Versus


















ぴんぽーん

呼び鈴の音に、わたしはすぐさま玄関へ走り、ドアを開けた。
 「Guten Abe…」
 「じぇーど!」
ジェイドはまだ挨拶の途中だったけど、わたしはドアの外に立つ超人のムキムキの胸に抱きついた。
 「?どうしたの?」
裸足で飛び出してきたわたしに驚いた様子だったけど、それでもジェイドはわたしの身体を優しく抱き締めてくれた。
 「んー」
わたしはジェイドの厚い胸板に顔をスリスリして、ジェイドの匂いをくんくんとかいだ。
 「、何かあったの?」
妙に甘えるわたしに小さく笑いながらジェイドが言って、わたしの頭を優しく撫でた。
 「んー」
今日ね、ちょっと厭なことがあったんだ。
凹んでたんだ。
ジェイドには愚痴とか聞かせたくないから言わないけど、こうやって抱き締められて頭を撫でて貰うとすごく癒される。
 「・・・・・」
今日は部屋にあがるかな?
泊まれるのかな?泊まってくれるといいな。

今日はジェイドと離れたくないな…










という展開を予想して、ドアを開けて抱きついた相手は明らかにジェイドではありませんでした。

 「・・・・・」
質感も大きさも匂いも全然違う。
 「・・・・・」
どうしよう…
 「・・・・・」
ていうか、この人誰だろう…
 「・・・・・」
勢いに任せて抱きついてしまいましたよ。
微妙に引くに引けないというか、どんな顔して謝罪すればいいんですか。
宅急便のお兄さんとかだったら、わたし痴女決定だよ。
 「・・・・・」
でも人間にしては妙にムキムキしてる気がする…んだけど…
 「ハハハハハ」
この笑い声は!
 「そんなに私に会いたかったのかな?ハハハ」
は随分積極的なお嬢さんだね、と、言って、銀のおじさまはわたしを抱き締めた。
 「おじさま」
うわ〜〜〜良かった〜〜、銀のおじさまだったよ―――!
別におじさまなら抱きついてもいいというわけではないけど、おじさまは多少のことは笑って許してくれるタイプだし!
わたしは急に抱きついたりしてすみません、と謝りながら銀のおじさまから離れた。
 「ハハハハハ」
おじさまはやっぱり笑って許してくれてるけど。
 「・・・・・」

目の前の超人は銀のおじさまじゃなかった。

 「ハハハハハ」
 「・・・・・」
どちらさまですか。
 「・・・・・」
銀のおじさまと同型列のマスクを被ってるけど、サイドからツノが出てる。
マスクのおヒゲが殆んど銀のおじさまと同じだし、確実にイギリス超人の血族の方だと思うけど…
 「あのぅ…」
勇気を出して『はじめまして』と挨拶したら、
 「会えて嬉しいよ」
トリプルホーン(3本角)のおじさまがわたしを抱き締めた。
それから『自己紹介がまだだったね』と言って、『ロビンナイトだ』と教えてくれた。
名前からして明らかに銀のおじさまの近親者だと思ったら、なんと、おじさまのお父さんだそうです。
つまりトリプルホーンのおじさまはケビンさんのお祖父さん!お若い!!
<ビジュアルは若大将時のままでお願いします。
改めて超人という種族の不気味さを噛み締めながらも、老人だし立ってるのも辛かろうと思い部屋に入るよう促した。
おじさまは『ありがとう』と言ってわたしの狭い1Kの部屋にあがり、背筋を伸ばして(胡坐だけど)座った。
老人なので、わたしはほうじ茶を用意した。<勝手な判断
 「どうぞ」
 「ありがとう」
一体何の目的があってここに来たのか分からなかったので、トリプルホーンのおじさまの出方を伺っていたら、いきなり、
 「、君は超人をどう思う?」
と、訊かれた。
わたしには理解出来ない種族だと思います。とも言えず、『皆さん優しい方ばかりですよね』と答えた。
おじさまはわたしの答えに満足そうにウンウン頷いて(正解だったみたい)、
息子さん、つまり銀のおじさまと奥さん(お名前はアリサさんだそうです)の結婚秘話を話してくれた。
トリプル…長いな、ナイトおじさまでいっか。
ナイトおじさまは銀のおじさまとアリサさんとの結婚の際に生じたゴタゴタがいまだに心に引っ掛かっているらしく、
超人と人間のカップルにはあまりよくない印象があるそうです。
 「アリサにも随分苦労をさせてしまった」
 「そうなんですか…」
確かに銀のおじさまと結婚したら苦労しそうだけど…その倍くらい笑わせてくれそう。
 「はどうかな?」
 「・・・・・」
『どうかな?』?
ナイトおじさまの質問の意味がよく分からないけど、わたしの結婚感について訊いてるのかな?
まぁとりあえず浮気をしないでわたしを養いつつ定年まで何事もなく働いてくれれば文句はないけど…
わたしの結婚感を聞いても仕方ないのでは…
 「・・・・・」
あ、銀のおじさまとアリサさんの幸せについて訊いてるのかな?
ナイトおじさまはアリサさんに『愚息と結婚したばかりに苦労かけた』って申し訳なく思ってるみたいだし。
 「…そうですねぇ…」
銀のおじさまのレベルはわたしには手も足もでないけど、若い頃から付き合ってれば対処法もあるだろうし…
なによりおじさまって優しくていい人だし、アリサさんは幸せだと思うなぁ。苦楽を共に、みたいな。
だからわたしはちょっと夢みてる発言だけど(だって結婚したことないから分からないもん)、
 「愛する人と一緒なら、何も苦労だなんて感じないと思ます」
と、答えた直後に照れが生じてしまい、顔を熱くしてエヘヘと笑った。
 「ウム!」
しかしナイトおじさまはわたしの答えにいたく満足した様子で大きく頷いた。
それから『は素晴らしいお嬢さんだ』とか『大和撫子らしい心意気だ』とか、やたらわたしを褒めてくれた。
ちょっとオーバーだけど、褒められて嬉しい。わたしはエヘヘと笑った。
 「では行こう」
ナイトおじさまは『善は急げだ』って感じで、すっくと立った。
 「あ、はい」
よく分からなかったけど帰るのかな?と思ったので、わたしもお見送りのために立ち上がった。
ナイトおじさまがブーツを履いて、わたしはサンダルを履いた。
ではさようならとお辞儀をしようとしたらナイトおじさまが何故かわたしをエスコートするように左手を差し出したので
わたしはその手を握って階段下までお見送りすることにした。
 「・・・・・」
 「ハハハハハ」
しかし階段を下りきってもナイトおじさまはわたしの右手を放そうとせず、
 「ハハハハハ」
 「あ、あの…っ」
わたしを引っ張ってずんずん歩き出した。
 「ハハハハハ」
 「ちょっと…っ」
放してください!とか止まってください!と言って踏ん張ったけど、力で敵う筈もなく。
わたしは腰を落とした姿勢で引きずられた。
 「ハハハハハ」
イギリスに着いたら即刻結婚式だ!と、ナイトおじさまはノリノリだ。
えー?!
もしかしてナイトおじさまも銀のおじさまみたいに、わたしとケビンさんを結婚させようとしてるの?!
 「ハハハハハ」
しかも銀のおじさまより強引!
このままだと(パスポートないのに)絶対イギリスまで連れて行かれる!と思ってわたしは焦った。
 「あの、困ります…っ」
 「ハハハハハ」
聞いてねー!
 「放してください…っ」
 「ハハハハハ」
ちょ、誰かー!
お巡りさーん助けてー!とわたしが叫ぶ前に、
 「待て!」
ナイトおじさまの行く手を遮るように、正義の味方っぽく誰かが現れた。
 「ム?」
 「隊長さん!」
現れたのは迷彩マスクの隊長さんだった。
 「やぁ、お嬢さん」
無事かな?と言いながら、隊長さんはわたしに向かってバチコーン☆とウインクした。
それから、『お嬢さんが厭がっているだろう、今すぐその手を離せ』と、隊長さんはナイトおじさまに言った。
流石にアンタッチャブルの隊長さんだけあって、その言い方はすごく迫力があったけど、
ナイトおじさまは一歩も引かずに、むしろ隊長さんを睨んで『孫の嫁を連れて帰って何が悪い』と踏ん反り返った。
隊長さんは僅かに目を瞬いて、わたしに『そうなのか?』と視線で訊いてきたので(いやいやいや)、
わたしは首を振ってナイトおじさまの妄想を否定した。
 「違うようだが」
 「ハハハハハ、は照れ屋で可愛いな」
ナイトおじさまは聞く耳持ってません状態だ。そのポジティブ思考を分けてほしいですよ。
 「さぁ、退いてくれ」
おじさまは空いている方の手(右手)で隊長さんの肩をグイッと押した。
 「・・・・・」
しかし隊長さんは一歩も引かず、ナイトおじさまの手を一度強く掴んでから払った。
 「退けないな」
助けを求める人間を無視するのはアンタッチャブル隊員として出来る筈がないし、
何より、お嬢さんは私の大切な友人だ。と、隊長さんが言った。
いつの間に隊長さんとわたしが友達になったのかは疑問だけど、隊長さんったら頼もしい!
わたしは隊長さんに向かって『助けてください』光線を発し、隊長さんはヘルプアイを受けて、ウム、と頷いてくれた。
おお、頼もしい〜!今まで変な人だと思っててすみませんでした!
 「退きなさい」
わたしと隊長さんが視線で会話してるのが気に入らないのか、ナイトおじさまが少し苛ついた口調で言った。
 「退けないな」
 「・・・・・」
ナイトおじさまと隊長さんの視線が交わる中間で、バチバチッと何かが弾けた。
 「・・・・・」
 「・・・・・」
バチバチバチ…ッ
 「・・・・・」
ビリビリとした空気が広がって、ものすごい緊迫感&2人ともすごい迫力。
ガツンッ
 「きゃ…っ」
緊迫する空気を先に破ったのは、ナイトおじさまの頭突きだった。
 「・・・・・」
隊長さんは僅かにのけ反ったけど、
ガツンッ
 「きゃ…っ」
ナイトおじさまの固そうな仮面にパッチギを喰らわせた。
 「・・・・・」
おじさまのマスクの奥で光る眼が僅かに歪められて(笑ってる?)、
ガツンッ
先程よりも威力のあるパッチギを繰り出した。
 「・・・・・」
隊長さんは『フー、やれやれ…』って感じで緩やかに頭を振ると、
ガツンッ
不意打ちに近いタイミングでナイトおじさまにパッチギした。
 「・・・・・」
ガツンッ
 「・・・・・」
ガツンッ
 「・・・・・」
ガツンッ
 「・・・・・」
ガツンッ
 「・・・・・」
ガツンッ
 「・・・・・」
ガツンッ
 「・・・・・」
ガツンッ
 「・・・・・」
おじさまと隊長さんはお互いに一歩も譲らず、互いにパッチギを喰らわせ続けた。
 「・・・・・」
辺りは血の飛沫で赤く彩られ、ナイトおじさまの仮面は歪み、その隙間からは血が垂れている。
ガツンッ
 「・・・・・」
同じく、緑のマスクを赤黒く湿らせた隊長さんが、それでも威力の衰えを見せないパッチギを繰り出した。
 「・・・ッ!グッ、ウゥ…ッ」
均衡は終に破れ、ガクンッ、とナイトおじさまが片膝をついた。
 「・・・・・」
隊長さんの露出した目が僅かに歪んで、『フッ…』と小さく笑った。
 「
グ、ウゥ…
ナイトおじさまは地面を見つめて悔しそうにギリギリと歯ぎしりした後、すっくと立った。
そしてマスクから血をボタボタ垂らしながら、
 「仕方ない…今日は潔く敗けを認めよう」
そう言って爽やかにハハハと笑った。
隊長さんは隊長さんで
 「ウム。もう一撃喰らえば私も危なかった」
と言って、ナイトおじさまに右手を差し出して互いの健闘を讃えた。
 「ハハハハハ」
 「ハハハハハ」
固い握手を交しながら一頻り笑った後、
 「では、残念だが結婚式はまた次の機会にしよう」
ナイトおじさまはパッチギガチンコ勝負中も握って放さなかったわたしの右手にマスク越しに口付けて、
爽やかにマントを翻すと、地面に血の跡を点々と残しながら去って行った。
 「・・・・・」
 「お嬢さん、無事で何よりだ」
隊長さんは『中々の強者だったな…いい勝負が出来た』と言って笑った。
それから自分はジュニア(レーラァさんのことだ)の所に行く途中で、事件の臭いがしたから駆け付けた、と言った。
 「・・・・・」
 「お嬢さんに何か遭ったら、ジュニアに何と言って詫びればいいのか」
しかし勝てて良かった、もう安心だ、と言って、隊長さんがわたしの肩に優しく手を置いた。
 「・・・・・」
 「そうだ、お嬢さんも一緒にジュニアの所に行こう」
あそこには質の良い酒が揃っているから…と、隊長さんがわたしを誘った。
 「・・・・・」
 「…お嬢さん?」
無反応なわたしを心配してくれたのか、隊長さんがわたしの両頬を手の平で包んで上を向かせると
 「どうしたのかな?」
(身長差があるので)少し背中を丸めて上から見下ろす感じでわたしと視線を合わせた。
 「うっ、うぅ…っ」
わたしはあまりの恐怖に泣いていた。
先程ナイトおじさまが口付けたわたしの右手にはおじさまの血がベットリ付いてるし、
今は隊長さんからボタボタ垂れる赤い液体がわたしの顔に降り注いでいる。
 「お嬢さん…」
血が入り込んで、真っ赤に染まった隊長さんの目が怖いよぅ…
 「ふぇ、うえぇ…」
 「お嬢さん、もう安心だ」
誘拐されるかと思って怖かったのだね、よしよし、と、隊長さんはわたしの頭を優しく撫でた。
 「ひぃっ、ぅえ、えぇ…」
その間もわたしの顔にはボタボタと赤い雨が降り注いで、わたしは怖くて怖くて、ますます泣いた。
 「よしよし」
 「ふぅぇ…ぇ…」
隊長さんはわたしをギュウと抱き締めて、わたしの頭頂部にも血の雫を垂らした。















 「・・・・・」
旧知の友が暮らすマンションでワインの芳香を楽しみながら、キン肉マンソルジャーはフゥ…と息を吐いた。
 「痛むのか?ソルジャー」
顔面は元より、手や胸元を血で染めて現れた友人に多少驚きはしたものの、
ブロッケンJr.は彼が望むままに酒を振る舞ってもてなしていた。
負傷した彼自身が傷の手当ては必要ないと言うので特にこちらから心配はしていないが、やはり、傷は深いようだ。
さて、救急箱は何処だっただろうかとドイツのレジェンドが記憶を辿っていると、
 「いやいや」
この程度の傷、なんということはない、と、超人特別機動警察隊・隊長が片手を振って見せた。
 「お嬢さん…いや、だったな」
 「ああ」
キン肉マンソルジャーの傷は弟子の恋人をイギリス超人から救出する際に出来たものであると先程聞いたので、
ブロッケンJr.はもう一度感謝の気持ちを込めながら頷いた。
 「本当に可愛らしいお嬢さんだ」
余程怖かったのだろう、私の腕の中で震えて…私がいくら慰めても泣き止まなかった、と、超人は僅かに眼を伏せた。
 「全身全霊を賭けて守ってやりたい、と思ったのは久しぶりだ」
せめて彼女が泣き止むまでは抱き締めていたかったが、彼女と同アパートの住人が彼女を心配して声を掛けてくれて、
彼女も『うわぁ〜ん、伊藤さーん!』とその住人に泣き付いたので、そのまま伊藤さんとやらに任せて来たのだ。
 「・・・・・」
 「・・・・・フゥ…」
切ない息を吐く迷彩色の友人に、ブロッケンJr.は不安気に『ソルジャー、お前、まさか』と言った。
 「ン?…ああ、ハハ、いや、まさか」
親子以上に歳の離れた女性に恋心を抱くほど私は若くない、と、ソルジャーは笑って否定した。
 「確かに、魅力的なお嬢さんではあるが、な」
 「そう、か…」
ブロッケンJr.は小さな安堵の息を吐いて、僅かに緊張した身体を弛緩させてソファーに背中を預けた。
 「ハハハ」
ジュニア、私がお前くらい若ければアプローチしたかもな、と、キン肉マンソルジャーが冗談混じりの口調で言って、
ドイツのレジェンドも『俺も十分にジジイだ』と返して笑った。
 「ハハハハ…ウム、そうだな…」
迷彩色の旧友がワイングラスを緩やかに回しながら思案顔をしたので、
 「どうした?ソルジャー」
ブロッケンJr.は僅かに首を傾げた。
 「お嬢さん…のことだが」
 「ああ」
キン肉マンソルジャーは『良いことを思い付いた!』と云う表情を見せて、
 「万太郎の妻にするのはどうだろう?」
第59代キン肉星大王の后だ!と言った。
 「・・・・・」
 「スグルもきっと気に入る」
勿論父上も、今は亡き母上も喜んでくださる筈だ、と、ソルジャーは目を輝かせた。
 「・・・・・」
 「ウム、式は早い方がいいな」
大安は何日だ、と言いながら辺りを見回してカレンダーを探したが見付からず、
キン肉星の次期大王である若者の伯父は不満気に小さく息を吐いた。
 「仕方ない、後でニンジャに良い日取りを」
 「ソルジャー」
 「ム?どうしたジュニア、お前が式の日取りを決めてくれるのか」
それはありがたい、と、ソルジャーが微笑んだ。
 「・・・・・」
ドイツのレジェンドは緩やかに首を振って日取りを決める大任を辞退すると、静かに両の手の平を合わせた。
 「ソルジャー」
 「??…どうした、ジュニア」
私を拝んだりして、何か頼み事でもあるのか?と、ソルジャーは僅かに首を傾げた。

 「ジェイドが戻ってくる前に帰ってくれ」

この通りだ、と、ブロッケンJr.は日本式に頭を下げて懇願した。















                                                
万太郎もピンチ(色々な意味で)




















 「おい、!」
どうしたって言うんだよ、と、ドアの向こうでスカーが言った。
 「、俺だ」
ドアを開けて俺だけでも入れてくれ、と、ドアの向こうでケビンさんが言った。
 「!早くドアを開けて」
オレが来たからもう安心だよ、と、ドアの向こうでジェイドが言った。
 「・・・・・」
どんどんどん、どんどんどん、どんどんどん、
 「・・・・・」
今、わたしの部屋の前には3人の欧州超人が集結している。
 「
どんどんどん、
最初にスカーが来た。
 「
どんどんどん、
次にケビンさんが来た。
 「
どんどんどん、
そして最後にジェイドが来た。
 「・・・・・」
どんどんどん、どんどんどん、どんどんどん、
3人はそれぞれにわたしの名前を呼んでドアをノックしているけど。
 「煩い!超人なんて大ッ嫌い!!」
わたしは難くなにドアを開けない姿勢を示した。
 「…」
 「…」
 「…」
超人という生き物の恐ろしさを目のあたりにしたわたしは、すっかり超人嫌いになっていた。
世の中に超人ほど理解不能で危険な生き物はいない!
人間と超人が分かり合う日なんて永遠に来るわけがない!無理無理無理、絶対無理!!
どんどんどん、
 「Amico,開けてくれ」
 「うっさいバカ!」
どんどんどん、
 「Honey,開けてくれ」
 「帰ってください!」
どんどんどん、
 「Häschen,開けてください」
 「あっち行って!」
ガンガンガン!
超人なんて大ッ嫌い!顔も見たくない!と、わたしはヒステリックに叫んでドアを蹴り返した。
 「…!」
 「…!」
 「…!」
 「煩い!バカバカバカ…ッ!」
大ッ嫌い!大ッッ嫌い!!
大ッッッ嫌い!!!と、力一杯叫んで、わたしはキーキー言ってドアを蹴った。
 「おい!いい加減にしろよ!」
どんどんどん!
早く開けろ!と、スカーが苛ついた口調で言った。
 「!俺を信じられないのか!?」
どんどんどん!
俺達の絆はそんなものなのか?と、ケビンさんが僅かに焦った感じで言った。
 「うわあぁ〜ん!――ッ!」
どんどんどん!
どうしてそんな酷いことを言うんですかー!と、ジェイドが泣きながら言った。
 「!」
どんどんどん!
 「!」
どんどんどん!
 「!」
どんどんどん!
 「ぅ、ぅう…」
わたしの目がじんわり痛くなってきて、涙がにじんだ。
 「!」
どんどんどん!
 「!」
どんどんどん!
 「!」
どんどんどん!
 「ぅ…うわあぁ〜ん、おかあさーん!」
わたしは泣きながら110番して人間の警察を呼んだ。















                                                     
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       超人戦争勃発(笑)





080203