第23話
「家なき子たちに愛の学園を」
●放送日:1978年10月18日(視聴率:7.5%)
●脚本:曽田博久
●監督:佐伯孚治

◆ゲスト◆
松堂厚三郎(役名:中村五郎)・映画「モウ翔ブ夢ハ見ナイ」等にも出演
小林かおり(役名:大空学園園長・大空美里)・「必殺仕事人」等にも出演
杉欣也(役名:五郎の友人・英二)・「太陽戦隊サンバルカン」等にも出演
田村雄二(役名:大空学園の生徒・康夫)
高橋初実(役名:大空学園の生徒・広美)

■登場マシーンベム:魔女猿


鉄十字団が仕組んだインチキな“ウサギ”や“ヒヨコ”のレースの為に
子供達は住み慣れた学園から叩き出されてしまった。
怒りに燃えるスパイダーマン! しかし次々と繰り出される鉄十字団の罠!


(写真・左)
ある休日、拓也たち山城一家は孤児達を励ましに、
新子の先輩・美里(20)が園長をしている孤児院「大空学園」に遊びに来ていた。
そこに1台の大型外車が乗り付けた。
中から現れたこの学園の卒業生・中村五郎(20)は羽振りがいいのか、
子供達に大量のプレゼントをくばりまくった。

(写真・中)
美里にも指輪をプレゼントした五郎は、
「いいんだよ、金ならいくらでもあるんだ!」と豪語した。
美里は嬉しかったが一抹の不安がよぎった。

(写真・右)
後日、ひとみも写真学校時代の同級生という男(※)に、
指輪や服を買ってもらい、拓也や新子の前ではしゃいでいた。

五郎もこの男も一ヶ月前までは一文無しで質屋通いをしていたというのだが??
不信に思った拓也はスパイダーマンとなり調査を開始する。

※五郎の友人・英二(22)




(写真・左)
やはり世の中そんなうまい話があるはずがない。
調査をするうちスパイダーマンは、鉄十字団が経営するカジノクラブ「魔女の館」の存在を突き止めた。
五郎達はこのカジノクラブに通い、連戦連勝で大金を手にしていたのだ。
しかしこうして始めはわざと勝たせてやるのが鉄十字団の策略で、
持ち馴れない大金を手に入れた若者達は有頂天になり、平常心を失ってしまった。
マシーンベム・魔女猿はこのカジノを仕切り、大都会の夜の支配者となった。
チェーン店は500軒にも達したという。

鉄十字団は間もなく本領を発揮し、イカサマ賭博を仕掛け続けた。
罠にはまった五郎達はあっという間に有り金を巻き上げられ、“スカンピン”にされてしまった。

(写真・中)
スパイダーマンは再び無一文になった五郎に街で出くわす。
「目を覚ませ!」
スパイダーマンはなんとか五郎に立ち直ってほしかったが、
「スパイダーマン、金を貸してくれ! 倍にして返す、
            いや5倍にだって10倍にしてだって返す!!」
さらに、
「スパイダーマンお金はないのか? 貯金はないのか?」
とのたまう。五郎の精神は何かに憑かれたように完全に狂わされていた。

金の工面をあっさりスパイダーマンに断わられた五郎は、
「大空学園」の権利証を勝手に持ち出し一発逆転を狙うが、
鉄十字団が裏で糸を引いているインチキカジノでは勝てるはずもない。
大切な学園の権利証は鉄十字団の手に渡ってしまった。

(写真・右)
五郎から権利証を奪った鉄十字団(人間体ニンダー)は学園に乗り込み、今すぐに出ていけと追い立てる。
逃げ回る子供達を見て、ようやく我に返った五郎は権利証を取り返そうと「魔女の館」を探すが、
すでに「魔女の館」は跡形もなく無くなっていた。




(写真・左)
必死で「魔女の館」を探す五郎を追うスパイダーマン。

※繁華街(新宿)のど真ん中を駆け回るスパイダーマンの姿は非常に珍しい。
昼間なので人通りも多く、しかも振り返って見ているところをみると
通行人はエキストラではなく、撮影はゲリラ的に行われたようだ。

(写真・中)
「俺はみんなが本当の弟や妹のように可愛くて、いつか何か兄らしいことをしてやりたかったんだ」
鉄十字団・ニンダー(人間体)の銃弾が肩をかすめ、
その場に倒れこんだ五郎は、助けに来てくれたスパイダーマンに胸の内を明かした。
いつもダメな兄を装わなければならない拓也には五郎の気持ちが痛いほど分かった。

(写真・右)
スパイダーマンは「魔女の館」が地下道を使い次々と店を移動していることを暴き、叩き潰した。
そして巨大化した「魔女猿」をマーベラーの「カノン砲」で粉砕した。

スパイダーマンの活躍によって小さな学園は守られた。
子供達も五郎も決してお金では買えない愛を見つけたのだった。



■レオパルドン戦闘データ■
レオパルドン未登場のためデータなし


〈補記〉
今回初めてマーベラーはレオパルドンに変形せず、マーベラーの状態のままでマシーンベムを倒した。
残念ながらこの後も数回(第29、30、35、40話)、こんなエンディングがある。

五郎がスパイダーマンに金を無心する時の台詞、
「スパイダーマンお金はないのか? 貯金はないのか?」
は、東映特撮番組史に残る名台詞である(笑)。

番組の冒頭、五郎が後輩孤児に玩具を配っている時、ちゃっかり拓次も並んでいるのには笑った。


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