男前はキャバクラに来るべきではない、と。
常々そう思っていたわけです。
こういっちゃなんだが、キャバクラの女性の方々はお仕事なんです。
どんな男が来ても、とりわけ私のような男が来たとしても
美しい夢を魅せてくれる、そんな場所なんです。
それをね、そこの男前君。
例えば仕事を忘れてキャバクラの女性が目を輝かすような男前が来たら、
他のお客さんはやっぱり面白くはないですよ。
いつも置かれている社会生活の現状と同じなんですから。
あなたがたは実社会で、女の人にモテテてください、と
まあ、そんな風に考えていたんですね。
しかし、今日ある一人の漢によって、私のこんな陳腐な考えが
大分改まったような気がします。
その漢の名は『バンブー君』。
言わずもがな私のキャバクラの師匠であります。
今日は土曜日ですので、相変わらずパチスロ店にいました。
幸か不幸か、本日の出玉は揉みに揉み、
出る気配もなければ、かといって泣きたくなるほどのハマリもない。
そんな時に私に電話してきたのが、件の『バンブー君』だったのです。
「凡作、今日ヒマ?」
「ま、パチスロやってるけど、すぐ止めれるよ。」
「それじゃあメシでも食いに行こうぜ。車で迎えに行くから。」
私と同様、想像力に乏しい方におかれては
夕飯の後にキャバクラという流れで、日記が進行していくと思うでしょう。
事実、私はそう思っていました。
パチスロ店にて、まあ7,000円ほど負けている状況ではありますが、
もしやキャバクラという展開となっても何とかなるか、という持ち合わせ。
二つ返事でOKを出したわけです。
多分、彼は自宅に向かえに来るのだから、
今のパチスロを打ってる、だらしないさ満開の衣服もその時着替えよう、と
彼の到着する時間を逆算するように、パチスロをだらだら打ってました。
彼の到着を告げる携帯の呼び出しがなります。
どうやら、思いっきり近くまで来ているようです。
「そこで待ってて、今すぐ行くよ。」
と、待ち合わせの場所までテクテク歩いていく。
視界の先に、見慣れた彼の車が止まっているのを発見。
いや同じ車だけど、違う人だろう。
なぜなら美男美女のカップルが乗っているからな。
あれ?でも男の方は見覚えがあるぞ。
やっぱり、見覚えがある。
というか、やっぱりバンブー君じゃないか!
車に近づく過程で、確実に運転席の男がバンブー君であることは確認。
しかし・・・
隣の女性には全く見覚えがない
「凡作〜。こっちこっち。」
「どうもこんばんわ〜」
???
かわいらしい感じの女性が私を手招いている。何故だ?
「あの〜、何がなんやらさっぱりわからんのですが・・・」
「あのね。このコはキャバクラで知り合った●●ちゃんです。」
先生!店外デートですか!
アグレッシブですなあ!
皆さん。
最初にお断りしておきますが、
同伴出勤ではありません。
デートですデート
それだけで私には信じられないのですが、その上
私のようなア行くん(愛、飢え夫)にも声をかけてくれる友達想いぶり。
漢です。
きっと私は彼の背中を見つづけながら、キャバ道を歩くしかないでしょう。
器が違います。
ということで、お台場でメキシコ料理を食べ、トークに華を咲かせ、
楽しいひと時を過ごさせていただきました。
多分、お邪魔だったでしょう。女の子にとっては。
でもバンブー君は、まったくそのそぶりを見せず、
屈託ない楽しそうな笑顔を浮かべていました。
そして、女の子はこれから仕事(キャバクラ)だというので
そこで爽やかに再会を約してサヨナラ。
どうでしょう?ホントに同伴じゃないでしょ。
ありがとうバンブー君。
多分、あのままではパチスロで負けたという泣き言を
淡々と語り続けるはずだった今日の日記を彩ってくれて。
今夜はいい夢が見れそうです。今日は本当にありがとう。
これからもアナタについていきます・・・
・・・と、心の中で彼に感謝をしている時の、彼の一言。
「さ、キャバクラでも行くか!」
・・・マジ?
本当に天才は留まる事を知らない。
私、もう結構マンゾクなんですけど。
まあ、せっかくですから行っときますかっつ!
結局、銀座のとあるお店に行きました、とさ。
ああ、当然彼は女の子のハートをがっちりキャッチさ。
その上、店の前に立っている男の従業員とも仲良しになってたさ。
「今度、また来るから宜しくね。」って。
男性従業員と名刺交換する奴、初めてみたよ俺。
どうだろう。
私はキャバクラについてはズブの素人なのだが、
彼の能動的なスタンスについては
風俗における私のスタンスにかなり通じるものがある。
男前はナンパでもしてろや!
職場でキャーキャー言われてろや!
わざわざキャバクラまで来んなやボケッ!
今までの私は、少なからずこんな感情を持ち合わせていた。
しかし、私の隣の男前。
彼にとってのキャバ道とは、夢を見るためでも、自分に酔うためでもない。
彼に課せられた使命であり、宿命であり、そして日常なのだ。
彼の徳によりもたらされる彼の同伴者、キャバクラの女の子、
そしてまさしく彼自身の溢れんばかりの笑顔・・・
人はそれを青春と呼ぶ
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