させるという偉業を成し遂げるので
ここは一つ良し、としておきましょう。

無意味に裸な女性の死体、死刑台、三重渦状紋・・・
乱歩的趣味満載のこの作品。この作品までシリーズのあるべき姿をはっきり打ち出していますね。





「私も女です。
 男の方の胸に飛び込んですべてを忘れてしまいたいときもありますわ。」
(京子)




【17:天国と地獄の美女 江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」】(1982/1/2)

いきなり飛びましたがね、まさしくこの作品は伝説と呼んでしかるべき作品なのでご紹介。

「美女シリーズ」初の3時間の大作。全25作製作されておりますが、お正月3時間大作はこの作品のみ。
第一部、第二部構成で成るこの作品は、まさしく当シリーズの最高傑作であります。

まず冒頭。天地茂演じる明智小五郎が「明けましておめでとうございます。」と、新年の挨拶をするところ。
放送日は1982年1月2日にて、お正月の真っ只中。
だからといって「明けましておめでとうございます。」って・・・

こんな粋な演出のおかげと、3時間という尺のせいもあってか、多分リアルタイムのオン・エアーと
正月の昼の再放送1回のみのオン・エアーであったと記憶しております。もったいない。

まずタイトルロールの美女、叶 和貴子さん(”さん”をつけるぞ私は)について。
まずもってこの人が最高なんです。
全シリーズを通しても屈指の美しさである彼女。楚々としていて妖しい美しさを放つ彼女は
黄桜のドンのCMをしていた私の記憶のとおり、今でいうと奥さんにしたい女優No.1間違えなしですが、

当初この作品を見ていると、やはりイメージどおり薄幸のキャラクターで登場します。
歳の離れた伊東四郎演じる富豪の後妻、という役がらを控えめに演じられております。

その中で悪漢に襲われ、強欲な夫の妹に苛められて、
捜査に訪れた明智に対して、ほのかに恋心を現すその姿・・・

キャラ的には「魅せられた美女」「白い乳房の美女」の岡田奈々のような
単に犯罪に巻き込まれる悲劇のヒロインを想像させますが・・・



物語中盤から何度も何度も度肝を抜かれます。

まず当シリーズおなじみの入浴シーンより。

このシリーズにおいてはヒロインの入浴自体まったく珍しいことではなく、
今回の叶 和貴子さんの入浴シーンに関しては全く違和感はありません。

しかしいつものとおりオッパイのアップがあり、視聴者は
「例の吹き替えオッパイだな。」と、わかりながらもご満悦で画面に食い入るわけですが・・・

今回そんな気持ちで画面を見ていると、
カメラが移動し、なんと叶さんのお顔が映ると・・・



自前かよッ!自前ですよ!



替え玉を用意せず、自らの乳を晒すという女優魂。泣けます。

リアルタイムで観た時(まあその時は7歳児でしたけど私)は、その凄さはわからなかったけど
オッパイで涙したのは久しぶりですホントに。

(続く)

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