12月24日(日)


さて、クリスマス・イブである。

日曜日である本日、半日かけて5号機の「サンダーV SP」で

6,500円の勝ち金を手にした私が、それからしなければならない作業が2つ。



一つは毎年恒例である「クリスマス妨害活動」と、

もう一つが予定されていた当HP上で展開されるであろう

掲示板での”漢メンバー点呼”の事前準備である。



24日の23:00から、25日の1:00まで。

漢・凡作を試すであろう読者からの猛攻を、なんとか耐え切らねばならない。



一つ目の
「クリスマスをぶっ飛ばせ!首都高速パトロール大会」は、

少しでもネタつくりを行えれば、と思って繰り出したのだが

結局のところ、貴重な時間と700円に見合ったものを得ることができず、

23:00少し前の



「やる気、元気、イワキっつ!」

という挨拶ですべてを出し切ってしまった、と

そんな体たらくのまま点呼大会を迎えてしまった次第である。



後は参加される皆様の書きこみに委ねようと、その後の展開を見守って

いたのだが、今回は多数の参加者の点呼が取れたので良かったと思う。



しかし内容といえば、体たらくの私がいう話ではないのであるが、



>(内容)

> ・点呼 ※これがメイン

> ・凡作先生への質問やお悩み相談

> ・明日から使える下ネタ披露大会

> ・私の不幸自慢

> ・などなど



を、ご理解頂けなかった御仁が多かったようで



K君・ずっきぃ君は
「風俗行こうね♪」的伝言を繰り広げており、

ブラック君に至っては、私亡き後の松田凡作を襲名する第一候補の割には

受け返しが日光の手前、つまりイマイチ乗り切れていなかったと思う。



そんなことでは、明朝の仕事が早いにも関わらず、自宅に参加できる環境が

ないからといって、奥様同伴で職場に0:00過ぎまでおられた

「りょうたろうさま」にも申し訳が立たず(※質問も頂きました。ありがとう)。





来年こそは盛り上がる企画を立てて、参加した皆様にご満足頂けるよう、

気を引き締める所存で・・・





と、ここまで書いて気がついた。





自分のクリスマスを盛り上げる努力が先決なのではないか?と。





来年は無線LANを完備したシティホテルの最上階で、

愛しい人の髪を撫でながら、手元のPCを操作して



「ごらん。去年までの僕は、この人たちと同じような感じだったんだ」



と、唇を重ねる前のトークに勤しんでいるはずである。





皆様。最後のクリスマス点呼にご参加頂きまして、ありがとうございました。

来年は、
あったとしても、このリズムです。



12月4日(月)


※今日の日記の最後に告知有り



ナイスな男、
りょうたろうさんより掲示板に書きこみがあった。

内容は、といえば、今まで興味がなかった犬神家の一族を見て、

普通に面白かったけど、凡作さんがあれほどまでの情熱を持つのかを

感じとることができず、非常に残念でした、と、こんな感じであった。



正直で、非常に男らしいと思う。

掲示板で「ごめんね」という意の返信をしたのだが、これはあくまで

繰り返し見ることによって植えつけられたマニア魂を昇華させた者で

ないと、わかりにくい文章を書いている私に否があるのであって、

例えば私が「細川たかしの性的魅力について語るサイト」を見て

どうにもピンと来ない、と思う感覚に違いないと思っている。



かえって初見で
「猿蔵、最高っすよねえ!」のほうがヘンなのである。

りょうたろうさん。書きこみありがとうございました。



で、彼は最後にこう締めている。



>話は変わりますが、24日ってやるんですか?



・・・



今日びの私にとって、24と聞いてピンとくるのは国際テロ活動家然とした

ジャック・バウアー氏の活躍であるのだが、彼の出てくるドラマのように、

六本木ヒルズ内に細菌ウィルスを蔓延させ、悶え苦しむカップルに対し

「天誅じゃあ!」と高笑いをすることが出来たらどんなに気持ちが良いかと

そういう24日であることを、最近まで忘れていた次第。



憤る気持ちを抑えて、まあ聞いて欲しい。



人間とは忘れることのできる生き物。

ツラいことを忘れることで今日を生きていけるというのが人間の素晴らしさなら

クリスマスの存在を忘れることが出来た私は、どれだけ幸せだったことか。



綿棒まで取り出して部屋の掃除を念入りにして、迎え入れた相手が

ブラック君であって、スーパーファミコンの「F−ZERO」をプレイして

放屁の後に去られたのが中学時代の思い出であるとすれば、



「クリスマスイブだよイブX大会」という当時のイブXという台でしこたま

ヤラれたのが大学生時代の思い出。



生身の女性と話して過ごしたい、という願望から

「クリスマスだよキャバクラ大会」という催しは社会人になってからだが

それまで以上のブリザードが吹き荒れたのはいうまでもない。



ないと知りつつ、淡い思い出を探しているうちは、まだいい。



去年だったかおととしだったか。

このHPの企画として、クリスマスイブの一番おいしい時間帯に

チャットに常連さまを招いて、くだらない話に華を咲かせようとしていたのが

告知の時間になっても誰も現れず、しかし告知した以上は期限の時間までは

リアルタイムでの対応をしようと、パソコンの前にしがみつき、

結果、開催時間の2時間の間の中で、訪れたのは「ヌケル君」一人のみ、と

何気に生涯で一番寂しいクリスマス・イブであった、と。



生身の女性を待っているわけではない。

開き直って不貞寝するわけでもない。



クリスマス・イブぐらいは、バカ騒ぎをして盛り上がりたかっただけなのに・・・



自分がいかに惨めか、かみ締めるような2〜3時間を過ごした私にとって、

クリスマス・イブとバレンタイン・デーの禁忌イベントが同時に訪れるような

(漢の盆暮れ正月かよっつ!)的な気分になるのは、仕方のないことだろう。



しかしながら、今年もやるのである。

12月24日は日曜日。

23日・24日としっぽり恋人と濃厚なひと時を過ごした御仁であっても、

何事もなかったように、参加してくれる可能性もあるだろう。



ウィンドウズ・メッセンジャーを利用したライブチャットや、

当HPの「ホテルロマネスク」にて、チャットを行うことなども考えたが



読者の層のキャパを考えて、
掲示板でも差しさわりがないと思う。





【告知】

クリスマスをぶっ飛ばせ!漢と書いて酒と泪と男と女!


(日時) 2006年 12月24日(日) 23:00〜翌1:00

(会場) 漢と書いてオトコの掲示板

(内容)

 ・点呼 ※これがメイン

 ・凡作先生への質問やお悩み相談

 ・明日から使える下ネタ披露大会

 ・私の不幸自慢

 ・などなど



以上を、
皆様が掲示板に書き込んでください。



基本的に「ああ、そうっすか?」とか「それはすごいっすね」というように

的確で適当な相槌で返信をさせて頂く所存です。



上段は冗談にしても、見てる人が名前と一言でも書き込んでくれるだけで

かなりヤル気が出ます。



間違っても「バカじゃねーの?」的な書きこみは止めてください。

クリスマスイブという、かなりギリギリの精神状態のところでやってます。

その瞬間に、枕を抱えながら泣くために、パソコンから離れます。



あと
カップルで参加をご希望の方





上等じゃねーか!

かかってこいや〜っつ!




みんなでコイツら、泣かせてやろうじゃねーか!

なあ、
野郎ども!



12月3日(日)


この日記を更新しているのが12月20日。

昨日の更新分で岸田今日子の訃報について触れたのだが、

なんとも今日という日は訃報が多い。



岸田今日子もそう。青島幸男もそう。カンニングの中島もそう。

柄にもなく風邪をこじらせている私も、いささか不安に苛まれているのだが

12月は身体の弱る月。皆様はお元気ですか?



ノロ・ウィルス?いや、私の場合ゲリもゲロもないので、単なる風邪でしょう。

ご心配頂いて下さった読者の方には大変申し訳ないのですが、

会社で必要以上にゲホゲホとアピールを重ねて「早退していいよ」という

ありがたい言葉を頂いた後、私が向かったのは病院でも自宅のベットでもなく

錦糸町のパチスロ屋である。



その段階で月の収支がマイナス10万以上だったので、いくら休みが多いとは

言え、このあたりでマイナスを減らしておきたかったというのが正直なところ。

(おかげさまで、少しマイナスが減りました)



そこに設置してあるテレビで見たニュースが「青島幸男死去」。

ああ、死んじゃったのかあ?と思って押忍!番長を擦っていたのだが、



家に帰ってパソコンのポータルサイトのニュースを見てると



「ジェニファー・アニストン、24に出れず」とか

「今年の紅白の特別ゲストに荒川静香」などという



なんというか、それほどでもないニュースが見出しに踊っている。



あれ?昼間見たのは夢か幻だったのかな?と、

あまりに鳴らない薫ビッグのイライラから幻想でも見たのではないか、と

不思議に思い”一覧”のタブをクリクリして、初めて事実だったことを知る。





パソコン時代・情報化時代を迎えて、一番身近に感じることは、

ニュースに対する取捨選択の自由度の高さであると思う。



テレビというものは限られた電波帯域を利用して放送を行う公共事業である。

よってそこで発せられるニュースは不特定多数の人間が知りたがっている

最大公約数的なニュースに割かれることに疑いはない。



また、そこで流すべきニュースソースが乏しい時にも与えられた時間を埋める

必要があるのは当然の話で、

やれゴミ屋敷の実態がどうした、とか、エビゾーとサトエリがどうした、とか

私にとってはどうでもいいことが垂れ流されている。

(それでも流すものがない場合は、”今日の皇室”のような話になる)



そこへいくとPC上のニュースは淡々とニュースを重ねており、

政治・経済・社会・芸能ともかなりの件数がほぼリアルタイムに更新される。



このようなニュースの伝達方法が主流になっていくことを考えるに、

我々に必要なのは、先にも言ったように取捨選択という行為だと思う。



自民党の武部元幹事長の新グループの旗揚げよりも、

亀田兄弟の試合の結果の情報を欲している人もいるだろう。



青島幸男の死去よりもも、木村拓哉の日本アカデミー賞辞退の方により

ショックを受ける人もいるだろう。



しかしながら多角的に情報が入手できる時代になったからこそ、

何が自分にとって必要で、何が自分にとって有利な情報であるか、

そしてその情報が自分にどのような影響を与えていくのか?ということを

日々研鑽しながら生きていかなければならない。



そう。日経新聞とTHE DAIRY YOMIURIの時代は終わったのである。



一昔前より私は、日経新聞は株式投資家にとっての競馬新聞でしかないと

憚らず言ってきたわけであるし、

THE DAIRY YOMIURIを満員電車の中でしたり顔で読んでいる

フットボールアワーの岩尾似の青年には「読売新聞読め!」と心の中で

大合唱を行っていたのであるが

その程度の情報で自信満々で世の中を渡っていける時代は、

とうに過ぎたと言わざるを得ない。



前に銀座のホステスは、新聞数紙に目を通すと聞いたことがある。

社用族、という言葉は既に久しいが、今も昔もオヤジというものはとかく

「日本版SOX法がさあ」と聞いた風な感じで語りたがるものである。



そこで
「アレの時靴下はいたままでやる、って法律?」という

センスは感じられるが品のない相槌が通用するのは、

せいぜいが西葛西のキャバクラまで。



かと言って

「サーベンス・オクスリー法を時勢の流れで適用しようというのは企業の

おためごかしというか、欺瞞を感じますねえ」という相槌だと、

オヤジのプライドを根こそぎ刈り取ることにもなりかねず、ま、

水商売は難しいものだと思うが、なにより重要なのは何度もいうように

何か起こった、何がどうなったという知識よりも、

何が重要で、何が自分にとって影響があり、そして何に興味があるか、と

そういう視点が自分の個性や自分の感性を司っていく、ということである。





ま、そんな偉そうなことを言いつつ、今日、一番私が興味を持った記事は





ほしのあき「胸が小ぶりになった!」



ま!そりゃ大変だ!と。




12月2日(土)


話の途中ですが、キョンキョン死んじゃったね。



私のいうキョンキョンとは、当然岸田今日子。

76年版犬神家の一族ではお琴の師匠を演じて、余人に代え難い演技を

披露していた彼女であるが、奇しくも新作の公開より5日目に他界。

正直なところを言えば稲垣吾郎版の犬神に出る分、余命を永らえていて

くれればよかったのに、と、切に感じる今日この頃。

ご冥福をお祈り致します。



で、昨日の新作、犬神家の一族のレビューは

ただでさえニーズの乏しいこの日記の内容に輪をかけて読者を置いてけ

ぼりにしているようで、反応がさっぱりない。



そういうことだから、多分観にいくのは私のようなマニアがほとんどで

興行的にはあまり振るわないのではないか、と危惧している。



まかり間違って大ヒットを飛ばしてしまえば、二弾三弾と出てくるのでは?

なんて淡い期待を胸に抱いていたのだが。

市川監督も齢90を超え、もう次の機会を待つ、ということも厳しいので、

なんとかヒットして欲しいものです。



ということで、あまりに細かいことは省略するとして、最後に音楽について。



オープニングはお馴染みの「愛のバラード」。

ルパン三世で有名な大野雄二作曲の名曲であります。



で、この旋律の起用は当然として、劇中曲も始めのうちは76年版と同じで

(こりゃいいぞ)と思って見ているのもつかの間、犬神家の三種の家宝

「ヨキ・コト・キク」の紹介あたりで、耳慣れぬ音楽が流れて

(ああ、やっぱりなあ)という気分になる。



谷川賢作、という人が音楽担当なのだが、最近の市川作品はこの人が

音楽担当をしていて、シンセサイザーを多用した、なんというか、

悪くない、つまり、良くもない音楽なのである。

ああ、当然犬神には合わない。



が、なんと最後のエンドロールは「愛のバラード」のリミックスで、

これが最高にカッコいいですわよ!

ゴッドファーザーに並ぶことができると思われる旋律!

最高!やったな賢作!凄いぞ賢作!



ということで、劇中の音楽とプラスマイナスで評価はゼロ。

はい。お疲れ様でした。



12月1日(金)


日記を更新している今日という日は12月17日の日曜日。

先般、仰々しく「犬神家の一族」がどうこうと書いたわけだが、

公開日にきっちり観にいったので、その感想を。



とはいいつつ、まだ新旧とも犬神家の一族を見てない人には

多分、何のことやらわからないところまで話がディープになると思うし

旧作は観たけども新作はまだ観てない人は、ネタバレになるから

ここから先は見ないで飛ばしたほうがいい。



つまり「犬神家の一族のマニアで」「旧作は暗記するほど観ていて」

「公開日もしくはその次の日には新作を観にいった」という人に向けてしか

ここから先の文章を書いていないので、そのつもりで。

いや〜、タダでさえ人口の少ないこのHPで、何やってるんだ、俺?





【犬神家の一族 (2006年)】



一言でいうと、100点。

未見の方には何が何でも劇場に足を運んでもらいたいのだが、

注意すべき点は、
前作を180点ぐらいとしての100点である。

そりゃ前作を越すとは思っていなかったが、

ま、期待の半分以上の満足を得られ「八つ墓村」の時のような虚脱感に

襲われなかったのは、非常に幸いである。



同じ監督、同じ脚本といえども、細部にアレンジが加えられており、

細かいところで前作よりブラッシュアップが図れている部分があるが、

肝心な前作の
良いところをバッサリ切っているところもあり、

それが相対的に減点されてしまった所以だと思う。



まず、俳優についてである。



豪華キャストには違いないが、非常に危なっかしい印象を受ける人物が。

それは「いつまで宮仕えやってんの?」と80を超えてもまだ警察に属して

いる加藤武(よしっ!わかった!の警察署長)や、当時からジジイだとは

思っていたが、今となってはセリフを覚えられるだけスゴイや、と、その

老いたる姿と声が痛々しい大滝秀治。ま、しかし、代わりができる人が

いないので、頑張ってもらうしかないのだが、何を隠そう、

一番危なっかしいのが金田一を演じた「石坂浩二」その人であった。



演技・表現力について批判があるわけではないが、言うなれば30年前の

石坂金田一は、当然、マニアの中で神格化され生き続けている。

現世では当然のように石坂浩二は歳を重ね、まあなんと言ったらいいのか、

例えていうなら新卒からキャリアを重ね、ついに企業のトップにのし上がった

社長が昔を懐かしんで「たまには飛び込み営業にでも連れてってくれよ」と

若手の営業についてまわるような、そんなイメージの危なっかしさがあった。



願わくは西田敏行の歳の重ね方をしてくれれば、そういう印象は軽くて

済んだのかも知れないが、考え事をしていて頭を掻き毟り、フケを散乱させる

シーンや、佐武(スケタケ)の生首を発見して「ア〜っつ!」と大声を上げるとこ

など、今抱いている石坂浩二の印象とは程遠く、

なんだか三国連太郎が立ちションをしているのを目撃したかのような不自然さ

である。古舘弁護士(今回は中村敦夫)が金田一を小バカにするようなシーンは

すべてカットされ、加藤武が金田一を鬱陶しく扱うシーンもほとんどなくなった。



「それがあなた(前作ではアンタ)、探偵だっていうんですよ」 (署長)

「そのようですな」 (古舘弁護士)

「えっ?」

「同業者に問い合わせたところ、信用して間違えなしの探偵だと・・・」



新作では最後のフレーズはカット。飄々とした不思議な格好をした兄ちゃんが

実は有名な探偵だということを聞いて警察署長が目を丸くするところなのだが、

今の石坂浩二の風貌では、聞くまでもなく、一角の人物のように見られる、と。



ま、石坂浩二以外に、この金田一を演じることが出来ないのでアレだけど、

たまに画面から外れた時に発せられる金田一の声を聞いて、

(ああ、やっぱりあの金田一が帰ってきた!)と、かえって想像が豊かになって

しまうのが、ちょっとだけ悲しいところだった。



良かったのが富司純子。

高峰三枝子演じる前作の松子は、なにやら知れぬオーラが出ていて、

その後の松子女優に物足りなく思っていたが、今回はいい意味で緊張して

観ることが出来た。いい女優さんだったんだね。

ただ



「なんですって!」

「佐清(スケキヨ)との結婚を拒んだら、遺産に関するすべての権利を、

失ってしまうのよ」



・・・の間の演技が、ちょっとわざとらしかったかな?ごめんね、マニアで。

思わず怒って、やれ、ちょっと気を静めて、って一連の演技が、ね。



あとはスケタケ役の葛山信吾、小夜子役の奥菜恵は良かった。

スケタケは粗野な役どころだが、家族(妹)に関して優しさ、というか

気配りがある面がさらっと挿入されていて、これは前作からの改善点。

奥菜恵は安心して、キ印演技を楽しむことができました。

小夜子の出番は前作同様、少ないけど。

(復員服の男が珠世の部屋から出た後の「どうしたの?」がない分、

前作より出番は減っているね)



有名な人を使った故の弊害は、尾藤イサオと中村玉緒。

尾藤イサオ演じる刑事は、もっとしゃべるシーンが少なくともいいし、

柏屋の主人(林家喜久三)の奥方を演じる中村玉緒は、そもそも

「気味の悪い客だねえ」しか前作ではセリフがない。

(前作は結髪のスタッフのオバサンを起用していたそうな)



このシーンでは加藤武の警察ご一行が、捜査で柏屋を訪れて、顔を隠した

復員服の男が宿泊をしていたことを知り、「これで事件は振り出しかあ」と

嘆いているところで、奥から金田一が現れる。

「どうしてここに?」と驚く署長に「人間の考えることは一緒ですねえ」と

独自の捜査方法で柏屋に辿りついた金田一の利発さを示すシーンだったと

そう思っているのだが、この下りは変更され、署長とともに車で金田一が

柏屋に訪れ、最後にちょろっと中村玉緒とかけあうシーンが追加されている。

う〜ん。これはちょっと意味のない変更だったんじゃないかな?



微妙なのは松坂慶子と萬田久子。

ふくよかでキレイな松坂慶子はとても底意地が悪い竹子には見えないけど、

スケタケが殺されて半狂乱になるところは凄く面白かった。

前作では草笛光子が演じた梅子は、一人息子の佐智(スケトモ)が殺されて

署長に掴みかかるようなシーンがあるのだが、草笛光子版はそれが悲劇に

見えず(いい意味で)、あ〜あ〜、こういうオバサンでいそうだよなあ、っていう

コメディリリーフの一面があったように思うが、萬田久子ではそうはいかない。



「泣くにも泣けないわっ!」 ちょっと上品だよねえ。上品な感じがあるから、

最後の発狂のところも、ちょっとわざとらしく思えちゃうのさ。



で、先の草笛光子は前作では岸田今日子の演じたお琴の師匠。

全5作(当然、八つ墓村は除外)でのレギュラーメンバーなので安心して

観ていられるが、残念ながらお琴の師匠役に笑いはいらない。

むしろ不気味さが要求される役なので、

ここはやっぱり岸田今日子が良かったよ。死んでないんだから。



で、そろそろ本番に入って行きましょうか。

(まだだったのかよっつ!って突っ込みはほっといて)



松嶋菜々子。

いや〜、この人は本当に大好きなんだけど、珠世には合わないね。

デカいし、エラそうだし、初めの印象だと、むしろ率先して犬神家の一族を

皆殺しにしそうな感じだった。

(犬神佐兵衛の臨終の際の表情は、どういう意味?)

若く、美しく、ミステリアスで、寡黙。スケタケとスケトモに蹂躙されそうになる

女としての弱々しさがあるんだけども、内なるスケキヨへの愛情が犬神家に

留まらせ、そして静かなる行動が静馬の悪行を暴こうとさせる、という

本当にザ・ヒロインって感じの設定なんですけども、松島菜々子の場合、

そもそも強そうだよね。

原作ではスケキヨの手形照合が一致した時に(違う)という顔をしたんだけど

結局言えなくて、後で金田一に「あの時ちゃんと言ってればその後の悲劇は

起きなかった」的なことを言われるんだけども、松嶋菜々子みたいに物事を

ハッキリいえそうなイメージの人って、そういうところで損をしていると思う。

金時計をスケキヨ(その時は静馬)に渡すところは新作で厚めに描かれた

けど、指紋を取ろうとするのがミエミエでしたから、デキる女、強い女の

イメージが少し強かったように思いますよ。



で、巷では前作の島田陽子がスケトモにレイプされかかるシーンで、

乳首が見えたから今回はどうか、という話題が盛り上がってるけど、

安心してください。見えません。

マニアはあまりそういうところは気にしていないのです。



続いてスケトモを演じた尾上菊之助。

声もいいし(犬神的に)、マスクからのぞく目もいい感じ。

マスクを被っている時のほうが全然、素顔を晒した時よりそれっぽい。

松嶋菜々子と釣り合わない感じが、残念だけど、スケキヨ役ではベスト。

でも、マスクはやっぱり卵色じゃなきゃあ。今回は真っ白でしたからね。

マスクの上にさらに頭巾を被っている時のスケキヨ。これは怖かった。

目がらんらんに輝いてて、白目の部分が頭巾のへりに被っててさあ、

衣装さんなのか小道具さんなのか、狙ってたんなら、凄いなあと思います。



ちょっと話が横道に逸れましたが、ここから本題です。

(まだだったのかよっつ!って突っ込みは再度ほっといて)



まず冒頭の犬神佐兵衛臨終のシーン。荒い粒子の白黒でしたが、

これはいい感じです。「犬神」の表札に、マニアは笑いますが。

仲代達矢、冗談みたいな眉毛してますね。

いいんですよ、冗談みたいな役だから。



同じく展望台の珠世とスケタケのシーンも、白黒映像でしたね。

前回であればハイコンストラストで強烈なインパクトがありましたが、

2006年風にアレンジが聞いてていいんじゃないですかね。



で、「ご臨終です」の後に前作ではタイトルにいくところが、

今回は金田一の登場シーンに繋がりまして、

あの八つ墓村と同じ心配をするのか、と少し不安になったところで

(※緑色のタイトルだけ出て、後はエンドロールに持ってかれてました)

上田の町並みの金田一をカットするようにバックが黒くなっていき、

「犬神家の一族」のタイトルが大野雄二の「愛のバラード」とともに。

いや〜。泣いていい瞬間ですよ。

おなじみの特大明朝体の懐かしの「石坂浩二」の文字に続き、

今でこその「松嶋菜々子」の文字。新旧の融合した瞬間。

2006年に市川金田一が帰ってきた、と、猛烈に感じる瞬間です。

タイトル中に入る技巧ショットが、気になりますけどね。



で、前作では坂口良子が演じた「おはる」と出くわして、那須ホテルの

位置を訪ねるのくだりとなり、今回は深田恭子ですが、ちょっとまったりと

した喋り口調ですね。眉毛は現代風に細身にカットされてるのに。

前の坂口良子は、普通のところではのんびり話して、ちょっと怒るシーンで

「まっ!」(※なまたまご、のシーン)とか「金田一さ〜ん、探偵ですか〜?」

のシーン(※布団を担いで)ではハキハキしてる、というメリハリがあったけど

深田恭子はおしなべてまったりとしてましたね。

ま、かわいいからいいのですが。



で、那須ホテルの部屋に案内されて「外食券お持ちですかあ?」の後に

「これで頼むよ」と金田一が米を渡すシーン。ここは変わってましたね。

戦後は米は配給品でしたからね。前作ではここで戦後をリアリティに現して

いたと思いましたが、今回は米を取ってさらさらとその量を示して

「いつまでご滞在ですかあ?」という感じになってました。

何か変更に意味があるのかな?

ともあれ、その後は「国敗れて山河あり、か」の那須湖のシーン。

いや〜、キレイですねえ。最新の映画は情景がキレイです。

犬神邸の描写も、丁寧でいいでしたねえ。



で、犬神邸からボートで湖の中央に向かう珠世を双眼鏡で追う金田一。

深田恭子の衣服がふすまに挟まり「ピシャッ」のシーンは前作同様で

思わず涙腺が緩みましたが、その後のボートの上で助けを呼ぶ珠世を

見つけ、金田一がビックリ。思わずはだしで走って

(「裏口は?」のセリフはいらないですよねえ)

ああ、愛のバラードだけでなく、ここの音楽も76年版と同じだなあ、って

思っていると



「ありがとう、ございました」

「いやあ」



の救出時のシーン。ストップモーションがかかってない。なんでだ?

そのストップモーションがそれっぽくてよかったのに。



って、その後那須ホテルに帰るんだけども、うん。三谷幸喜はいらんな。





って、始まって10分程度のことで大変な分量になってるんですけども

・・・続けてもいいですかね?




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