第19話
「まぼろしの少年 地図にない村」
●放送日:1978年9月20日(視聴率:8.7%)
●脚本:上原正三
●監督:竹本弘一

◆ゲスト◆
山田禅二(役名:史郎の祖父)・「レインボーマン」等にも出演
野川 愛(役名:美代)・「忍者キャプター」等にも出演
潮 健志(役名:荒木)・「仮面ライダーX」等にも出演
安藤一人(役名:史郎)・「小さなスーパーマン ガンバロン」等にも出演

■登場マシーンベム:なし■
※今回登場の「カメンガー」は大昔、戦争のために宇宙人が開発したロボット獣。


突然拓也の前に不思議な少年が現れ、彼に救いを求めた。
少年の村で姉が怪獣の生け贄にされるというのである。
この世では考えられない怪奇な話・・・


(写真・左)
「いい腕だね、さすがスパイダーマンだ!」
拓也がオートバイの練習走行中に突然現れた史郎少年はそう言ってのけた。
動揺し、その場をやり過ごした拓也であったが、家に戻ると、
なんとその少年が拓也の部屋にいた!
(どうやら少年はテレポテーションを使ったようだ。つまり地球人ではないのだ)

「姉ちゃんを助けてほしいんだ」
史郎少年はその能力(記憶念写)で拓也がスパイダーマンだと分かっており、
救いを求めに来たのだ。

史郎少年の話によると、
村の沼に棲む伝説の大怪獣「カメンガー」が暴れ出す気配があるという。
村人達は怪獣の怒りをしずめるために
史郎の姉の美代を“生け贄”に捧げるというのだ。

(写真・中)
史郎少年は超能力・記憶念写により、拓也の前で正体を見破ってみせたのだが、
映像上ではオートバイに乗った拓也が徐々にスパイダーマンへと変わっていくという演出法がとられた。
(記憶念写という設定上だが、スパイダーマンがオートバイを運転しているカットは全劇中でこの時のみ)

(写真・右)
現代の世の中に娘を生け贄に捧げる村があるのであろうか。
スパイダーマンは少年の住む「天ヶ原村」を訪ねることにした。
村へ行くにはこの秘密の洞窟を通って行かなければならない。

(写真・下)
史郎役を演じた安藤一人は「ガンバロン」(1977年)の他、
「透明ドリちゃん」(1978年)、「宇宙からのメッセージ 銀河大戦」(1978〜1979年)、
「バトルフィーバーJ」(1979年〜1980年)等にも出演している。
詳細は→安藤一人ファンサイト「あのエクボが忘れられないあなたへ」






(写真・左)
洞窟を抜けると森の中に出た。どうやらここが天ヶ原村らしい。
子供たちが昆虫網を持って蝶を追っている。
一見人間の子供たちと変わりはないが、
一人の少女が蝶を追ってフワリと5メートル程ジャンプした。
「あっ!」驚くスパイダーマン。

史郎たちの祖先は二万年前に地球にやって来た宇宙人で、
ここに古代都市を築いていたのだ。
だがその古代都市はある出来事により滅んでしまったという。

(写真・中)
「史郎、村を出たのね!」
見ると史郎の姉の美代が立っている。
村から出ることは掟で禁じられており、破ったものは罰せられるという。
「すぐに村を出て行ってください。あなたが来れば騒ぎが大きくなる一方です」
美代はスパイダーマンの助けを敢えて断るのだった。

「いたぞっ!あそこだ!!」
美代を追って村の警護団がやって来た。
敢え無く美代は追い詰められ捕まってしまった。

警護団の団長・荒木はスパイダーマンに言った。
「この村には昔から伝わる古文書がある。その古文書には、
カメンガーが暴れ出したら生け贄を捧げよとある。
守護神様は美代を生け贄に指定なさったのだ」

(写真・右)
「スパイダーマンが現れた!」荒木はアマゾネスに伝えた。
荒木は村に伝わる古文書でカメンガーのことを知る。
カメンガーは伝説の怪獣ではなく超兵器であった。
カメンガーで世界征服を目論む荒木は、鉄十字団と手を組んでいたのだ。

※天ヶ原の人々は武器を手にしたことがなく何千年も平和に暮らしてきた。
しかし近頃、そんな平和な暮らしにあきあきした荒木は警護団と称して武装グループを組織していた。






(写真・左)
村の半鐘が鳴り響く。
村人たちが集まり、やがて生贄の儀式が始まろうとしていた。
その時、スパイダーマンが岩上に颯爽と登場し、
「みんな、だまされてはいけない!
鉄十字団のモンスター教授の声がこの受信装置で
キャッチされて流れる。これが守護神の正体だ!」
と、“ご託宣”の正体を見抜き、
古文書の生け贄の話もでっち上げで、
さらにカメンガーが古代怪獣ではなくロボット獣であり、
荒木がコントローラーで操縦していることを暴いた。

「出でよ、カメンガーっ!!」
切羽詰った荒木はカメンガーで村を破壊しようとする。
しかしレオパルドンが荒木の野望を打ち砕いた。

(写真・中)
「武器を持つ物は武器に滅びる」

レオパルドンがカメンガーを倒し、
荒木たち警護団が鉄十字団に射殺されるのを見届けた美代は、
「大昔、祖先がここに古代都市を築いて栄えていたが、
争いが起こり、やがてロボット獣を繰り出して戦争が起こった。
その結果残されたものは、僅かな人間と廃墟だけ。
そしてロボット獣は沼に沈められた」
という祖父から聞いた言い伝えをスパイダーマンに語った。

「ここでお別れしましょう」
美代はスパイダーマンに別れを告げた。
「また遊びに来いよ!」
スパイダーマンは史郎を誘うのだが、
「地球人は戦争を好む人種です。とても仲良くできません」
美代はそう言ったあと史郎と共に念動力でスパイダーマンを気絶させた。

(写真・右)
スパイダーマンが目覚めるとそこは村の外であった。
辺りは人影もなく、村へ通じる秘密の洞窟も無くなっていた。

争いを好まぬ「天ヶ原」の人達は
再び神秘のベールの中に閉じこもってしまったのであろうか。
手掛かりになるものは何一つなく、
スパイダーマンの記憶の中に思い出だけが残った。



■レオパルドン戦闘データ■
《戦闘時間》
28秒19
《使用した必殺武器》
レオパルドンストリングス
ソードビッカー

「カメンガー」はレオパルドンに触れることができたか?→×


〈補記〉
今回のエピソードにはかなり謎が残った。
鉄十字団がどうしてこの村のことを知ったのか?
荒木が鉄十字団と手を組んだ経緯もイマイチ解らない。
これだけの話の内容からして「30分番組」の中でまとめるには
かなり無理があったように思われる。
ゲストの役者たちもなかなかの名優揃いなので
前後編の2話に分けて放送したほうが良かったのではと思う。

追記:カメンガーはマシーンベムなのか?
それを確かめるために再度ビデオを見直した。
結論からいえばマシーンベムではなかった。
最初はモンスター教授が沼に沈められたカメンガーを再生し
マシーンベムとして蘇らせたかとも思ったが、
それは深読みしすぎで、鉄十字団は宇宙征服の為に
ただこのカメンガーが欲しかったのであろう。
それが証拠に結託していたはずの荒木を、
カメンガーが倒された後には、もう必要がなくなり射殺している。



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