設楽ダム受注先、過去2年設計会社などに愛知県から天下り17人

 地元の愛知県設楽町で建設反対の動きが出ている設楽ダムの事業受注企業15社に、愛知県の少なくとも17人の職員が、07〜08年度に再就職していることがわかった。国土交通省が建設するダムだが、愛知県は、道路など周辺整備事業を業者に発注する立場にある。県と業者との癒着を示す天下りとして批判が出そうだ。

 愛知県が公表している課長級以上の職員の06、07年度末の再就職先と、国交省が明らかにしている設楽ダムの関連受注企業を朝日新聞社が照合した。

 それによると、06年度末退職者から8人、07年度末退職者から9人が、受注企業に再就職していた。県が周辺整備を実施する場合に直接の発注先となると見られる新城設楽建設事務所(新城市)の課長や、東三河建設事務所(豊橋市)の所長や課長も含まれていた。天下り先はコンサルタントや設計会社が多く、ダム関連の調査事業などを受注している。

 今週にコンサル会社に転進した元県幹部は朝日新聞の取材に「市町村や国の知己も多いし、県の予算や今後の方向性や、事業を発注する祭の技術評価についての考え方を知っている。会社側は官庁関係の仕事がスムーズに行くことを期待しているのではないか」と話した。

 国交省は設楽ダム関連業務の受注企業について06年3月以降の分は明らかにしておらず、県職員の天下りはさらに広がっている可能性もある。

 県は07年度末の課長級以上の退職者から「直近5年の職務と関係する企業に2年間は再就職しない」とする禁止規定を定めたが、県への営業活動などに2年間従事しないとの誓約書を提出すれば認めている。それ以前は規定はなく、県への営業活動に1年間従事しないよう口頭で要請するだけだった。ただ、実際に営業活動をしても職員、受け入れ企業側とも罰則はない。

 県人事課によると、07年度末に退職した課長級以上の職員302人のうち40人が民間企業に再就職し、うち32人が営業活動をしないという誓約書を提出した。建設部や農林水産部、県企業庁など業界と近い部署が目立っている。

 神田真秋知事は朝日新聞の取材に「官製談合のような違法行為は論外だが、『李下に冠を正さず』で再就職にも規制を強めている。他県に比べて愛知の規制が特に遅れているということはないのではないか」と話す。県人事課の担当者は「元職員が営業活動をするなど制約に反する事例は聞いていない」としている。

癒着の温床になりかねない/地方自治体の行政に詳しい千葉大の新藤宗之教授(行政学)の話

 企業は天下りの受け入れで、非公式の情報や仕事が入ることを期待している。県への営業に直接携わるのを禁止しても意味はない。腐敗や癒着に温床になりかねない天下りは禁止するべきだ。

2008年10月2日朝日新聞朝刊より


■まあ、こんなもんでしょうな。ただ、この記事の論調からいくと、癒着によって特定の企業に受注が集中したりするのが悪いということのようです。

■問題はもっと国レベルのものではないでしょうか。こういう風に退職後の天下り先企業を生かしておくために、日本中でムダなダムが作られ続けています。長良川河口堰しかり、徳山ダムしかりです。

■徳山ダムにいたっては、水を使っていることにしているために、導水パイプで長良川や木曽川に水を引こうというまったく意味不明な計画まで進んでいます。

■こういう連中は、自らのために美しい日本の国土を食い物にしているわけです。しかも使われるお金は税金です。

■日本の人民諸君は最近公務員たたきに熱心ですが、ほとんどがカラオケセットを買っただの福利厚生に恵まれているとかといった労働者同士のネタミレベル。そんなのはいつか自分の待遇の切り下げにつながるだけです。本当に目を向けるべきはこっちのほうです。