私が仕事、というものにそれなりに注力するのは、
その理由が時給を上げたいから、とか、生活のため、という
そんな刹那的な理由ばかりではなく、
仕事に付加価値をつけたい、といえばカッコつけすぎだが
「ああ、凡作くんがいると助かるなあ」とか
「ああ、凡作に任せておけば間違えないよ」とか
「大したもんだなあ、凡作」という
ま、人の期待を裏切らないことと、人の期待以上の仕事をするのが
良い社会人の条件であると考えているからである。
不思議なもので、労働組合に守られている会社員時代には
仕事というものは降って沸いてくるもので、それも満足にこなしもせず
不平不満を撒き散らしていたのだから、人間など不思議なものだ。
そんなこんなで、一生懸命仕事をしているとある日のオフィスにて。
今は別部署になっている”翼くん”が私の席のところにやってきて。
「おー凡作。コレ見てみろよ〜」
と、インターネットをカチャカチャやるのである。
その画面に映し出されるものは、”政治家の秘書募集”の案内。
「・・・は?」
「いや〜凡作。
どうせフラフラしてんだから、こういうのに応募してみろよ」
・・・いや。当人としては、あまりフラフラしているつもりはなく
すみません翼くんさん。
後ろで課長が鬼のような形相でコッチを見てるんですけど・・・
「すいませんけど、唐突過ぎてなんのことか・・・」
「だからさあ、ここに書いてある応募要項を見て応募してみろよ」
・・・
画面を見てみると
【条件】
A:国家公務員試験上級レベル合格レベルの知識を有するもの
B:司法試験合格実績もしくはそれと同等の知識を有するもの
C:一芸に秀いで、類まれなる見識を持ち合わせるもの
A:B:Cいずれの条件に当てはまる方は論文を提出の上・・・
・・・
???
「いやね、翼くんさん・・・」
「何だよ」
「このトップページの時点で、丁重に断られてるような気が・・・」
断っておくが、この翼くんは、今までも本気で私の怠惰やダメさを
心配してくれた人間であり、今回の話も、きっと私の身を案じてのこと。
ダメ元、という観点からとりあえずトライしてみよ、ということだろうが、
この私。ダメ元、という次元の話でも心が折れやすいという
そんなグラスハートな人間であることを、いい加減わかって欲しい。
「いや・・・さすがに条件にあまりにもかけ離れてて・・・」
「CだよC。誰だって一芸ぐらい秀でてんだから!」
「しかし、論文を書けって書いてありますよ・・・」
「そりゃお前、今まで書いてきた日記の内容をコピペで・・・」
ねえ、翼くんさん・・・
私に国政レベルで恥を晒せと
何度もいうように、彼は私の事を心配してくれるがゆえの
今回の言動だとは思うが、
なんだか金八先生のような熱血先生が、自宅まで押しかけてきて
「な、お前なら出来るよ、きっと向いているから●子!
AV女優を目指してみないか!」
って感じの違和感を感じてしまったわけである。
「いやあ、でもどう考えたって・・・」
「フンッツ!だからお前はダメなんだよっつ!」
そう言って翼くんさんは、自分の仕事場に戻って行きました。
ええ、今日は業務と関係ないところでダメを出されてしまいました。
あ〜あ。貝になりたいなあ。
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