15ミニッツ


珍しく、合コンに誘われる。大学生の頃である。

3対3とのこと。
うまくいけば、もっとも密度の濃いトークのできる人数である。

しかし男性の3人、その3人の人選が非常に不安であった。
まだ夢多き年頃、当然自分のことは棚に上げての考えである。




とりあえず、仕事以外は5分前行動の自分のポリシーを守り、
いやはや期待を抑えられない30分も加えて、
35分前には、集合場所に着いていた。

まあ、いつもどおりの展開である。




当然、俺が一番乗り。
他のメンバーの到着を待つ。

男の一人が到着。
唖然とする。







気の触れたような激しいライダース・スタイルである。
初夏というのに小汚い革尽くめのファッションに加えて、
髪はまるでゴキブリのように、妖しく黒く光っている・・・




お前のコンセプトは何なんだよッ!

っとツッコミたくとも、
まあ、いつもどおりの展開である。




間髪入れず、もう一人の男が到着。
唖然とする。




初夏ではあるけど、Tシャツ一枚。
その真っ赤なTシャツには
「シャア専用」とプリントされている・・・




取り返しのつかないことを・・・

っと愚痴をこぼしたくとも、
まあ、いつもどおりの展開である。







そんなマッドマックス赤い彗星にはさまれること30分経過・・・
約束を10分遅れて、女性3名が到着。




3人を軽く一瞥した後に、こう言った。










「ごめ〜ん。カオリが都合が悪いんで、日を改めたいんですけどお。」







誰がカオリなのかもわかんない状況だよ。こっちは・・・
っとツッコミをいれたくとも、
まあ、いつもどおりの展開である。







「日を改める・・・」そのフレーズが社交辞令であることに気づかない二人を横目に、
もう会うこともないであろう女性3人を見送るまでの所要時間・・・




・・・その所要時間、15分。
人生史上一番短い合コンの終焉である。







・ ・ ・







「反省会」と称される男だらけの2次会が一番盛り上がる。
まあ、いつもどおりの展開である。




驚いたことに、二人とも失敗の原因は「俺」にあるという。
何でも3人の女性は俺の顔を見た瞬間、途方に暮れたような表情をしたそうである。
二人とも、自分のことを棚に上げてさあ、




もう死んじゃってくれよ・・・







・ ・ ・







自分の部屋に戻る。

その夜も自分のマクラというキャンバスに、
涙で世界地図を描く・・・







まあ、いつもどおりの展開である。

(2001/6/21)


泣きたい夜もある・・・