第27話
「さらば戦友 愛しのセパード」
●放送日:1978年11月15日(視聴率:7.5%)
●脚本:高久 進
●監督:竹本弘一

◆ゲスト◆
丹呉年克(役名:佐々木和夫)・「透明ドリちゃん(#12)」等にも出演
真田登久子(役名:和夫の母)・舞台「赤毛のアン(2002年)」(劇団ひまわり)等にも出演

■登場マシーンベム:なし■


スパイダーマンの正体解明に躍起な鉄十字団。
新たな作戦は犬の嗅覚を利用しての大追跡!
迫り来る「白い牙」!


(写真・左)
モンスター教授はガリアが400年間幽閉されていた丹沢山中の洞窟から蜘蛛を採取させ、
その体液から「スパイダーエキス」を抽出した。
このエキスはスパイダーマンと同じ臭いを持っているという。
鉄十字団は闘争本能をかき立て猛訓練した犬に「スパイダーエキス」を嗅がせ、
スパイダーマンを追跡して正体を暴こうというのだ。

(写真・中)
アマゾネスはさらに優秀な犬を狩り集めるため、保健所の職員になりすまし、
「近所で狂犬病がでたので検査をします」
と言って次々に犬を捕獲していった。
和夫少年の飼い犬「ジュン(ラフ・コリー)」も連れ去られてしまった。

(写真・右)
「久しぶりね、ひとみ君。
スパイダーマンに、これから鉄十字団がインターポール日本支部を爆破すると伝えなさい」
ひとみの身辺にスパイダーマンがいることを感づいているアマゾネス(元上司吉田冴子)は
テロ予告の電話し、スパイダーマンを誘き出す罠を仕掛けた。

拓也はひとみからその話を聞き、罠だと直感したが、
放っておけるはずもなく、直ちにインターポール日本支部に連絡した。
しかし敢えて自らが現場に向かうのだけは自粛する。




(写真・左)
肝心のスパイダーマンが出て来ない為、業を煮やした鉄十字団はテロ活動(ビル爆破)を開始した。
スパイダーマンは出動せざるを得なかった。

「スパイダーエキス」を嗅がされた犬は、いとも簡単にインターポールに向かったスパイダーマンを発見した。
スパイダーマンは完全に罠にはまり、訓練犬とさらには鉄十字団狙撃隊による波状攻撃を受け
窮地に追い込まれたが、命からがら追跡を振り切り、家に辿り着いた。
(山城家のほぼ全景が見ることができる貴重なシーン。庭には本格的なバスケットゴールまである!)

(写真・中)
鉄十字団は本格的にテロ活動を開始する。
今度は遊園地を爆破するための準備に取り掛かった。

その頃スパイダーマンは自分を追う犬と対決しようとしていた。
「あの犬は俺の臭いを探しに必ずやって来るにちがいない」
そこで“仕掛け罠”を設置し、そこに犬を追い込むことにしたのだ。
和夫少年は行方不明の愛犬を探していて、たまたまその現場を目撃した。

(写真・右)
「犬を殺さないで!」

案の定、犬はスパイダーマンの臭いを追ってやって来た。
しかし罠に掛かる寸前、少年が犬を助けた。
動物が好きな和夫少年は犬が罠に掛かるのをどうしても放っておけなかったのだ。

少年に助けられたはずの犬であったが次の瞬間、何故かその場にへたり込んでしまった。
この犬は鉄十字団によって一週間も食べ物を与えられず、
その上全力でスパイダーマンを追ったため、すべての力を使い果たしてしまったのだ。





(写真・左)
「この犬だって本当は優しいんだよ」
スパイダーマンは少年の“動物に対する大きな愛”に心をうたれ、
少年と共に犬を介抱し食べ物を与えた。
しばらくすると犬は少し元気を取り戻したのか、
スパイダーマンの声に応えて、ゆっくりと立ち上がった。

敵だった犬がついにスパイダーマンに心を許した。
それは動物を信じる少年の愛の勝利だった。

(写真・中)
「鉄十字団はどこにいるの?」
少年は自分の愛犬「ジュン」が鉄十字団によって連れ去られたと聞いて訊ねた。
「それはこの犬が知っているさ」
スパイダーマンは鉄十字団のアジトの場所を知っているこの犬に先導してもらうことにした。

犬はアジトに向かって歩いたが、まだ体調は完全には回復していなかった。
「無理をするな、死んでしまうぞ」
スパイダーマンはもうこれ以上は限界だと思い止めたが、それでも犬は必死で前に進んだ。
自分の死をも恐れぬ犬の行為にスパイダーマンは胸を突かれた。

(写真・右)
やがて犬は爆弾を仕掛けている遊園地へ辿り着いた。
「そうか、ここが鉄十字団のアジトか!」
スパイダーマンはアマゾネスが持っていた起爆スイッチを奪い、爆破を未然に防いだ。
そして監禁されていた犬たちもスパイダーマンにより解放され、
「ジュン」も和夫少年の元に帰ってきた。

(写真・下)
この犬も飼い主の所へ戻って行くだろう。
スパイダーマンはかつての強敵だった犬に別れがたい思いを抱いた。
「さらば戦友、また会おう」
スパイダーマンは心の中でつぶやいた。



■レオパルドン戦闘データ■
レオパルドン未登場のためデータなし


〈補記〉
今回はマシーンベムもマーベラーもレオパルドンも登場しなかった。
犬(ジャーマンシェパード)がメインで、最後も事件を解決するのに一役買った。
この当時(77〜78年)は「刑事犬カール」等動物を扱った番組が大流行で、
このエピソードもそんな世間の風潮を反映させたものと思われる。

「いや、殺さないで、あなたの言うことだったら何でも言うことを聞きます!」
アマゾネス(吉田冴子)に対して過剰なまでの恐怖心を抱き、忠誠を誓うひとみは、
さながらS嬢アマゾネスに対する完全なる“M女”状態になってしまった(笑)。

山城家の愛犬「タクヤ(シェパードの子犬)」が今回だけ登場した。
この名前の由来は、普段拓也に頭が上がらぬ拓次が鬱憤の捌け口に付けたもの。

今回鉄十字団のアジトとしてロケ地に使われた「向ヶ丘遊園地」
(1927年小田急開通と同時に開業。川崎市多摩区)
はスパイダーマンをはじめ数多くの東映特撮番組のロケ地として使われたが、
2002年3月、その永い歴史に幕を閉じている。


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