トヨタ奥田氏「厚労省たたきは異常。マスコミに報復も」

　トヨタ自動車の奥田碩取締役相談役は12日、首相官邸で開かれた「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」で、テレビの厚労省に関する批判報道について、「あれだけ厚労省がたたかれるのは、ちょっと異常な話。正直言って、私はマスコミに対して報復でもしてやろうかと（思う）。スポンサー引くとか」と発言した。

　同懇談会は、年金記録や薬害肝炎などの一連の不祥事を受け、福田政権時代に官邸に設置された有識者会議で、奥田氏は座長。この日は12月の中間報告に向けた論点整理をしていた。

　奥田氏の発言は、厚労行政の問題点について議論された中で出た。「私も個人的なことでいうと、腹立っているんですよ」と切り出し、「新聞もそうだけど、特にテレビがですね、朝から晩まで、名前言うとまずいから言わないけど、２、３人のやつが出てきて、年金の話とか厚労省に関する問題についてわんわんやっている」と指摘し、「報復でもしてやろうか」と発言。

　さらに「正直言って、ああいう番組のテレビに出さないですよ。特に大企業は。皆さんテレビを見て分かる通り、ああいう番組に出てくるスポンサーは大きな会社じゃない。いわゆる地方の中小。流れとしてはそういうのがある」と話した。

　他の委員から「けなしたらスポンサーを降りるというのは言い過ぎ」と指摘されたが、奥田氏は「現実にそれは起こっている」と応じた。
2008年11月12日21時7分asahi.com
■こういう広告主に牛耳られているから、日本のマスコミはトヨタの過労死訴訟をちょっとしか報道しなかったり、トヨタや関連会社の社員が起こした犯罪のニュースで社名を隠したりするんですね。三菱のクレーム隠しはワイドショーもちきりだったし、中部電力なんか夏に木曽川で起きた殺人事件で思いっきり名前を流されていたのにね・・・マスコミもマスコミだが、けしからんところはむしろこっちだろ。

■このニュースを見て死んだおじの言葉を思い出しました。この人は一代で会社を興してある業界でトップにまでなった人ですが、生前こんなことを言っていたそうです。「俺も○○○○だけどさ、社長で成功した奴は、みんな多かれ少なかれ○○○○だぞ」。

■「○○○○」はあの放送禁止用語です。会社を経営して成功した人は普通の人とは違うキョーレツな人だということです。ときには心を鬼にして人を切ったりしなければならない企業経営は、普通の人にはできないのでしょう。

■普通の人は大半が雇われの身として生きていくわけですが、雇っている側にはこういうキョーレツな人もいるわけです。経済を伸ばすにはキョーレツな人の勢いが必要な面もあるでしょうけれど、あまりキョーレツな人に任せておくと普通の人たちがえらい目に遭ってしまいます。それを防ぐのが法律であり、それを作ったり運営したりする国なわけです。

■しかし、日本ではキョーレツな人たちの団体が政治を動かしてきました。さらにここ10年くらいは規制緩和だ小さな政府だと法律や国の関与が弱められてきました。だから、日本のロードーシャ諸君はひどい目に遭っているのでしょう。

■あらま、マスコミとスポンサーがどうのというニュースなのに、全然関係ない話になりましたね。

■で、話を無理やり元に戻すと、そもそもなぜ「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」にトヨタの相談役なんでしょう。企業経営で成功してお金を儲ける才能や能力と、国の制度や社会をどうするかに関する見識や理念は、関係ないんじゃないですか。まして、企業経営で成功したキョーレツな人（○○○○とまでは言わないが）の感覚を政治や制度に持ち込むのが必ずしもいいとは限らないと思いませんか。まして、今回の発言を見れば、この人の見識がどういうものかがわかるでしょう。

（ま、トヨタ／経団連が、企業から見たら煙たい存在のはずの厚労省を擁護してるっていうのが、すべてを物語ってるよね・・・）