人の人生は「道」の如し・・・
物心つくまで走っていたその道は、
三車線で道幅も広く、車両もまばらである。
ふと標札を見ると「国道1号線 エリート街道」と書いてある。
エンジンの調子もいいし、天気もいい。
ちょっとこのままエリート街道を驀進してみようか・・・
いくつかの分岐点があった。
右:スター街道
左:ロマンチック街道
・・・
とりあえず、目的もない。
このまま直進してみるか。
そこそこ混んできたけど。
「10KM先、渋滞」の表示。
この道は渋滞してるのかあ。
どこにいくというあてはないけど、
とりあえず渋滞は嫌だから横道にそれてみるか。
天気も悪くなってきたし。
「ロマンチック街道 バイパス」の標示が目に付く。
そうね。その道で行ってみよう。
えっ?ここからだと金がかかるの?
そうなんだあ。
ならさっき曲がっときゃよかった。
その快適な道も、あっという間に終わってしまい、
片側一方通行の、狭い道へとおっぽり出された。
まあ、目的地もない。
雨も降ってるし、ちょっと車を止めてみようか・・・
振り返って見ると、さっきの国道は渋滞中。
その他の道も、それなりに込んでいる。
それでもその他の車は進む。
・・・”幸せ”という名の目的地を目指して。
残念ながらバックしないと、さっきの道には戻れない。
目の前の道はどこまで続くか、わからない。
カーナビもついてないしなあ・・・
いつの間にやら、夜である。
夜空を見ながらぼんやりしてると、
遥か彼方に一筋の光がさしている・・・
しかし、その光に向かう「道」はない。
そびえるような山と、それを覆う木々のみである。
それでも・・・と車を降りて歩き出した。
その道なき道を・・・
目の前には道はない。
けど、振り返ってみれば道ができている。
後にこの道はこう呼ばれることだろう。
そう・・・「漢道」と。
えっ?「人の道」からはハズれてる?
別にいいでしょ?そんなことは。