経営革新18のステップ

1.定義
経営革新って何? 経営革新について、例えば、中小企業支援法第2条3で”この法律において、
経営革新とは、中小企業者が新商品の開発及び生産、新役務の開発又は提供、
商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入
その他の新たな事業活動を行う事により、その経営の相当程度の向上を図ることをいう"
としている。

孫引きになるかもしれないがイノベーションについて
【クラシック定義はシュンペーターの「創造的破壊」に始まる。シュンペーターはイノベー
ションを広い概念として捉えるが、人によってはイノベーション即、技術進歩と限定的に取り上
げる場合がある。しかし編者が指摘するように、その本来の意味は、(1)新商品
(2)新生産方式新商業方法(3)新販路(4)新原料(5)新組織と経営全般に広く及んでいる。
彼の主要著書「景気循環論」では、新結合に代わる言葉としてイノベーションが新しく登場
するが、経済生活の上で、「異なる方法でことを運ぶ(doing things differently)」ことをイノベ
ーションと呼び具体的に、商品生産における技術変化、新商品導入、新市場・新供給源開拓、
テーラー式科学的管理法、物流方法改善、デパートのような新事業組織が例示される
と「イノベーション経営」R・M・カンター/J・カオ/F・ビアスマ編 堀出一郎訳 日経BP社 」
の訳書の中で堀出一郎氏が紹介している。

2.経営革新のステップ
経営革新の進め方に関する一般的な手順は無いといってもよいだろう。従来、どちらかと
いえば、経営革新の対象項目に着眼して実施内容を切り出して対応。しかも対応の仕方は
各人さまざま、経験と感の世界だった。
例えば新製品開発ならば要素技術の強化を重点に行なうとか。
又、何故、新製品開発かについての客観的分析は無く、社長のエイヤ!できまっている
ケースが多い。

「企業を全体的に診断し、その結果として、その企業の経営革新を成功させる最も重要な
要因を明らかにし、その上でその要因を実行に導く手順を明らかにし実行させる」といった
一般的手順があれば企業の経営革新は、大いに進展するであろう。

このような観点から有志で調査研究を行なっている。
この面での多くの示唆は中小企業診断協会が中小企業診断士の実習者向けに配布して
いる例えば、工業診断実施要領などが参考になる。
また、1昨年10月に特定非営利活動法人ITコーディネータ協会(以下ITCAと略す)から
「ITコーディネータプロセスガイドラインβ版」が発表された。
これは企業のIT化をどのように進めるかについての手順書であるが「企業の経営革新を
どのように進めるかについて」貴重な示唆を与えてくれる。

ここではそれらを参考にし、中小企業者向けに簡略化した「経営革新18のステップ」を
提案したい。

そのステップは
1)企業の使命の確認
2)企業の目的の確認
3)経営革新必要性の認識
4)自社の現在のビジネスモデルの把握
5)外部環境の分析(機会と脅威)
6)内部環境の分析(強みと弱み)
7)経営革新の方向決定(新しいビジネスモデルの方向の決定)
8)目標の設定
9)既知のビジネスモデルの参照
10)ビジネスモデルの決定
11)周知の手法の参照
12)国の支援策活用の検討
13)ビジネスモデル実現手法の検討
14)実施項目の設定
15)実施キックオフ
16)実施
17)実施結果の評価
18)継続的革新
以下一つ一つ見ていく

1)企業の使命の確認
企業は、普通何らかの社会的使命を持って生まれていく。単に金儲けの為の存在ではない。
もし、起業者が金儲けを使命として会社を興したとしたら、多分その企業は、長くは存続で
きないであろう。
パン屋さんなら”美味しいパンをみんなに食べて喜んでもらいたい”そういう思いが根底に
あるはずだ。
”一丁、金儲けにパン屋でもやろうか”そんな精神構造でパン屋を開いても”美味しいパンを
みんなに食べて喜んでもらいたい”との一心のパン屋さんに勝てるはずが無い。
 今は競争の激しい時代である。需要よりも供給がはるかに多い時代なのだ
そこで、あなたの会社の業績が思わしくないとする。
あなたが会社の社長でも1従業員でもよい。
あなたの会社の使命は何ですか
心のそこから社会的な使命を思って働いているだろうか。
ええっとなんだったけ?うちの会社の使命は?
考え込むようでは心もとない。今すぐ会社は何のためにあるのか?
会社は世の中のためにどの点でお役に立っているのか?
それを問い質すことが重要だ。それができないようだったら、考えたほうがよい。
使命なき会社は悪である。使命感なき経営トップは悪である
企業の使命の大切さ、それは企業が外部に向けたメッセージなのだ。
”我社はこの点で世の中に貢献したい”
企業の使命は経営理念などの形で明確にされる。
より具体的には戦略ドメイン(つまり、わが社のお客様は誰か、お客さの求めるものは何か?
わが社はこのような製品・サービスで貢献する)を明らかにしてひたすらに、一途に奉仕する。
そのことを明らかにするのが肝要だ。

2)企業の目的の確認
企業の使命は会社の内部で十分浸透しているだろうか?
社長の篤い思いは従業員に伝わっているか
会社の内部で使命を実現する為の活動が十分に繰り広げられているか?
わが社の目的を周知徹底しているか?
使命が周知されていても従業員一人一人が「目的意識」を持って活動しないのでは何にも
ならない。
使命を実現するにはわが社は何をすればよいのだろうか?
それを明らかにするのが企業の目的の確認なのだ。
一人一人が目的に向けて具体的に行動するのが重要だ。
「ビジョナリーカンパニー」の著者ジェームスコリンズ/ジェリー・ポラスは次のように云っている。
”目的とは、得たいと思って狙っているもの、そこにたどり着きたいと思って行動する場合
の方向付けとなるもの、到達点等のように理解される(山岡陽一訳日経BP出版センター)”

3)経営革新必要性の認識
「変わらなければならない」との強い認識があるか
経営革新の必要性はつぎの2つの状況で認識される。
@事業成果の長期低落傾向
A一定レベルの事業成果を脱皮し更なる飛躍を図りたいとき
企業の経営環境は絶えず変化していく。顧客のニーズは変化し、競争の条件も変わって行き
かた時としてとどまることは無い。
方丈記の世界、無常の世界なのだ。諦観すれば企業の死が待っている。
事業の枠組みを変えていかなければお客様のニーズに的確に対応できず、競争相手に
遅れをとることになる。その結果事業の成果は長期低落傾向に陥る。
また大きく成長していく企業を観察するとそこに一定の傾向が伺われる。
つまり脱皮を繰り返しているのだ。古い殻を脱ぎ捨てて成長しているケースが多い。
例えば次の事例を参照されたい。

中小企業の成長戦略事例1(ITCAのHPに掲載)

仕事の場(事業ドメインといっても良い、お客様、お客様のニーズ、自社の製品)を
進化させているのだ。しかも決して基本軸から逸脱していない。例えば、自社製品の延長線
上の製品展開、お客様の近縁のお客様とか、古いものを大切にしつつも新しいフィールドを
発見しそこへ経営資源を注力する。
無謀な試みではなく計算されつくした試みに全力を注入する。
経営革新必要性の認識は企業のトップが持つことは必須の条件である。しかし、十分ではない。
このあたり例えば「経営革命大全」の著者ジョセフ・ボイエット&ジミー・ボイエットは
次のように述べている
”従業員に変革の必要性を納得させ、変革が成し遂げられた暁には状況がどれほど改善
されるかというビジョンを示し、変革プロセスの早い段階で前向きな成果を生み出すことに
よって、何をやろうとしているかよく分かっているんだと示す必要がある”
(大川修二訳 日本経済新聞社)

4)自社の現在のビジネスモデルの把握
自社の事業ドメインの実態と事業価値を把握することである。 ビジネスモデルとは「儲ける仕組み」と云われている。つまり製品・サービスの売る仕組み、
作る仕組み、これらを統合管理する仕組みのことである。
ひと言でいえば”自社の売りは何か、何処で付加価値をつけているか”
言い換えれば、「製品・サービスに対する顧客の価値認知、売り上げ増加、収益増加,
価値向上の為の再投資、価値向上、新規・リピート顧客の増加、・・・」という良循環を
形成しているか?
自社の儲ける仕組みを把握する。
「シナリオ・プランニング」の著者キース・ヴァンデル・ハイデンによれば
”ビジネスモデルには次の要件が説明されていなければならない。
@顧客価値の創造
A競争優位上の特質
B明確なコンピタンス
C上記の要素がポジティブフィードバック・ループを形成すること”(西村行功訳 ダイアモンド社)
顧客価値経営のビジネスモデルとしては日本経営品質賞のフレームワークが参考になる。
また、企業評価の視点としてはバランススコアカードが参考になる。

5)外部環境の分析(機会と脅威)
環境変化を競合他社より早く察知し変化に対してすばやく対処することだ。
自社の強みを事業機会に当て、弱みへの脅威に対しては緩和対策を講ずることだ
環境変化は一企業にとっては如何ともしがたい与件である
所与のものとして受け入れ積極的に活用する姿勢が大切だ

市場環境は
@ものがあふれてほしいものが無い
A将来への不安から積極的に何かを買おうとしない
BITとくにインターネットを中心とする情報通信環境の変化がビジネスの競争条件を
劇的に変えている。
C情報流、物流、モノつくり革新が経営の形を変えている
D国境を越えてモノ、情報が自由に行来できる環境が整いつつある

このような環境変化を的確に冷静に把握分析し自社の生存できる場所を見出していかね
ばならない

6)内部環境の分析(強みと弱み)
IT化の進展は企業の経営形態を強制的に変えさせつつある。
従来、基幹的な業務はもちろんのこと,支援的な業務も自社の中に保有していた。
しかし IT化が進み通信費用が劇的に低下しつつあり、コンピュータの機能の向上は
従来とは違った仕事の仕組みを経済的に提供できるようになった。
つまり、情報提供手段の多様化、情報の多様な表現、情報コストの劇的な低下、
流通コストの低下が仕事のやり方を大幅に変えることを可能にした
人材、技術、設備などの経営資源の外部転化、持たざる経営が企業の筋肉体質形成に
不可欠となりつつある。
企業は自社の強み弱みを的確に把握して対処していかねばならない。
つまり、”自社の売りはなにか”自社の経営資源を代替したほうが付加価値が増加するものは
何か
代替不可の究極の経営資源は何か?それは競合優位にあるかを把握すること である。
言い換えると
@コアコンピタンスを明確にし、経営資源の集中と強化を図る。
A弱みを補完するため他企業との連携を図る。
BIT技術の進展が物理的な条件を克服しバーチャルな企業を形成する。

7)経営革新の方向決定(新しいビジネスモデルの方向の決定)
今までの1から6までの分析から経営革新の方向を決定する。
新しいビジネスモデルの方向を決定する。
新しいビジネスモデルの方向を決める上で重要なのは「それが顧客の求めているものか。
それは自社の経営資源をもっとも有効に活用でき、顧客価値を最大にする組み合わせか」を
問いただすことだ。

作業の手順としては
@戦略代替案の検討
A事業ドメインと事業価値の再定義
B戦略課題の定義
の流れで行う
革新の方向として
@新商品の開発
A新サービスの開発
B新生産方式
C新販売方式
Dその他新たな事業活動など
が挙げられる。

8)目標の設定
目標は目的と異なり、この経営革新が目指す「達成しようとする水準」を示し、数値化されたものである。
目標は時間軸の中で設定され、相互に連携される。この辺の事情はバランススコアカードを参照すると良い
経営革新活動はこの目標に向かって施策され実行される。例えば経営革新が達成されたとき
業績(売り上げ、損益、収支の値など)はどう革新されるか。
目標値は経営革新の推進の過程で常にモニターされ、評価され、フィードバックされ活動を
推進するエネルギーとなる。前出の「経営革命大全」によれば
@優れた変革プログラムは成果ー明確かつ具体的で収益に直結成果ーを生むことから スタートする
A「変革プログラムの目標は活動であってはだめだ。目標とは顧客,従業員,
株主に関わる業績という形をとらなければならない」
B「組織変革とは(組織の業績を変革する)ことである。現在の活動と業績の関連性が
明確になればなるほど変革の過程で示されるエネルギー,専心、興奮といったものも
一層強烈になるのだ。

9)既知のビジネスモデルの参照
ビジネスモデルを決定する上で従来型のビジネスモデルの中に自社の参考となるものが
無いか検討する。
競合優位を確立するには同業他社のビジネスモデルは当然に凌駕すべきものである。
さらに、異業種のモデルに使えるものが無いか検討する。
事業領域が狭く特殊な条件がその企業の成功要因を形成していることが多い中小企業に
とって、他企業のビジネスモデルは参考にはならない。・・・・ともよく言われる。
しかし、そうであっても他企業のビジネスモデルを参考にすることは重要である。
 モノがあふれている今の市場環境のなかで「顧客主導」は基本的な条件である。
同じくインターネットを使ったビジネスのやり方も殆ど基本的な条件といって良いだろう。
このようないくつかのキーワードを自社の事業領域でより先鋭化して磨きをかけることが重要
なのだ。
他社が行なっているやり方の中でヒントとなるキーは多くある。謙虚に学び、本質を見失わず、
自信を持て活用することだ。

10)ビジネスモデルの決定
ビジネスモデルの決定は経営革新の方向、設定された目標に対する自社のビジネスモデルの
現状とのギャップを認識し新しいビジネスモデル像(概略)を打ち立てることである。
又、新しいビジネスモデルで将来市場における競争優位を実現できるか評価する。
自社ビジネスモデル設定の視点は
@競争環境をどのように捉えているか
A顧客のニーズにマッチしているか
B自社のビジネスシステムに近い領域か、リスクの最小化、最短時間での達成可能性、
成功の確率は高いか
C自社の強みをさらに伸ばすことができるか

自社のビジネスシステムのギャップ認識の視点は
@ビジネスモデルに対する自社経営資源の再評価
A内部の強化と外部との戦略的な連携
にある。

よく知られているように、ポータは、企業を取り巻く環境の中で、競争市場の規定要因として
@既存企業間の競争の強さ
A潜在的競争者の参入の可能性の強さ
B代替製品の圧力
C供給業者の競争力
D買い手の交渉力
という5つの要因を指摘している

このステップで
@重要成功要因(CSF)の優先順序付け
Aビジネスモデルの概略
B収益構造モデルの概略
CCSFの最終目標と経営革新の手段概略
Dモニタリング項目概略
E概略スケジュール
を明確化する

11)周知の手法の参照
ビジネスモデルは多くのビジネスプロセスから構成され全体として収益、売り上げの増大と
いう良循環を形成する。
このプロセスの中には普遍的に活用可能な要素プロセスが数多く存在する。例えば
小売業であるならばPOSシステムとか、金型製造業ならば3次元CADとか。新規モデル構築
に当たっては、自社の活用可能なこれら手法を調査する。
情報化の進展は、経営革新を進める上でIT活用を必須なものとしている。
IT活用は従来の競争の枠組みを変革させるものである。
既存の手法を情報活用によりまったく新しい業務用ツールに変換できることに留意すること
そのためにはITの本質を見極め業務に上手く生かしていくことが重要である
IT革命の本質について
@情報は繰り返して活用できる(擦り切れることも無ければ減りもしない)
A情報は夜も眠らない(24時間フルで稼動させることもできる)
B分身を持つ(自分の代わりをコンピュータにやらせる)
C情報の通信コストが従来の方法と比較して劇的に安い
D情報の伝達速度が速い(光と同じ、毎秒7回半地球を回っている)
E何時でも何処でも誰とでも情報交換できる
F分析・加工ができる
Gいくらでも深く探すことができる(浜の真砂のその一粒を認識できる)
この辺の事情は

IT革命って何?

を参照されたい。

12)国の支援策活用の検討
国は中小企業経営革新支援法により次のような支援を行なっている
国または都道府県により承認された「経営革新計画」に従って行なう事業に対して
@補助金の交付
A設備資金・長期運転資金の低利融資
B設備投資減税などの税制上の特別措置
C新規・成長分野雇用創出特別奨励金
など
また、創業支援、経営資源確保、交流連携共同化の推進などの各種支援策も講じられている。

13)ビジネスモデル実現手法の検討
如何に立派なビジネスモデルを描いてもそれが実現されなければ絵に描いた餅である。
ビジネスモデルの実現には周到な計画と全社を挙げた地道な実行への取り組みが必要である。
実現手法の検討は、新モデル像を実現する為、全社レベルでの課題を明らかにすることである。
ヒトモノカネ情報などの自社の経営資源活用と運用の基本的な方向付けを行なう。
検討の視点は
@ITなどの先進技術の取り込み(情報共有、変化への迅速対応、きめ細かな管理)
A人間への取り組み(人間の保守性、独善性、リスク回避)
B企業の体力への配慮(一時的な混乱と戦力の低下、財務の悪化)
C企業文化

この段階で
Aビジネスモデルの詳細化
B収益構造モデルの詳細化
C主要マネージメント要件の明確化
Dモニタリング項目詳細化
E詳細スケジュール化
を行う

14)実施項目の設定
この段階で課題別推進チームの編成を行なう。
設定された課題(マネージメント要件)ごとに具体的に施策項目を決め、施策目標、実施に必要なヒト・
モノ・カネなどの資源の配分、期間、マイルストーン,チームメンバーの役割分担の割付を行なうことである。

項目設定にあたっての留意点は
@課題の目的目標をもっとも有効に実現するものであること
A施策項目相互間の機能役割分担、時期的な整合が取れていること
B成功の慣性が働くようにはじめは無理をせず小さな成功の積み上げを重視すること
C遠近の法則、近くは詳細・実利的に計画し、遠くは骨太にあるべき姿を
D目標,マイルストーンは単純明確に、数値やキーワードで示す

このためにはチームメンバ−全員が項目設定作業に参画し必要なバックグラウンドの理解と
情報の共有、チームへの貢献意欲の醸成を図ることが重要である

15)実施キックオフ
経営革新活動のスタートにあたり、関係者が一堂に会し、革新の方向、ビジネスモデル、課題、
施策項目、達成時期を確認する。最も大切なことはキックオフで会社のトップが自分の言葉で
会社をどうしたいのかを熱意を持って訴えることである。
関係者を幅広くとらえ自社の全社員は勿論のこと、関連会社の主要なメンバーを入れるように
したほうが良い。改革は、反対者が少数でも莫大なエネルギーを消耗するものなのだ。
このキックオフにより参画者の心のなかに”経営革新後の姿”が焼き付けられ、一人一人が
この革新に対して運命共同体の一員として重要な役割を担っていることを実感する。
経営革新のステップ1から14に至る作業によって、作業メンバーには革新の内容は充分承知さ
れているはずである。又その過程で様々な公式、非公式の情報が流れている。
憶測を含めて、様々な思いが社員にあるかもしれない。ここは、予断・偏見・憶測をきれいさっぱり 洗い流し、全員が新しい改革に参画してもらうための儀式なのだ。
視点
@役割、責任と権限を明らかにする
A実施項目と進捗を測る指標・マイルストーンを明らかにする
B情報連絡網及び連絡手段を明らかにする
C情報の共有化を図る(ITを最大限活用する)
Dモニタリングとコントロールの組織を確立する
E

16)実施
実施の手順は、従来の改善改革などの変わるものではない。しかし、革新の対象が全社レベル
であること、従来の仕事の枠組みを大きく変革すること、変革への障壁が高いこと、その成否が
会社の浮沈影響を及ぼすこと、成否に関わらず社員一人一人に大きな影響を及ぼすこと、
未知な領域への挑戦であることなどリスクと影響が大きい。従って社長が先頭に立って推進すると
共に全社員がそれぞれの立場で参画することが重要である。
社長はもとより全員の知恵と情熱と意欲の結集が求められる。
視点
@目的・ビジョン
Aリーダーシップ
Bエンパワーメント
Cコラボレーション
Dコーチング
E情報共有

17)実施結果の評価
進捗を測る指標・マイルストーンに対して実行結果のモニタリング・評価し再対策を講ずる。
経営革新の場合、施策の遂行に伴って新たなる課題が発生することが多い。従って常に
新しい状況の中で再計画・目標の練直しを図っていくことが重要である。

18)継続的革新
企業を取り巻く環境は絶えず変化し、市場の競争要因に見るように常に厳しい競争に
さらされている。現状にとどまることは企業の衰弱死を意味する。たえず現状に甘えることなく
革新を図っていかなければならない。
このためには事業運営に継続的な革新を図る仕組みを埋め込むことである。