地震
昔の物語。
ある王国に、幼くも美しい姫がおりました。
その姫は生まれながらにして、大の「地震恐怖症」でした。
ほんの小さな地震でさえも、大地の揺れている間はその小さな体をこわばらせ、
まるでこの世の終わりを目の当たりにしたような様子で、ガクガクと振るえ続けるのです。
そんな姫を不憫に思った国王は、一人の賢者を呼びつけ
「何とか、姫の地震恐怖症を直すことができないであろうか?」と相談をもちかけます。
賢者はお姫様にこう尋ねました。
「姫はどうして地震が怖いのかな?」すると姫はいいました。
「地震がどんどん大きくなって、やがてはこの国を滅ぼしてしまうのではないか、と。
それが怖いのです。」
賢者は言いました。
「姫。心配には及びませんぞ。」
「なぜですか?」と姫は尋ねました。
賢者が説明します。
「地震というものは、はじめの揺れが一番大きいという特徴をもっているのです。
ですから、一番はじめの揺れよりも大きい地震の心配はしなくて良いのですぞ。」
姫はその言葉を聞くと、安堵の表情を浮かべました。
しかし、
その表情は一瞬のものでありました。
そしてその場にうずくまり、恐怖におびえた表情をしながらガタガタと体を震わせます。
その場に居合わせた者すべてが驚き、そして尋ねました。
「姫!一体何におびえているのですか?」姫は答えました。
「だって、地震は一番初めが一番揺れが大きいのでしょう?
ですから・・・地震の起こる前の、
”揺れてない”、”地震のない”ときが一番怖いのです。」
結局、賢者その日の内に首を跳ねられ、
姫は生涯、震え続けていたそうです。
・ ・ ・
ある漢(おとこ)がおりました。
その漢は26年も生きているというのに、女性とお付き合いしたことがありませんでした。
そんな彼にも、とりあえずお話ができ、食事ぐらいは付き合ってくれる女性が現れました。
彼には一種恋愛に似た感情が芽生えました。
彼は思いました。「こんな女性が彼女になってくれればなあ。」と。
その瞬間、携帯電話にその女性の方から電話がありました。
電話で女性は言いました。
「もう、私達・・・会わないほうがいいと思うの。
・・・別れましょう。」
・ ・ ・(沈黙)
まだ付き合ってすらいねーじゃねーかよっ!!
そうです。付き合ってもいないのに、一方的な別れ・・・
強制終了です。
そして、その漢はガクガクと震え出しました。
彼の中の電波が語りかけました。「何でそんなにおびえているの?」と。
彼は言いました。
「だって私は、ほぼ出会っただけで、別れられてしまうのですよ。
女の子に出会っていない今の現状が怖い!」
・ ・ ・
夏にふさわしい「ちょっと怖い」お話でしたね。
残念ながら二つ目の「話」の前には”実”という漢字がつくのですが・・・
気を取り直して「落語」です。
「アタシは何しろシミつきパンティが一番怖い!!」
「饅頭怖い」を知らない人は笑えませんでしたね・・・
(2001/7/5)