(2006/9/7(木)掲載、2006/11/18(土)追記)
アダプタ交換前 |
溶接部をガウジングで除去し、アダプタを外した後、クラックをえぐる。 |
クラック部をえぐった跡を溶接し、サンダーで平らに仕上げる。 |
新しいアダプタを均等な間隔に配置し、仮付けを行う。 |
溶接終了。(下の写真では、ツース板を取り付けてある。) |
アダプタはホーバケットのリップに固定されている「ツメ」のような部分であり、 先端に「ポイント」(硬質の材料で作られた、耐摩耗用のカバーのような部品)や「ツース板」を取り付けて使用します。
(※ホーバケット以外に、スケルトンバケットやピラニアバケットなどでも、このアダプタは取り付けられています。)
バケットの使用を重ねることで、アダプタは(一見、見ただけではわかりにくいですが)ポイント・ツース板の取り付け部(接触部分)や、直接土砂等との摩擦に晒される上面・下面が磨耗します。
特にポイント・ツース板との接触部分の磨耗が進むと、ポイントやツース板の取り付け具合に大きなガタが生じます。
この場合、ポイントやツース板を新品に交換しても、アダプタ側が磨耗して小さくなっているため、ガタは解消できません。
アダプタの磨耗の度合いが大きくなり、使用に支障をきたす場合にはアダプタを交換することになります。
この修理は、パワーショベル(バックホー、ユンボ)用バケット修理事例の中では、最も一般的な修理事例といえるほど、頻繁に行われる修理だと思われます。
このアダプタ交換に際しては、ミニショベル用バケットを除いて、リップにおいて元の溶接部のキワにクラックが生じているのを見つける場合が、非常に多いです。
特にガウジングバーナーで磨耗したアダプタの溶接部を飛ばした後は、リップに熱が加わり収縮するので、リップの内部に生じていたクラックがリップ表面に次々と現れることが多くあります。
これらのクラックを放置しておくと、バケットの使用を重ねるにつれて(リップはたわみを繰り返すので)クラックが大きくなって最悪の場合、バケットが大きく破損することになるので、当社では見つけ次第ガウジングバーナーでクラック部をえぐり、溶接して修理します。
この事例でも多数のクラックを発見したので、全てのクラック修理を行った後にアダプタの取り付けを行いました。
アダプタは硬質の材料でできているので、溶接後の割れの発生を防ぐため、溶接前にリップとともに予熱をかけておくことが大切です。