4月8日(金) |
世間でいうところの、個人のサイトっていうものは
やれ旅がどうだったとか、やれウチの猫ちゃんがどうした、とか
そういうものが中心になっていると思うのである。
かくいう私も個人の日記サイトを既に3年近く更新している人間であり、
それだけに今までいくらでも試行錯誤の機会があったであろうに
未だに己の恥日記から脱却できていない現状があるわけである。
ここで意表をついて、普通のサイトを目指して、
本日の日記更新は「旅日記」。
普通のことをやるのにわざわざ断りを入れるあたりが
いかにこの日記がタダれてケガれているものであるのかを示すものだが、
ああ。私も今年で30である。
そろそろマジョリティに属したい年頃なのである。
【私の旅日記 〜山口県 秋吉台にて〜】
ようこそ。私のホームページへ。
このホームページでは旅好きな私の旅の模様と感想を書いています。
皆様の旅のお役に立つと嬉しいですね。色々ご感想をお聞かせ下さい。
さて、今回は山口県の秋吉台へ行ってきました。
秋吉台というのは、山口県の国定公園で、巨大な鍾乳洞と
壮大な景観のカルスト台地が見所です。
…
って、まともにやろうとすると、何を書いていいかわからねえ!
どうやらマトモな日記は、私はに無理なようである。
それなので、いつもどおりの調子で、旅の日記を更新させて頂く。
秋吉台というのは、前の日記にも書いたとおり
金田一映画の『悪霊島』の撮影されたところでもある。
『八つ墓村』(松竹)はどうやら日本各地の鍾乳洞で撮影されたらしいが
いずれにせよ秋吉台に観光に来て、鍾乳洞内に水を湛える百枚池をみて
(小梅ばあさんの死体でも浮いてねえかな)
と思ってきょろきょろしているのは、多分私ぐらいなものであろう。
目を皿のようにして立て札の文言を読み漁ったのだが、
別に『八つ墓村の撮影に使われました』とのコメントもなく
(『悪霊島』は監督がコメントしているから間違えない)
金田一映画にゆかりがあるというということは、
あまりポイントとはならないのかも知れない。
ある仕事で瀬戸内の諸島に仕事で訪れたこともあるのだが、
その時、地元のお客さんに
『ここって、獄門島の舞台ですよね』と、目を輝かせて語りかけて
ちょっと怪訝な顔をされたのを覚えている。
金田一シリーズの原作者の横溝正史が
戦争中岡山に疎開していたこともあり、その辺を舞台にした話が多く
『獄門島』と『悪霊島』は岡山県笠岡市を舞台としていて、
『悪魔の手鞠歌』は岡山と兵庫の県境の山村、
『八つ墓村』も岡山。しかも岡山で起こった大量殺戮をベースにしている。
金田一と明智小五郎に憧れて、
本当に探偵になってしまった経緯のある私である。
そりゃ観点が違うのも当然だが、地元の人からしてみればアレだね。
『獄門島』なんて最初のナレーションで
「現在、獄門島に住む人のほとんどが海賊と流人の子孫である」
なんて流れるんだからね。
でも、世知辛い東京に身をおく私にとって、
岡山もそうだし、今回の山口の人たちの親切さ、というか
暖かさみたいなものを感じて、やっぱり人っていいなあ、とか思うのである。
今回もレンタカーを借りて秋吉台まで赴き、いざ現地について
駐車場を探そうとしてうろうろしていると、お土産屋さんの爺さんが
こっちこっち、と手招きをして、店の前の駐車スペースを案内している。
(海の家みたいだなあ)
そんなことを思いながらサーっと車を寄せて、
「すいませ〜ん。ここって1時間いくらですかあ?」なんて尋ねると
「いいよいいよ。後でウチでお土産買ってくれればいいから」と微笑む。
いいなあ。
10分単位で小銭を取られたり、
牛丼を食ってる間にレッカー移動されてしまう東京とは大違いだ。
金額を聞いてる自分が恥ずかしいくらいだよ。ホントに。
そんな気分になりながら、ひとしきり観光を楽しんだ後
(私の場合の楽しみ方とは、金田一になりきり気分なことである)
そのお土産屋さんでお土産でも買おうと、店舗の中に入るのである。
「あの〜、お尋ねします〜」
と、獄門島の冒頭で石坂浩二演じる金田一が復員兵に語りかけるように
お土産屋のオバサンに語りかける時点までは、まだまだ金田一気分。
「はい?」
「ここのオススメのお土産って、何でしょうね?」
気さくに地元民に語りかけ、飄々と話を聞きだすのが金田一の魅力であり、
すっかり打ち解けられたように、「アレなんていいわよお」と言われるまでは
まだまだ金田一気分満載なわけだが、
その高めの置物のお土産の裏面に
MADE IN KORIA
と書かれていているのに気づいて、金田一モード、15%減。
(このオバサン、お土産の意味、わかってんだろうか?)
「いやあ、置物よりも、食べ物のほうがいいなあ」なんて
まだまだ飄々モードで語りかけると、「ならアレもいいわよ」と指差される。
下関名物、とらふぐ雑炊スープ
うん。鍾乳洞とは関係ないけど、ふぐは山口名物だから、これならいいね。
「へえ、とらふぐの雑炊で1、050円とは随分安いなあ〜」
「ふぐは別売ですよ」
「へ?だって、とらふぐの雑炊って、ここにこう書いてますよ」
「その下に”スープ”って書いてあるでしょ?”スープ”って」
あ。確かに。
そんな感じの世知辛さによって現実に立ち返り、
ふと覚めた感じになって帰路につくのが、大抵の私の旅の過ごし方である。
それでもまた、私は旅に出たくなるのだろう。
今後は長野に『犬神家の一族』ツアーにでも出かけよう。
(信州那須が舞台、長野が撮影地だかんね)
その時は多分、スケキヨモードになっていると思うので、ちょっと危険だ。
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土曜日だというのに、人もまばらで、いたとしても爺さんと婆さんの姿だけ。
どこにいても鬱陶しいカップルの姿を見かける東京近郊の名所に比べれば
それだけで私の心が癒される、というものである。
とはいえ、一人で滝の前でカメラを構える私が、爺さん婆さんよりも
人間として枯れた存在で気づく土曜の昼下がり。
滝が発するマイナスイオンが、必要以上に心に沁みる… |
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鍾乳洞内。金田一映画で言えば、岩下志麻が壮絶なオナニーに耽った後、
実の娘を首を絞めて殺しかけたり、ミイラになった胎児に語りかけたりしたり、
萩原健一が小川真由美と濃い一発をカマしたり、般若と化した小川真由美に
追っかけられたりした、ロマンティックにして由緒正しき鍾乳洞のシーンである。
ああ。もう気分は金田一そのものである。 |
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地上に出て、記念撮影をしようと思い、その辺にいたギャルに撮ってもらう。
それこそ最初は快く引き受けてくれはしたものだが、
金田一になりきった私が「あ〜っつ!しまったあ〜」のポーズをした瞬間に
いそいそと逃げるように私にカメラを渡して逃げ帰ってしまった。
うん。とりあえずシャッターは押されていたようだ。ありがとう。 |