オトコに生理というものがあるならば
多分、私の排卵期は月末、そう、いま当たりの時期だろう。
体が火照ってたまらない、というか
ムラムラしてたまらないのだ。
今日、と言えば会社の入っているビルの違う会社の
制服を着た女性社員が目の前を通り過ぎた時、
後ろからぐわっと抱きしめて
おっぱいを揉んで揉んで揉みしだきたい衝動に駆られた。
しかし私は、そうしない。
キャーっつ!という悲鳴をあげられ、警察に通報されるリスクがあると同時に
職を失い、最悪の場合御用となるリスクもあることを知っているから。
それ以前に、大人なのだ、私は。
人も羨むブリリアントな頭脳を持つ私が、合法的な乳の揉み方を考える。
これはすなわち、ビジネスとか対人関係の立ち振る舞いに通じるものがある。
まず、相手に自分が敵意や害意がないことを伝えなければならない。
極めて自然なアプローチで、彼女との接点を持つことが必要だ。
例えばエレベーターの中で「何階ですか?」などと尋ね、ボタンを押す。
「すみません」 「いえ、どう致しまして」 しばし流れる沈黙。
「●階ってことは、■■商事さんですね。」 「ええ」
「▲▲さんはお元気ですか?」 これは当然適当なのだが
「私、部署が多分違うので・・・」 ちょっと困ったような顔をする彼女に一言
「あっ、失礼しました。わかりませんよね、■■さんって大きいから」
それなりに世知に長けた彼女は無難に返す。
ともあれ、男女の出会いなんて、こんなものである。
作為であれ、偶然であれ、まず出会い、お互いを認知する。
そして、共通の話題を探す。
同じ会社なら同じ会社の話をすればいいし、
同じ趣味なら、同じ趣味の話をすればよい。
同じ年代ならよく見るテレビの話をすればいいし、
違う年代なら、各々の価値観を話せばいい。
とにかく、話す事。話すことは一番自分に害意がないことを証明できるし
なにより、距離を縮めることができる。
だから、この段階で失敗は許されない。
間違ってもチンポコの話をしてはいけない。
そして食事へ誘う。
この段階では、もっと話を聞きたい、と向こうも思っているに違いないからだ。
女性との食事、というのは実は恋愛と友情の最大公約数である。
すなわち一概に好意を持たれているとは言えないが
嫌われてもいない証明でもある。
そこでたまたまでなく、、わざわざ時間を作った話し合いの場が提供される。
ここで気をつけなければならないのは、相手は別にどうでもよく
ただ単に食事にありつきたい、という難民のような女も存在する、ということ。
それぐらいは食事に誘う前に判別を入れておきたいところだ。
そして食事。
我々はもう成人しているから、適度のアルコールもいいだろう。
そしてチンポコの話を除いた自分の話を始めて、そして
適度な難易度な質問を相手に投げかける。
「学生の頃、何部に入ってたの?」とか「芸能人、誰がタイプ?」とか。
分析するに、その行為のすべてに意味がある。
まずアルコールは人の判断能力の低下を促進するし
自分の話は、素性を相手に明かすことによって相手に安心感を与える。
相手の話を聞くことは相手に何かを共有していると思わせる手段でもある。
そして、この後はちょっと遠い目系の話をすれば磐石である。
「将来の夢」とか「過去のツライ思い出」とか、あの類である。
相手は大してその話を聞いていない。
しかし、することに意味があるのだ。相手だってそんな話を聞いてる時
その男の射程圏内に自分が入ってることを、痛烈に意識するだろう。
重要なのはその意識に対し、彼女がどう決心するか、という心の機微を
我々はどのようにして察知することができるか、と、その点だけである。
さて、彼女がどう決心したかはあんまり関係なく
ここまでくれば
乳を揉んだところで、訴えられることはまずない。
さあ、勇気を出して揉んでみよう!
意外に満更でもないか、頬を叩かれて逃げられるかどっちかだろうが
とにかくいずれにせよ、目的は達成である。胸を張れ。そして胸を揉め。
ま、よくよく考えてみれば魚民とか白木屋でよく見かける
したり顔で、遠い目をして女性に語りかける男。
そんな奴らの10人に12人がそういう考えなのだろうが、
今度私もこの手段を使わせてもらおうと思う。
だって、気づいてしまったのだから。
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