第33話
「男の子をイビる 野生の凄い少女」
●放送日:1978年12月27日(視聴率:10.7%)
●脚本:高久 進
●監督:竹本弘一

◆ゲスト◆
菊地優子(役名:花子) ・「太陽戦隊サンバルカン(#16)」等にも出演

■登場マシーンベム:火炎ギツネ


ひとみの撮った写真が週刊誌のグラビアを飾った。
モデルの少女・花子の胸に光るペンダント。
そのペンダントには超能力をもたらす不思議な力があった。


(写真・左、中)
「モンスター教授、これをご覧下さい!」
アマゾネスは一冊の週刊誌(『週刊新報』)を差し出した。
「むっ、これはスパイダー星のペンダントではないか!」
モンスター教授はひとみの撮った少女(花子)の写真を見て驚いた。
少女の胸にはその昔スパイダー星を滅ぼした時に、
ガリア一族から奪ったペンダントが掛けられていたのだ。

今を去る400年の昔・・・
モンスター教授はガリア一族が支配するスパイダー星を攻撃し、一族を皆殺しにした。
その時、スパイダー星の金銀財宝も手に入れたのだ。
ところが地球に着陸するおり、宇宙船は故障を起こし爆発した。
自分は緊急脱出装置で無事着陸したが、
財宝を入れた箱は宇宙船と共に何処かに吹っ飛んでしまった。
それ以来財宝の行方をずっと探していたのだ。

(写真・右)
一方、超能力を持つ山城拓也も
週刊誌に載った少女のペンダントが放つ怪しい光を感じ取った。
早速拓也はペンダントを持つ少女の元に向かった。
しかし鉄十字団が花子のペンダントを奪いにやって来たため、スパイダーマンとなりこれを蹴散らした。





(写真・左)
「面白くねえな、誰かオラと遊ぶやつはいねえのかな?」
田舎から越してきた花子は同級生をいじめてばかりいて、友達も出来なかった。
「退屈そうだね、遊んであげようか?」
ペンダントのことが気になっているスパイダーマンは花子に近寄り、
勝負(ガチンコ!)に勝ったらペンダントのことを話してもらう約束をした。

(写真・中)
「こい、スパイダーマン!」
だが、花子はあまりにも強かった。
「凄い女の子だ!」
スパイダーマンは手も足も出せず、一端退散することにした。
どうやら少女はペンダントにより凄まじい超能力を発揮するようだ。

(写真・右)
「君は信心深いんだね」
花子がお稲荷さんにお供え物をするのを見てスパイダーマンは言った。
「なんだ、またオメエか。さっきはよくも逃げたな!」
そう言い放った花子であるが、その表情にはどこか暗い影があった。

実は少女には辛い過去があったのだ・・・

少女の生まれた村には守り神のお稲荷さんがあり、
少女は出稼ぎに出ている父の無事を毎日祈っていた。
しかし1日だけお供え物をするのを忘れたら、
その日父は出稼ぎ先の建設現場で墜落死してしまった。
父の死は自分がお供えを忘れたせいだと少女は思った。
さらに母も父のあとを追うように死んでしまったのだった。
今は東京の叔母の家で世話になっているのだが、
そんな辛い経験が少女の心の中にずっと“しこり”として残っているため、
どうしても素直になれず、友達とも仲良くできないのだ。





(写真・左)
鉄十字団は花子からペンダントを手に入れ、秘密を聞き出すため、
数あるマシーンベムの中から、たぶらかし専門の火炎ギツネを送り込んだ。
火炎ギツネは「お稲荷さんの守り神」と称し、
花子からペンダントの出所を聞こうとしたが、スパイダーマンがそれを阻んだ。

(写真・中)
何としてもペンダントを手に入れたい鉄十字団は、
登校途中の花子を誘拐した。
アマゾネスはペンダントの秘密を聞き出そうと、
マシーンベム「火炎ギツネ」の放つ強烈な炎で少女を攻めさせた。
花子は言うまいと頑張ったが、
熱さに堪えきれず、とうとうペンダントを手に入れた経緯を喋ってしまった。
ペンダントは父からもらった物で、出稼ぎ先の工事現場の地下に埋まっていたという。

「その工事現場はどこだ!」
アマゾネスはなおも容赦なく火炎ギツネに攻めさせた。
しかし少女はそれ以上のことは知らなかった。
「熱い、熱い、助けてくれよー」
このままでは少女は焼き殺されてしまう・・・。
と、そこへスパイダー感覚を感知したスパイダーマンが駆けつけ、
絶体絶命だった少女を無事救出した。

この後、火炎ギツネは巨大化するがレオパルドンのソードビッカーで倒された。

(写真・右)
「これやるよ」
花子はスパイダーマンにペンダントを渡した。
「これはお父さんがくれた宝物だろ」と言うスパイダーマンに対し花子は、
「オラ、たった今限りお父とお母のこと忘れるだ。
いつまでもお父とお母のことを思い出してちゃ叔母さん達や友達に好かれんもんな」
「そうだ素直な子になり、みんなに可愛がってもらうんだよ」
・・・見つめ合う2人・・・
「スパイダーマン!」
花子はスパイダーマンにすがりつき泣いた。

少女は今、父と母の思い出を捨てようとしている。
そうしなければ自分がこれから生きていけないことを小さな胸の内で感じ取ったのだ。



■レオパルドン戦闘データ■
《戦闘時間》
10秒21
《使用した必殺武器》
ソードビッカー

「火炎ギツネ」はレオパルドンに触れることができたか?→×


〈補記〉
スパイダー星の残りの財宝の行方は、花子の父が既に死んでしまっているので結局分からなかった。
何時の日か、明らかになる日が来るのだろうか?

ひとみは自分の撮った写真が巻頭グラビアを飾ったので、喜び勇んで山城家にやって来た。
「とうとうやったわね! おめでとう!!」
新子も自分のことのように喜び、今までの苦労をねぎらうのだが、
実は、以前にも『週刊ウーマン』誌上において、
ひとみの撮った小林幸太郎&BB5の写真が巻頭グラビアで取り上げられている。(第7話参照)
しかし、このはしゃぎっぷりは、自分の写真が初めて週刊誌に採用されたかの様だ。
『週刊ウーマン』は三流誌で、今回の『週刊新報』は一流誌だというのだろうか。
個人的にはそうは思いたくはない。


Back



(C)M.C.G/東映