ヘイ!ベイビー!今の俺には下手な慰めよりもSWEET SOULが一服の清涼剤さ・・・・。(笑)
    さび付いた部屋の中でひとりぼっち、甘美な裏声がタバコの煙に溶けこんでいる・・。
    乾いた心に潤いを与えてくれるソウルミュージックのオアシス。
    孤独でやるせない時に流れるBGM。そんな哀愁漂うSWEET SOULの世界にどっぷり浸かってみませんか?  

  
   ここでは、詳しい情報や知識を掘り下げていくつもりはありません。レコードガイドを読めば解ることは紹介しない
    つもりです。本当にSWEET SOULに関する私的な思い入れのみにさせていただきます。
    まぁ、肩の力を抜いて楽しんで下さい!そんなコーナーです。


     SWEET SOUL はジャケットが魅力的

   
SWEET SOUL、時には甘茶系なんて呼ばれる事のあるレコードには実に遊び心や茶目
   っ気たっぷりのユーモラスなジャケットのアルバムが実に多い。
   ソウルミュージックを音楽だけで語ってしまうのは面白くありません。
   ジャケットのこだわりこそSWEET SOULの美学なんて自分勝手に思いながら紹介させてい
   ただきます。では、SWEET SOULの定番アルバムから御覧になって下さい。


             
               
 
     THE WHATNAUTS/MESSAGE FROM BLACK MAN(70)

   ビートルズには同時代にローリングストーンズというライバルが存在した。
  マイケル・ジャクソンが世界中の誰もが知っているスーパースターに君臨していた
  頃、本格的な実力と音楽センスで才能を見せつけたのがプリンスであった。
  また、ジャイアント馬場にはアントニオ猪木という生涯のライバルが存在した。
  ヒーローは常にライバルやその対極にあるものとの比較で光り輝くものなのだ。
  このWHATNUTSはこうした定義の典型例のようなグループです。
   甘茶大王の称号を与えられている男と言えばニュージャージーのシンガー兼プロデ
  ューサーである
ジョージ・カーである。ジョージ・カーが手がけたグループと言えばまず
  思い浮かぶのが
THE MOMENTSではないであろうか?
   そのMOMENTSと共にジョージ・カーがプロデュースした代表的なグループがこのWHATN
  NUTSである。そのWHATNAUTSの70年のアルバムがこれです。SWEETの定番です。
  このアルバムは個人的にSWEET SOULと言われるグループのアルバムの中ではNO 1で
  すね。MOMENTSのようにシルクの手触りとでも表現したくなるような甘くやるせない感覚と
  はひと味違う。甘さの中にもどこか荒削りでラフなイメージが湧いてくるのです。
  ドラマチックスにどこか似ているような気がします。一言で表すならば
「男の哀愁」とでも言って
  おきます。男のSWEETという感じだね。失恋した時にでも聞いて下さい。
   それにしてもこのアルバムのジャケットはなんでしょうか?噴水の上にそびえ立ち腕を掲げる
  男3人・・UFOでも呼んでいるのであろうか?子供の頃見た
「太陽戦隊サンバルカン」という変身
  ヒーロー物を思い出してしまいました。
   その複雑な思いも
「I JUST CAN'T LOSE YOUR LOVE」の官能的なファルセットによりかき消され
  てしまいました。細かいことは言いません。彼らは本物のSWEET SOULです。

 


   
               
     
             ENCHANTMENT/GOLDEN CLASSICS(76)

 ゲロゲロ、ゲコゲコ、ゲロゲロ、ゲコゲコ、ゲロゲロ、ゲコゲコ、ゲロゲロ、ゲコゲコ
 ゲロゲロ、ゲコゲコ、ゲロゲロ、ゲコゲコ、ゲロゲロ、ゲコ・・・・・。

 あ~!いい加減にしてくれ!うるさい!SHUT UP!
  アレサのページでも触れていますが、私は埼玉北部の田園地帯のド真ん中の会社
 に勤務している。よって5月から6月の田植えの季節には何百、何千?という大量の
 カエルさん達が田んぼをところ狭しと跳ね回るのであった。道路には煎餅のようにつぶさ
 れたカエルの死体。そして、初夏の蒸し暑さに冒頭の鳴き声が響きわたるのです。
 まさに田舎のBGMとでも表現してみましょうか?この季節は職場ではこのカエルさんの
 歌声との戦いになるのです。(毎年、女子社員が耳栓を買ってきます。)
  今回、紹介するENCHANTMENTのアルバムを購入したのは去年の5月のことであった。
 職場のカエル公害で悩まされている渦中であったが、新宿の某レコード屋で発見した時
 に迷わずにレジへと持っていった。カエルにうんざりしていたはずなのに都会の排気ガスに
 まみれ、人ゴミをかき分けながら半日を過ごしていたので、普段は大嫌いなカエル君が妙に
 懐かしく愛おしく感じてしまい、このカエルさんのジャケットのアルバムを買ってしまった。
 根本的に田舎が好きなんだと思います。
  で、このアルバムの内容ですが、色気も何もないカエルの鳴き声とは正反対のエメラルドの
 輝きのような美しいコーラスワークが素敵な甘茶ソウルの大名盤です。
 何故?カエルなんだろう・・。その真意は不明であるが、
「GLORIA」エマニュエル・ジョンソン
 のハイテナーに夢心地にされる。この曲であなたは甘茶の魔法にかけられてしまうのです。
 続く
「It's You That I Need」この曲は78年にR&Bチャートで1位を記録しているが後に男性
 デュオの
ゲスにカヴァーされて共演までしてしまうなどの話題を提供している名曲です。
 アップテンポの
「HOLD ON」もまたディスコの時代を感じさせてこれがまたいい!
 とにかく、デトロイトの名グループの大名盤です。ちなみにここで紹介しているアルバムはCOLLE
 CTABLESの編集によるベスト盤です。ジャケットは1stアルバムのものであるが、こちらは入手困難
 なレア盤としてたいそうな値段がついているらしいです。
   で、この世にも奇妙なカエルさんジャケですが、レコード屋で見つけたら即購入です。
 どうぞ、5月の田植えの季節に聞いて下さい。田舎が似合うSWEET SOULです。と思っているのは
 自分だけだと思いますが・・。
  何?ENCHANTMENTって一体何者よ?詳しいプロフィールは?まぁ、知りたければレコードガイドで
 も読んで下さい。ソウルは理屈抜きで楽しむのが一番!



               

                

            THE ESCORTS/PRISONERS OF SOUL(73)
 
  私はこれまで様々なアルバムを取り上げて最高の名盤とかソウル史上に残る究極の名ソングといった類の賛辞
 を並べ立てて紹介してきましたが、決して社交辞令として持ち上げて言っているわけでもなければ、月並みな言い方
 として褒め称えているわけでは無い!本当に素晴らしいのだ。長い人生という旅の途中でソウルミュージックに出会えた事が
 最大の喜びでありその感動を伝えたいという思いから私の大切な宝物であるソウルの名盤をホームページで紹介し続けている
 のです。今回紹介するTHE ESCORTSもその様な究極のソウルグループの一つです。
  ディープソウルが大好きな私がある本屋さんで
「甘茶ソウル百科」という本を発見しました。「甘茶」という言葉のイメージが湧か
 ず疑問に思っていたのでいいタイミングでした。その本は実にシンプルに構成されていてアルバムの写真に2,3言の解説が記述さ
 れているだけという非常にコンパクトな内容でした。必然的に本文よりもアルバムジャケットの写真を意識するようになる。
 甘茶にありがちなエロジャケや怪しいものまで実に楽しめるソウルの美術館が作れそうだと関心していたところに衝撃的なジャケット
 が出現した。そのジャケットが今回紹介するTHE ESCORTSのアルバムでした。
  監獄の鉄格子の中から手を差し伸べる囚人達のジャケット。メンバー全員が囚人による監獄録音のアルバムとの事・・。
 そのようなスキャンダラスな側面からこのグループのレコードを聞いてみたいと思いすぐにレコード屋へと走った。
 アルバムはそれほどレアなものではないらしくすぐに入手できました。
 帰りの電車の中で音をイメージして見ました。おそらく
THE DELLSマーヴィン・ジュニアの様なドスが効いたバリトンヴォーカルが炸裂
 するのだろうと想像した。囚人という言葉から骨っぽくダーティーな姿を思い浮かべた。
  期待に胸を膨らませ早速1曲目から聞いてみました。ラジオの様なノイズ音の向こう側から聞こえてくるナレーション。このアルバム
 をプロデュースした
甘茶大王ことジョージ・カーの語りと共にTHE O'JAYSのカヴァーである「I'LL BE SWEET TOMORROW」のイントロ
 に雪崩こむ。これは凄いぞ!体に電流が走るという表現がまさにピッタシの感動でした。私が抱いていた無法者のイメージとは駆け離 
 れた甘く切なく少し男っぽい本格的なSWEET SOULを歌う素晴らしいグループだったのです。
  そもそもジョージ・カーが
リンダ・ジョーンズの刑務所での慰問コンサートの時に彼らをスカウトした事が始まりなのです。彼らに惚れ
 こんだジョージ・カーは様々な圧力や偏見を乗り越えてこの最高のアルバムを完成させたのであった。
 大げさな言い方であるが、このアルバムに黒人音楽の歴史や社会的立場が反映されている様な気がする。THE ESCORTSのメンバー
 はいかなる罪状で塀の向こう側に行ったのかは定かではないが、公民権運動により黒人の権利が拡大し市民権を得ることができたと
 いえども差別や圧力は根強くアメリカ社会に残された。ゲットーでは貧しさや侘びしさから犯罪に走る若者も珍しくなかったと思います。
 ジャケットの牢屋の向こう側から外に差し伸べる手、その手は何に向かって差し伸べられていたのか?アメリカ社会へか?同胞へ向け
 てか?70年代初期のニューソウル運動の時代、そんなメッセージをソウルミュージックから探りあてる事ができる時代だったと思います。
 「チャンスが欲しい」「自由」と言った言葉を曲間のナレーションで叫び続ける彼らの姿が当時の黒人層の心の叫びの様に聞こえてしま
 うのは私の考えすぎでしょうか・・?
  そのような意識を抜きにして、このアルバムは素晴らしい。切なく、時に激しく、ドリーミィーなSWEET SOULの数々、ある人は彼らの
 事を「甘茶」の典型という。ほとんど他人のカヴァーで占められているが1曲目や
スモーキーの「OOH BABY BABY」などはオリジナル
 を越えたと言っても過言ではない。この後次作では4人が釈放されて3人が塀の中という現実をそのままアルバムタイトルにしてより
 スィートに甘く仕立て上げた作品を制作する。こちらの方が楽曲的には優れているのでお奨めです。