『八つ墓村』の話である。ああ、楽しみである。
10月1日(金)の21:00より、フジテレビ系列で放送される八つ墓村。
半年ほど前に同シリーズの『犬神家の一族』が放送されたが、
稲垣吾郎の金田一がどうした、というのは置いといて、
ドラマとしての作りこみの気合が入っていたので、今回も楽しみである。
何せ森美也子が若村麻由美である。
私の青春時代、彼女へ捧げた想いが胸を焦がす。
最近怪しい宗教家と結婚した背景もあり、横溝ワールドにもハマりそうだ。
さて小説を読んだ方はご存知だと思うが、推理ものとしてはかなり壮大で
映像化が困難である話である。
八つ墓村のたたりになぞった連続殺人の話であるが、
たたりのみならず、鍾乳洞あり、宝探しあり。
金田一の推理は、この話ではオマケ程度のものである。
さて、この原作の有名な映画化は松竹版と東宝版がある。
松竹版はショーケン(萩原健一)が主人公を演じている。
『八つ墓村』が金田一の話ではなく、
多治見辰也が主人公となる話であることを考えれば
このキャスティングは申し分ない。が。
渥美清の金田一、どう考えても『寅さん』だろ?
しかも、この映画は結末をホントのオカルトにしてしまっている。
原作はたたりになぞって利己的な殺人を繰り返すところが面白いのだが。
だから、金田一の推理も必要なく、村人を集めて話をするシーンは
それこそ啖呵売に勤しむ、元気のない寅さんだった。
続いて東宝版。
これは石坂金田一を監督した市川監督の『八つ墓村』だということで
期待に胸を一杯にして映画館に足を運んだが、
帰りは別の意味で涙が出そうになった。
ボケたなあ〜監督。
今までの『八つ墓村』の悪い部分を丁寧に集めた作品に仕上がっていた。
ここまで話して、思い出すのはI君の話。
彼は私ほど映画は観ないようだが、それゆえ、映画を我が家でみせると
それこそ手に汗を握ってみているので、映画のみせ甲斐のある男。
そんな彼が珍しく自発的にビデオを借りてきて、それが『八つ墓村』。
奇しくも今と同じ秋。
自宅で秋の夜長を推理で楽しもうと、ビールを片手に熱中・・・
・・・してたところに、私から電話が入るのである。
『よお!Iよ。今暇か?』
『今、ビデオで八つ墓村観てる途中だよ』
『へえ、珍しいな・・・で、それは
小川真由美が犯人のやつ?
浅野ゆう子が犯人のやつ?』
『小川真由美が犯人だったのかあ・・・・・・』
消え入るような声でI君はこういった後、彼はそのまま電話を切った。
ミステリーの犯人を、見てる途中でバラすという暴挙を働いた私に、
彼は数週間、口を利いてくれなかったが、
まだ2つとも観てない読者の方々に、また同じ轍を踏んでしまったので、
ここでお詫びに変えて、ご報告させて頂きます。
今回のやつは若村麻由美が犯人です
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