アレルギーの治療(皮膚・耳)

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アレルギーの治療については、当院の方針では「痒みを止める」というよりも、「痒みの原因を探る」という事に重きをおいています。大学病院時代からアレルギーやアトピーと診断されてきた子をたくさん診てきました。やはり、原因がはっきりとしないものは、どうしても逃げがちな痒み止めだけという対症療法のみになります。それではやはりいつか限界がきています。

原因があって、結果があるのが病気ですので、アレルギーが引き起こす痒みに対して痒み止めだけで投薬を行うのは治療でもないのです。したがって、当院では

1、痒みの原因を探る。

2、原因に対して対処をするようにする。

この二点を最重要視しています。痒みの原因を探るのは、簡単なことではないし、問診でもすごく長く話を聞くことになるかもしれません。食器が体に合わなくて、アレルギーを起こした子もいました。ノミがいて、それで痒かった子もいました。皮膚の寄生虫で痒い子もいました。神経的なもので、痒みを呈しているような子もいました。食事アレルギーの子もいました。シャンプーを自宅でやって流し忘れてそれに対して皮膚がベトベトして痒くなる子もいました。

結局、痒さがひどい時には、一度きりステロイドのような痒み止め、または、抗ヒスタミン剤といった痒みに直に作用するようなお薬を使うことがあります。これで、本当に難解なアレルギー以外で困ることはあまりないです。

臭いゴミ箱があった時に、それにふたをするというのが、ステロイドなどを用いた見た目だけ良くする対症療法です。しかし、ゴミ箱のゴミはなくなりません。治療するということは、ゴミを捨てるということです。ステロイドを用いた治療は、ゴミ箱のふたで、薬が切れたらふたがなくなりまた臭くなります。またふたをする時には、薬をもしかしたら増やさなくてはいけないかもしれません。そんなことでは、いつまでたってもいたちごっこです。その子の幸せのために、治すことをお勧めします。今のたとえで言うなら、ゴミ箱のゴミを捨てるということです。

さて、

耳の悪い子でもよくアレルギーが関与していると言われていますけど、果たしてそうでしょうか?

私の友人で耳鼻科の医者がいます。話を聞くと外耳炎の何割かが、耳掃除をやった事が関与しているそうです。また、原因をきちんとすることで、どのイヌでも数回の耳掃除で良好な経過をたどることができています。なかなか治らない症例というのはやはりアレルギーが関与している場合があるのですけど、そこまでひどい場合にはもっとしょっちゅう病院へ来られるのではないかな?と感じます。

耳だけが子供の頃から悪かった。そういった子も聞きます。

果たしてこれはアレルギーなのか?

垂れ耳だから、耳が悪いんです。

この犬種は、耳が悪いって言われました。

などなど様々なことを聞きますけど(ペットショップや、ブリーダーさんなどがこういう場合が殆どです)、これは最初から最終の最悪のことを考えての言い訳であることが殆どです。本当にそう言われたら、もっと健康な子を家に連れて帰るのがいいでしょう。最初から病気の子を連れて帰るのは、もしくはそういう子をそのまま治療しないで売っているのでは、そこは信用は出来ないと思います。

アレルギーなら、原因を探る努力をして、耳が悪いのなら、なぜ耳が悪いのか?その原因となっているものをはっきりとさせてから、きちんとした方法で耳の処置を行うべきです。そのあとで、何か薬を入れるのなら、検査結果に基づいたものを投薬、もしくは塗布する必要があると思います。

痒み止めは必要でない子が案外多いです。そして、数日で良好な経過をたどります。

当院では、きちんとした検査結果を元に、顕微鏡の映像を診療室で一緒に見ながら、原因となった菌をその眼で、確認していただけるように説明しています。皮膚病についても同様です。菌の検査や、皮毛の検査。全て飼い主さんに目で見てもらって説明を納得いくまでさせていただきます。

耳のお薬だけでも、10種類ほどを使い分ける必要があり、皮膚病にいたっても同じくらいの薬を使い分けています。

薬をお出しする際にはきちんとしたお薬の説明をしますので、診察室での検査の結果ともにご理解いただいた上で、治療にも協力的になっていただけると思います。また、長期間に治療が及ぶことは比較的少なく、原因がわかったものでは数週間の治療であとは定期的な観察で、良好な結果が得られた子がたくさんいます。痒み止めを数ヶ月使うといった治療は、その子自体の体によくないので、ほとんど行うことはありません。

長期に及ぶ場合には、漢方や、免疫系のお薬なども使うことになると思います。全てはインフォームドコンセントの上でのことですので、疑問点は全て解決してからお薬は使うようにしています。

病気が、なぜ悪いのか?どこが悪いのか?
それをまず考えてあげることが非常に大切で、病気を診る西洋医学のみならずそのこのことを一番に考えた東洋医学的な体全般を見渡す治療法を用いて、いいところをミックスした方法で、治療を行うようにしています。なるべく早く治せるように、なるべく通院回数を減らしていけるように、、、、それが当院一番の願いです。

相談はお気軽に来院ください。相談に対しての相談料等は(躾けの相談も同様です)一切いただいておりません。