第14話
「父に捧げよ 戦えぬ勇者の歌を」
●放送日:1978年8月16日(視聴率:6.2%)
●脚本:上原正三
●監督:平山公夫
◆ゲスト◆
谷岡弘規(役名:大和路夫・コウモリ男)・「バトルフィーバーJ」等にも出演
■登場マシーンベム:コウモリ男■
スパイダーマンが拓也ではないかと狙いをつけた鉄十字団は新子と拓次を誘拐する。
救出に向かった拓也は敵の罠にはまり海中に沈んだ。
(写真・左)
スパイダーマンはインターポール・間宮重三の緊急要請を受け「アイアン商事」の侵入捜査を開始した。
インターポールがかねてからマーク中だった悪徳業者が、輸入元であるアイアン商事と何らかのコンタクトを取ったというのだ。
スパイダーマンは暗号で書かれてある「極秘・輸入品リスト」を発見。解読の結果それらは新型の兵器だと分かった。
また、このアイアン商事は鉄十字団が裏で糸を引く会社であることも判明した。
鉄十字団はこうして世界各国のエージェントと手を結び着々と勢力の拡大をはかっていたのだ。
兵器が鉄十字団に渡らぬよう、スパイダーマンはアイアン商事を徹底的にマークすることにした。
(写真・中)
一方、スパイダーマンが拓也ではないかと睨んだ「コウモリ男」は、
拓也の腕を確かめるため、レース練習中の彼を部下に襲わせた。
拓也は「スパイダー感覚」で鉄十字団と気付くが、ひとみや拓次がいる前で
その「能力」を発揮するわけにはいかない。
仕方なく無力を装った。
(写真・右)
コウモリ男・人間体の青年、大和路夫を演じたのは“バトルジャパン”谷岡弘規。
部下に拓也達を襲わせたが、なぜか助けに入る。
(写真・左)
後日、拓也は新子、拓次らと遊園地に行くのだが、またしても鉄十字団が襲う。
ここでも拓也は手を出せないままやられてしまう。
あまりにも情けない兄に対して拓次は、
「がっかりしたぜ、お兄ちゃん」
一方、新子もマジ顔で、
「ほんとにお兄ちゃんったら頼りないんだから」
拓也は本当のことを言いたかったがそれは出来ない。
スパイダーマンである自分は情けない兄を演じるしかないのだ。
「俺には使命がある。父さんとガリアに代わって鉄十字団を討つ使命が!」
胸の傷んだ拓也は亡き父が眠る墓標の前に立ち、改めて打倒・鉄十字団を誓うのだった。
(写真・中)
「1時間以内に来い!・第七倉庫・二人の命はないぞ」
コウモリ男は拓也の正体を暴く為、最後の仕掛けをした。
デパートに買い物に行った新子と拓次を誘拐し、「拓也=スパイダーマン」を誘いだそうというのだ。
ひとみから新子と拓次がさらわれたことを聞いた拓也は、直ぐにスパイダーマンとなり救出に向かいたいのだが、
コウモリ男の「メカコウモリ」(※)に監視されているので、スパイダーマンにはなれない。
悩む拓也は運を天に任せ、そのままの姿で救出に向かった。
(※)その名の通りコウモリ型の監視カメラ
(写真・右)
第七倉庫に着いた拓也に容赦なく鉄十字団が襲う。
だが敵に見張られている以上、スパイダーマンになるわけにはいかない。
「そうだ、海の中だ!」
なんとかしてスパイダーマンに変身したい拓也は、
咄嗟のひらめきで、海中に飛び込んだ。
(写真・左)
敵の目をかいくぐり、拓也は海中でスパイダーマンとなり新子、拓次を救出。
そして巨大化した「コウモリ男」をソードビッカーで倒した。
(写真・中、右)
「やはりスパイダーマンではなかった」
海中からヘドロまみれで救出された拓也を見てアマゾネスは吐き捨てた。
拓也は自分の正体を隠すため、あえて助けられるふりをしたのだ。
腰抜けだアホウだと言われようともスパイダーマンの正体を見せるわけにはいかない。
鉄十字団を倒すその日まで拓也の孤独な戦いは続く。
■レオパルドン戦闘データ■
《戦闘時間》
19秒46
《使用した必殺武器》
アークターン
ソードビッカー
「コウモリ男」はレオパルドンに触れることができたか?→×
〈補記〉
コウモリ男を演じた谷岡弘規は、
翌年〔昭和54年〕から放送の『バトルフィーバーJ』の主演を決めており、
今回はそのテスト的な意味合いで出演したのであろう。
登場シーンでサングラスをはずして笑顔を見せたり、
部下に襲わせ助けに入る場面は、谷岡のアクションシーンのチェックの為と思われる。
(どちらのシーンもストーリー展開上かなり不自然である)
第12話に引き続き今回も鉄十字団は外国のエージェントと手を結んでいる。
日本侵略の為なら分かるが、鉄十字団は宇宙征服を目論む組織である。戦略に疑問が残る。
それにしてもいくら正体を隠すためとはいえヒーローがヘドロまみれになるとは・・・
そういえば原作「スパイダーマン」の中でも「ヒーロー稼業も楽じゃないよ」
という台詞があるが、まさに拓也もそんな心境であろう。
演じた藤堂氏(当時は香山浩介)も、のちの雑誌インタビューで、
コンクリートを体中に塗り、真っ黒になってしまい大変だったと答えている。
今回ロケ地として使用された「西武園ゆうえんち」(埼玉県所沢市)は、
1948年10月「東村山文華園」の名称で開業している。
現在(2004年)でも営業しており、
また東映とも業務提携している為、東映系特撮イベントが頻繁に行われている。
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