代読発言:発声困難な市議の要求否決 岐阜・中津川市議会

 下咽頭(したいんとう)がんのため声帯を切除し、発声が困難になった岐阜県中津川市の小池公夫市議(67)が、市議会本会議の一般質問で「職員による代読発言」を求めている問題で、12月市議会が始まった1日、同市議の所属する共産党市議団(4人)が「県弁護士会と人権擁護委員会が勧告した通り、小池市議の一般質問の代読発言を12月議会から実施する」とした決議案を提出した。議長と本人を除く32人の記名投票による即日採決の結果、賛成5、反対27で決議は否決された。同市議は「(発言制限は)憲法違反、障害者基本法にも違反する」として11日から始まる一般質問までに、提訴も考慮していくという。

 小池市議は02年に声帯を切除したため、議会で代読による発言を求めてきたが、議会はパソコン機器での音声変換による発言のみ認めた。このため同市議は人権擁護委員会に申し立てを行い、県弁護士会と同委員会が昨年11月に「法の下の平等を求めた憲法に抵触する」として、代読による発言を認めるよう議会に勧告した。

 同議会は、委員会での代読発言は認めたものの、本会議については「1回目はパソコン機器での音声変換」と譲らず、小池市議の「発言方法は、発言者が自由に選択するべき」という主張と平行線をたどっている。


 小池市議は採決の結果について「障害者権利条約が国連総会で採択されようとしており、国内でも障害者差別禁止法の制定が迫られている時期になぜ、との思い。障害者いじめが議会で行われている」とコメント。11、12日に行われる一般質問の対応次第で提訴する方向で、弁護士と調整していくという。【小林哲夫】

毎日新聞 2006122日 207分 (最終更新時間 122日 222分)