さて、名古屋に出張である。
いつものように阿鼻狂乱の風俗ナイトを満喫したのか、といえば
さにあらず。
私を給料ドロボーと呼ぶその会社は、実は全国圏で活動を展開しており、
名古屋を含む東海地方の担当者は、お馴染みの”ヌケル君”なのである。
そこに何故か、私が担当になった案件が名古屋に飛び火し、
業務終了後、たまたまその日も名古屋に来ていたヌケル君と合流する運びに。
ヌケル「凡作さ~ん。頼みがあんだよ。」
凡作 「何よ?」
ヌケル「この近くにあるブランドショップのお店の女の子に恋してるんだよね。」
凡作「・・・」
気の多い男と思うなかれ。
私自身も彼のこの手の話には辟易寸前だが、
彼はどの恋に対しても真剣だ。
ヌケル「それでさあ、その店で買ったアクセサリーが壊れたとかいって・・・」
凡作 「・・・」
ヌケル「その女の子に”修理して”って渡してきてくれないかなあ?」
凡作 「・・・は?」
ヌケル「だ・か・ら~。毎回毎回俺が会いに行くのもわざとらしいだろ?」
凡作 「・・・」
ヌケル「一緒に手紙もつけるから、”受け取った”って連絡してもらうようにね。」
彼は携帯の番号と、メールアドレスの書いた便箋を私に渡した。
そっちのほうが100倍ワザとらしいって話よ!
なんでこの俺様が
こんな童貞物語のような陳腐なシナリオにつきあわなけりゃならん、と
胸中では、ま、そう思っていたのだが
こんなみずみずしい感性の持ち主の為に、一肌脱いでやることにした。
言われたとおりにしたその数時間後、その女性からメールが入った模様。
「2週間ぐらいで直ると思います・・・」
思いっきり事務的じゃねーかよ!と
ヌケルくんはおかんむりの様子であったが、それは当たり前の話だ。
こんなのが愛のきっかけだったら、もう少し人生楽しいだろうけど、ね。
ちなみにその夜は、私とヌケルくんの二人で
猛獣王で10万円近く負けました、とさ。
|