長野県、脱ダム2委員に辞職勧告 「同意なき解任」騒然

 長野県公共事業評価監視委員会の委員を務める金子勝・慶応大学教授と保母武彦・前島根大学副学長らに対し、県が任期半ばでの辞職を勧告したことから、委員会がもめにもめている。2人は田中康夫・前知事時代に任命され、公共事業には批判的。共に「多忙」「家が遠い」という勧告理由に反発、保母氏は勧告拒否で留任が決まったが、金子氏は意思確認のないまま名簿から削除された。金子氏は6日開催の委員会に乗り込み、会場は一時、騒然となった。

 2人は田中参議院議員(新党日本)が県知事時代に委員に就任。任期は来年3月末までの2年間だった。田中前知事の「脱ダム宣言」でいったん工事が中止された浅川ダムの建設に反対している。同ダムについては、1年前の8月6日、田中氏を破って当選した村井仁・現知事が工事再開を決めている。

 今年3月末、県は2人に土木部長名で「大変お忙しい」「大変遠路よりわざわざ時間をかけ(出席)」を理由に「ご厚意にこれ以上甘えることは本意ではありません。ご辞退についてお考えいただければ幸い」などとする文書を送った。県によれば、保母氏には電話で意向が確認できたが、金子氏は連絡が取れず、返信もなかったため、「辞意」と判断、今年度の委員リストから削除した。

 一方の金子氏は「同意もなしに解任するのは手続き違反。県に批判的な委員を辞めさせたいのではないか」と納得していない。6日の委員会では「解任されたことをメディアの取材などで初めて知った。県からは通告もない」と述べ、「県の独断で委員を辞めさせられるのなら、委員会の独立性は損なわれるのではないか」などとする5項目の質問状を読み上げた。

2007年8月7日朝日新聞朝刊より

■田中知事が追い出されて、早速ダム建設派の巻き返しです。これからこうやってやりたい放題やるんでしょうね。

■90年代の長良川河口堰反対運動への反省で河川行政はダム建設抑制・対話路線に変わったかに見えました。淀川水系では新たなダムの建設が中止されました。でも、これで流れが変わったと思ったら大間違い、10年かけてじわじわと“改革派”は追放されています。淀川水系も新規のダム建設に方向転換しました。

■ひとのうわさも・・・というか、のどもと過ぎればなんとやらみたいなもので、世論の関心が薄れるのを待って巻き返しているわけです。田中知事追い落としや、この記事のような脱ダム派追放もそのひとつといえましょう。

■なぜ国というか国土交通省はここまでダムにこだわるのか? これが世にいう天下りの弊害なわけ。建設官僚が天下る建設業界が健在であるためには、常に仕事を与えてやらなければなりません。そのために、建設官僚は御用学者などを駆使してダム計画を作り続けるわけです。

■天下りというと、週に数日の勤務で多額の報酬と多額の退職金をもらうからけしからん的にとらえている人が多そうですが、そういうレベルの話ではありません。こいつらは自らのために、日本の国土を食い物にしているのです。

■公務員批判というと、社保庁職員たたきや郵便局民営化を思い出します。でもこんなのは単なる労働者同士のねたみ合いです(たとえば社保庁でパソコンを1時間使ったら15分休憩って決まっていたのを「民間じゃありえん。けしからん」っていう人がいますが、労働者の健康管理からいったら民間のほうが非人間的なわけ。こういうネタミはブーメランみたいに返ってきてすべての人の働く条件悪化につながるのがわからんのかね、日本のロードーシャ諸君は!)。本当に批判しなければいけないのは、もっと大きなものでしょう。