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1月11日(土)


対面と上家からの2件リーチ。

ドキドキ気分でツモ山に手を伸ばすと、そこにはテンパイ牌があった。



(あ〜、5ピンの切り順、間違えたよ)



後悔するも、もう遅い。

雀荘では赤5ピンは500円のご祝儀とドラ扱いは一般的。

手に残る不要牌の5ピンは、それこそ赤く染まってはいないものの

銭好きなオヤジどもが、この5ピンを欲しがる待ちでリーチをかけるのも

これもまたアリガチな事実なのである。



(でもここでテンパイとらなきゃ、明日の俺に怒られるな)



考えのまとまらないうちに、既に不要牌の5ピンをリリース。

当たれない二人のオヤジが、顔をしかめてその牌を見つめる。





「強いね。兄ちゃん」と、勝負を降りた下家のオヤジがアンパイを切り、

直後、対面のオヤジが8ソーを切り出す。
私の当たり牌である。





「ロン」



意外に冷静に、(あ〜結構出るもんだなあ)と牌を倒す。





私の手牌、8ソーを必要とする6ソー・7ソーと、

後は
漢字で書ける手牌。





東・東・東



南・南・南



西・西







そして

北・北・北








小四喜じゃあああああああ〜っつ!





「ショースーシーって漢字で書ける?」ってアナタが聞いたから

今日は
私の役満記念日



ちなみに麻雀でアガリやすい役満は国士無双と四暗刻と大三元。

アガリにくいのが小四喜(大四喜はダブル役満)と緑一色。

九連宝燈と天和は、アガれたら不慮の死を意識してもいいほどである。



これを場末とはいえ、フリーの雀荘でオヤジ相手に勝負どころで

キッチリカッチリアガってしまうのだから、

凡作という漢、意外に侮れない。



その局ドベどころからの奇跡の復活と、役満御祝儀の3,000円と

お店からのご祝儀の7,000円と、

”小四喜 松田さま”と書かれて店に張り出される祝いの札。





「あ〜。また凡作のギャンブル勝ち自慢だろ?」



麻雀を知らない読者は、きっとそういうだろうが、さにあらず。



その前にパチスロで
5万ヤラれているのだから、トータルではマイナス。



いいたいのは、パチスロも麻雀も

私にとっての
ロマンである、ということである。





・・・恋愛なんぞは、ブラウン管の中だけでよろしい



1月10日(金)


ここのところの日記の更新のペースは3日置きぐらいであります。



物好きな読者に置いては



「ついに彼女が出来たのか?ええ〜っつ?」



と、週に2回程度は気を揉むところらしいのですが、

ご心配には及びません。単にサボっているだけです。



とはいえ、仕事 → パチスロ → 執筆(?)の三連コンボを

日々繰り出していくのは、我ながら大したものであり

かつこの日記をソープの待合室にいるような気分で毎日書いてると

ついにはもう社会復帰が出来ないような焦燥感に駆られる、と

まあ、そういうわけであります。








もう手遅れなのに・・・と思った人。

今日ハッキリ分かった。彼は私の敵だ(ゴッドファーザーPARTV風に)



しかしながら、ここまで続いているのは

単に彼女が出来ないから、というわけでなくて

スキなんでしょうね。この淡々とした作業と、今の生活が。



何せ飽き易い私の性格。

せっかく新卒で入った会社もペーペーの内に辞めてしまうのだから

この日記が1年半も続いている、というのも奇跡であります。



スキだからこそ続く・・・パチスロしかり、日記の更新しかり。

女性との関係だけは例外、という悲しい事実は置いといて

多分まだまだ続くこの日記。

それでもいつもあるものと思われるのはシャクなので、

皆さんも週に2回はヤキモキしてみてくださいな。



ま、最近休みボケでヤル気が無かった、とか、

そんなところがホントのところですが、ね。

バイオリズムってのもあるんですよ。ヤル気の。





それでもパチスロは依然として絶好調ですがねフフフ

(取り合えず現時点で勝ち金25万円オーバー)



1月9日(木)


最近、妙にトキメかない。



例えば通勤通学の途中に愛しいあの子に出会い

足を止めて話をする数分間のあの頃のトキメキとか、

学食でハンバーグランチを頬張っているときにふいに

カワイイあの子が友人達とその隣に座ったあの頃のトキメキとか。

とにかく、そんなトキメキがないのである。



それは決してあきらめたということではなくて

何だかんだいって私の青の時代が終焉した、ということかもしれない。



いや違う。



青の時代が過ぎ去ったと思っていたちょっと前の時期にも

例えばフラリと入ったソープで最高にイイ想いをしたその数日後、



「もしもし・・・本日●●ちゃんはご出勤でしょうか?」



ハイ出勤してますよ、の言葉の後の(ああ、数時間すれば天国が)の

あの頃の高揚感や



「●●ちゃんは都合によりお辞めになりました」の後の

鈍器で頭を殴られたような絶望感。

そんな機微に満ちた日々は確かにあったのだ。





今年に入って1週間ちょっと。やはりちょっと歳をとったのか?

(また行ってみようかな?)と、そういう気持ちになったのは

2日のソープ開きから
7日も経ってのことである。



多分、巷の恋人達は、会うたびクチャクチャやっているのに対し

28歳の漢さかり。何故に俺だけ寂しい思いをしなけりゃならん、と

可処分所得の許す限り泡の国に通った私にとっては

ちょっとした長期間である。7日間という数字は。



そこでキッチリ、ソープに予約を入れたのであれば

こうまで嫌悪感に駆られることもなかったのであろうが

今日は
仙台に出張にて、己の欲情を満たすためには

不慣れな土地で新規開拓を余儀なくされるという状況。





「なあ、ヌケルさんは先週仙台出張だったろ?どうだったよ?」と、



彼の仙台という土地の寸評を聞いてから繰り出そう、という

そんなリスクヘッジをするような自分もイヤけが指すし







「俺の場合は魚くさい室井滋のような人が出てきた」



との彼の一言で、爆裂にヤル気を無くす自分の視野の狭さにも辟易、だ。





結局、ホテルの前のコンビニでエロマンガをプレゼントに

私の息子に右手ちゃんをあてがったわけだが、そんなことよりも

魚くさい室井滋さんよりは幾分幸せだ、と、

そんなヘタレな自分を見て、あの頃の俺はなんというのだろうか?





ま、仕方がない。



私は未だに
魚介類が大嫌いだから、だ。





女性を
魚くさい、と称したヌケル君のせいだ、と

責任転嫁しがちな私の甘さはキラいだが、



室井滋似はまんざらでもない私の女性の趣味は、結構スキだ。



1月8日(水)


「え〜私の好きなタイプ?」




そう。どんな人が好きなの?



「え〜っと。やっぱり面白い人かな?」



うんうん。面白い人が好きなんだ。



「やっぱ話しててつまらんないとアレだし、面白い人って頭いいと思うよ」



そうだよね。楽しいのが一番だよね。



「ちょっとカッコつけてる人とかって、取っ付きにくいし・・・」



そうなんだ。



「一生懸命スカしてる人って、バカみたい、って感じ」



へ〜。でもそりゃかわいそうだよ。



「自然体で、面白くって、それで少しカワイイ感じの人がいいなあ」



(ちょっとチャンスあるかも) ふ〜ん。そういう感じの人がいいんだあ。














「うん。芸能人でいうと、福山雅治みたいな」








いっぺん死ねよ



1月7日(火)


Mr.凡作の経済予想のコーナーです。



2003年も始まりました。景気が悪い悪いと叫ばれ続ける昨今、

正月番組ではしたり顔の経済評論家が日経平均予想を

大体7,500円ぐらいに予想しておりましたが、





あめ〜よ!そんな中途半端なことを言わずに

5,000円ぐらいに言っておきなよ。

もし当たったら大したものだぜ。



まあ彼らのような職業は、大体3ヶ月ぐらい先のことを言っておけばよろしい。

聞いた人が忘れてるからね。思いついたことをまことしやかに話せばよいのだ。



かく言う私も今年の株式相場は調子が悪いんじゃないかなあ、と思う。

イラクの問題とか、構造改革の遅延とか、そういうありきたりなことじゃなく

単にあがる要因がないじゃん!ってことです。

相場を上げるのは金持ちの役目なのですけども、その金持ちが元気ないよね。



しかし逆を言えば、株が上がって喜ぶのは金持ちだけだし、

もっと逆を言えば、貯金をしようと思っている庶民にとってはチャンスなのよ。





【ワンポイント】 ナンピン買い



例えばA社株を1000円で1株買う。

仮に500円まで下がる。その時に500円で1株買う。

さらに300円まで下がる。その時にも300円で1株買う。

も一つさらに200円まで下がる。当然200円で1株買う。



さて、当然1000円で買った人は1株当たり800円の損。

総資産は8割減である。

しかし、500円で買った人、1株あたりの買単価は750円。

3回目も買った人、1株あたりの買単価は1800円割る3で600円。

4回目も買った人、1株あたりの買単価は2000円割る4で500円。



ということで、このような買い方をした人は元の半分の500円まで

値を戻せばチャラ。はじめの人がチャラの1000円まで行くと、

なんと2倍の儲けである。



このような買い方が
”ナンピン買い”といいまして、

買単価を下げる手法として用いられております。





当然、1000円の株がそのままあがるのが好ましいけど、

その相場で儲かるのは金持ちだけよ。

初めにドカーッと買える人のためのギャンブルになってしまう。



それよりもちょっとは下がるかも知れないけど

数年先には今よりも値を上げてるんじゃないか?ってな場合、

ちょっとずつ積み立てのつもりで買い溜めておくのは

貯蓄として非常に大きな効果があります。



考えても見てください。

10万円で買った株を12万円で売ったら、

もうその値段以上で買えませんよ。心理的に。

ここで、終了です。



売らないつもりの貯金なら、少しずつ安くなっていっても少しずつ買い貯める。

安くなってれば、当然買いやすいですし。貯まりやすいですし。

そして長い年月をかけてでも初めの買値に戻ったら、相当な儲けですよ。



言われてみれば、そんな感じがしません?





ええ。そんなことを言ってるのは当然、

今日買った株が
買った瞬間にブッ下がっているから。



買った、といっても貯金のつもりで10万円程度なんですけどね。

とりあえず下がっても下がっても強迫観念に駆られるように

月々3万円づつぐらい、買いまして行こうと思ってます。

株は売るまでは損しないんですよ。貯金のつもりなんで売るつもりはないんで

もとの値段になるまで、ジッと待つつもりですよ。



ええ。
強がりですよ。

少しでもパチスロの調子が悪くなろうものなら、

損確定でも売り飛ばしてしまうのに違いない、のですから。



1月6日(月)


仕事初めである。



しかしながら9日間のブランクがあって、リハビリなしに仕事ができるはずもなく

いつもは真面目にシコシコと仕事している年配の男性でさえ、

新年会と称して5時から職場で酒をかっくらっているような1月6日、

残念ながらいそいそと仕事ができるような人間ではない、私は。


そんな言い訳を胸に、終業のチャイムが鳴り終わらないうちには

既に職場の近くのパチスロ屋に入店している。



最近(といっても今年だが)、すこぶる調子がいいので

負けたら、まあ3万円ぐらいなら負けてもいいか、と

比較的楽観的に勝負に臨んだのではあるが、

実際に3万円遣ったあたりだと、勿体無くて仕方がない。



午後8時をまわったあたりだろうか?

鬼のような形相をしていたであろう実戦の真っ最中、携帯のベルが鳴る。

着信を見ると私の母親からである。





「ねえ、凡作。今大丈夫?」





「大丈夫なわきゃなーだろババア!仕事中だよ!何の用だよ!」



「あっ・・・仕事中だったの。ゴメンね。」



「何だよ!」

「あのね。今パソコンやってるんだけど、画面が固まって動かないのよ」

「パソコンはなあ、機嫌が悪いと固まるんだよ!」

「そうなの・・・今まで入れた内容は大丈夫なの?」

「大丈夫なわきゃねーだろ!」



泣きそうな声で母親はこういう。



「ねえ、どうしたらいいの?」



「知るかよ!電源ボタンを4秒以上押せば再起動するよ。

データは消えるけどな!」





「・・・そう。どうもありがとう・・・」





寂しげに母親は電話を切った。





(ちょっと冷たかったかな?)と、思った。



その後、パチスロに戻って打ちながら、

母親が正月の3ヶ日の間、中学生時代の同窓生の住所録を

めがねをかけながら、人差し指でずっと打っていたことを思い出した。





母親は壮絶な人生を送ってきた。



まず幼少の頃、原因不明な大病を患い生死をさまよった。

当時の占い師のお告げにより、祖父祖母、妹、本人はすべて改名した。

未だに彼らは二つの名前を持っている。



体が弱いまま成長し、
ろくでなしの私の父に出会う。



そのだらしなさに散々ぱら苦労させられつつも、第一子(私)を懐妊。

体の弱さが災いして、帝王切開で私を産み落とす。



あんまり私がかわいかったので、第2子(弟)を生む決心をし

またも帝王切開(2度目の切開は内臓が癒着して大変だという)で腹を切り

あんまりかわいくなかったので、兄弟はここで終了。



私たち兄弟が小さい頃、父親が失踪。

連絡の取れない父を頼ることが出来ず、ムリムリ私たちのために働きに出る。



ようやく私も弟も成長したと思ったら

弟は爆裂な反抗期を迎え、事ある度に母親を怒鳴りつけ、

私に到っては、ひょっこり現れた父と、探偵と称して自堕落な日々を送る。

あまりに荒んだ環境下にて血圧が200を超えてしまい、救急車で運ばれる。

ちょっと前にやっと私と弟がまともなところで勤めだして、

やっと自分の人生を歩める、と、自宅一階にて営業している喫茶店にて、

日々腱鞘炎に悩まされつつも、常連に囲まれて笑顔になり



「今が一番幸せなの」



と、ふと呟く私の母親。





考えてみれば、この正月、殆ど口を聞いてなかった。

「せっかく家にいるから」と、

せっせと団欒のために食事をつくっているのを知りながら

私たち兄弟は一日中パチスロ屋にいた。





何度目かのBIGの消化中、思わず不覚。

そんな母親に「仕事中だ!」と怒鳴って、冷たくしてしまった。



今やめれば、ちょっと負けのところで済むし、

今年の初めぐらいは、ちょっとは協力してやろうか、と

8,000円負けを確定させて、両替。そそくさと帰路につく。





「データが消えてないか、見てやるよ。」



家について、母親にこう声をかけると、思った以上に嬉しそうな顔をした。



「せっかく打ったのに消えてたらどうしようと思った。ありがとう」



こんな程度で感謝されてしまうのだ。いかに私が親不孝であったか。

一人で大きくなったつもりでいた。





「今日、一日目から遅くて、疲れたでしょ?ご飯作るから待っててね」



涙が出そうになった。

もう11時である。私がメシも喰わずに働いてたと思っているのだ。





「ありがとう」



今年、初めて素直な気持ちで「ありがとう」と言えた。









ま、その数分後






「クソババア!ふざけんなよコラア!」



と、こんな罵声が私から飛び出るわけだが、その理由、

食事、というのが



バームクーヘンと味噌汁だったからである。





ウチの母親が過酷ながらも、今までやってこれたのは単に

天然ボケだからだろう。



しかしながらその程度のボケで怒り狂う私は、

多分
お金と愛が少し足りないのだろう。





というわけで、とりあえず



3億円ぐらいください。親孝行したいので。




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