秋の心地良い陽気が、私の身体を包んでいる。
日曜日の昼下がり、水道橋にちょっとした用事があり、出かけた私は
学生時代、つまり青春時代を懐かしもうと、わざわざ東西線の飯田橋に
降り立ち、懐かしい水道橋への道のりと楽しもうと、歩を進めることにした。
秋のちょっとひんやりとした空気が肌に優しく、ちょっと上を向きながら
のんびりと歩くのは、非常に心地が良い。
元来、ロマンティックな方なので、そういう小旅行は大好きなのである。
日々は地下鉄のホームから地上に出るまででも、親切に取り付けられた
エレベーターを利用するほどの不精ぶりだが、たまにはパチスロを血眼で
うつことなく、こんな贅沢な日曜日の過ごし方があってもいいはずだ。
飯田橋から水道橋へ向かう道は、当時はJRの管理しする何かの予定地で
千代田区という都会のど真ん中であるにも関わらず、原っぱのようなところ
だったような記憶がある。石ころを蹴飛ばして水道橋の後楽園のボーリング
に向かった思い出や、飲み屋の帰りに別れを惜しんで水道橋まで仲間と
歩いたことが思い出されるが、今は立派なビルが立ち並び、当時とは異なる
様相を呈している。
水道橋で所用を済ませ、どうせなら、と、しばし喫茶店でアイスコーヒーを
堪能した後に、徒歩での小旅行を続けることにする。
御茶ノ水は、緑につつまれた内堀をその通りから眺めることが出来る。
順天堂大学の前、駅のホームからは見慣れた風景であるが、
歩きながら駅のホームの方面を眺めて、はるか下に流るる水面をみると
意味もなく昭和の香りを感じて、懐かしい気持ちになる。
その通りには淡路亭、青葉亭という、古びたビリヤード場があり、
学生時代に「粋だから」という意味不明な理由でI君とそこで玉を撞いた
記憶が思い出される。
後からビリヤード狂の友人に「あそこは伝統のある玉撞き場だから」と
聞いて、あながり私のセンスも捨てがたいものだ、と思ったのであるが、
いかんせん、ボロい感じがぷんぷんとしており、ラウンドワンなどの
大型施設を有難がる今の若者には、とても受け入れないんだろうなと
余計な心配をしながら坂を下り始める。
気分は阿藤快か彦麻呂か。
いい旅夢気分で歩を進めていると、もうそこは秋葉原。
ここまでくると、今でもよく来るヨドバシカメラが見えてきて、
懐かしさには乏しいから、この辺で今日は小旅行を終わりにしよう、と
最後に行きがけの駄賃のような気分で立ち寄ったエロDVD屋。
そこでの滞在時間が、それまでの全行程より長かった、というのが
全くもってお恥ずかしいところである。
どうでもいいけど、アムタラって凄いねえ。品揃えもマニアック度も。
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