廃止間近のナローゲージ 〜 近鉄北勢線
〜  取材日 2002. 7.20
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近鉄北勢線は三重県の北部・員弁地区の各町を結ぶ路線で、桑名市の西桑名から北勢町の阿下喜まで20.4kmの路線です。

この路線はナローゲージとも呼ばれ、レールの間が762mmしかありません。この数字は、あの新幹線の約半分(1435mm)しかなく、いかに小さな鉄道かが想像つくことでしょう。

北勢線と同様の路線は日本中でも3路線でしか見ることのできない貴重な路線なのですが、その特殊性から様々な問題を抱えており、加えて乗客数の減少や経費の増大などの理由から、近鉄は2001年(平成13年)12月に廃止届を提出しました。

その後、近鉄と地元との話し合いが行なわれていますが、廃止するのか存続するのか未だに決定しておらず、このままでは2003年(平成15年)3月末で廃止される運命にあります。


起点の西桑名は、JR・近鉄桑名駅からは少し南側に離れており、乗り換えには改札口を出なければなりません。

駅構内は1面1線で、電車の到着までは改札口が閉められています。

北勢線の電車はあずき色とオレンジ色のツートンカラー。

見た目にも分かるように何もかもがスモールサイズ。背の高い人ならば楽に天井に手が届くし、両手を広げれば車幅とほぼ同じ。だからロングシートに腰掛けると前の人の足につくほどの狭さで、ラッシュ時はさぞかし窮屈でしょう。

西桑名を出ると、右手に1067mmのJR関西線と1435mmの近鉄名古屋線が併走します。

全国で唯一、3つの軌間を同時に見ることのできるポイントです。この先で北勢線はこれらを乗り越します。

馬道を出ると家の軒先を走るように進み、東名阪道の真下にある在良で上り電車と交換します。

北勢線の交換駅では列車は通常とは逆の右側通行ですれ違うため、対向列車が左側を走る光景を見て一瞬戸惑ってしまいます。

七和から六把野あたりまでは、右側は員弁街道沿いの集落が、左側は員弁川沿いの田んぼが広がっています。 北大社は北勢線の中心駅で西桑名からここまではほぼ30分間隔で運転されています。
この駅には車庫が併設されていますが、その規模もやはりコンパクトですが、行なわれていることは普通の電車と同じ。 北大社を出発すると、天気がいいと目前に鈴鹿山脈が見えてきます。

しかし、この先は勾配もきつくなり、集落も減ってくることから必然的に乗客も減ってきます。

大小のカーブを低速で進んでいくと、員弁町の中心駅、楚原に到着。駅舎は立派で、駅員がいます。ちなみに北勢線で駅員がいるのは西桑名、北大社とここ楚原の3ヶ所だけ。

ここから先は交換可能駅がないため、対向列車の到着を待って出発します。

蘇原を出発すると明智川を渡ります。ここの橋はレンガ作りの橋で撮影の名所です。

北勢線の線路は川に対して直角に渡っているため、橋の前後にはきついカーブが存在しており、制限速度が時速30キロ以下のところが多数存在しています。これがスピードアップの障害になっています。

上笠田からは集落から離れて林の中を走り抜けていき、アップダウンとカーブが連続する難所を越えて員弁川の平野へと降りていきます。 藤原岳が正面に大きく見えると終点の阿下喜に到着します。駅前からは北勢町の各方面へバスが連絡しています。  
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