俺の空


「俺の空」・・・本宮ひろ志が描く”漢”ストーリーである。

”漢”を目指す、21歳の俺は、思い出したように旅に出た。


オートバイで駆け出す、21の夏・・・
目的地なんて、当然ない。
まず俺は海に向かった・・・


第一京浜を抜け、横浜へ。
そして厚木をこえるバイパスへ。

バイカーが手を振る。
ドライブ中の家族が微笑む。
そんな人々に微笑み返すうちに、
俺の気分は青春真っ最中になっていた。


箱根のワインディングを抜け、
湖のほとりの食堂で、純朴な店員のもてなしを受けながら、




・・・海が見えてきた。




恋人岬についたときは、あたりは黄金色の夕焼け。


松崎海岸についたときには、もう星降る夜だった。


東京から少し離れただけで、
目の前に広がるプラネタリューム。


なんだか、素直な気分になる。


女の子に電話をしてみた。
こんなキザなことができるのも、
なに。こんな景色がなせる魔術さ。


「どうしたの・・・突然。」
「いやあ。急に声が聞きたくなってさ・・・」
「ふう〜ん。変なの。」


東京であれば既に切れているはずの電話が続いている!


「今、どこにいると思う?」
「わからないよ〜。」
「実は伊豆の海岸なんだ。」
「そうなんだあ。結構とおいね。」


イケる!かなりいいムードだ!
そもそもこんなに女性と話したのは、
小学生のときに、
進路相談で渡部先生と話したとき以来だ!




(今度は君と、この星空を見たい・・・)

と言いかけたその瞬間、







「ところで、沼津のソープはどうだった?


・・・


「行ったんでしょ?」と確認してくる女の子の声を聞いている時には、
既に涙で星空が滲んでいた・・・。




その日のうちに東名高速で東京に戻っていた。




当然、沼津のソープに行った帰りに。

(2001/6/14)


今日は、もう一人にしてくれ・・・