名古屋市長、徳山ダム導水路予算の一時凍結を指示

 名古屋市の河村たかし市長が15日、記者会見を開き、岐阜県の揖斐川上流にある徳山ダムの水を木曽川と長良川に引く木曽川水系連絡導水路事業について「水余りで事業の必要性が無くなった。市長個人としては撤退したい」と述べ、予算の一時凍結を指示した。同事業は、岐阜、三重、愛知の3県と国が共同で進めており、まず3県に対し、今後の方針について話し合う会議を呼びかける。すでに古田肇岐阜県知事からは参加の了承を得ているという。

 突然の凍結表明だが、河村氏は会見で「市としての結論ではない」とも述べ、内部の調整も進める考え。まず月内にも導水路事業に反対する専門家を招いて意見を聞くという。

 また、「他の自治体との共同事業で、影響がどれくらいあるか分からない。3県に事業の見直しを呼びかけたい」との考えを示した。環境影響を懸念する岐阜県からは内諾を得ており、愛知、三重県には一両日中にも連絡するという。

 導水路の総事業費890億円は、国(408億円)、愛知県(318億円)、名古屋市(121億円)、岐阜県(30億円)、三重県(13億円)が負担する。市は、負担額のうち今年度分の1億6千万円について、事業主体の水資源機構に対し、支払いを一時凍結する方針を伝えた。

 理由について河村市長は、節水や工業用水の循環利用により、水の使用量が減少傾向にあることを挙げた。また、衆院議員時代から徳山ダムの建設そのものに反対しており、「議員としての発言にも責任がある。支払いの事実を先行させてはいけない」と説明した。

 一方、徳山ダムの維持管理費や建設費の市の負担分については、「既に完成しており、無責任になるので支払わざるを得ない」とした。

2009年5月15日asahi.comより

■ただの目立ちたがり屋かと思っていた河村氏ですが、こういう面があったとは知りませんでした。他にも「長良川河口堰をなくしたい」と発言したこともあるそうです。

■木曽川水系連絡導水路とは、水の需要もないのに作ってしまった徳山ダムの水を長大な導水管で長良川と木曽川に引き、使っていることにする事業です。長良川は河口堰から取水しますからこれも「活用」していることにできます。

■長良川河口堰や徳山ダムそしてこの導水路事業と、なぜ巨大公共事業が止まらないのかといえば公共事業と政治家の関係があります。竹中工務店OB(一応書いておきますが私も竹中ですがこことは何の関係もありません)から聞いた話ですが、公共事業を行うと受注企業は事業費の3%(特殊な事業は5%)を政治献金(どう考えても賄賂)としてそれを実行に移した政治家に払うことになっているのだそうです。

■となると、長良川河口堰は建設費1500億円ですから45億円、徳山ダムは建設費3500億円ですから105億円、今回の木曽川水系連絡導水路は890億円ですから約27億円が自民党に流れていることになります。これじゃあ、事業も政治家の笑いも止まりません。

■岐阜県の古田知事はさっそく「県も必要性は認識している」と事業への支持を言っています。当然でしょう。岐阜は「一区現象」すら起きなかった自民党王国です。自民党に逆らって知事がやれるはずがありません。岐阜県は導水路の環境影響調査について119項目の意見を出していますが、こんなものはただのポーズだということです。

■河村たかし名古屋市長は民主党の国会議員でした。民主党は政権交代で政官業の癒着を断つと常々言っています。止まらない巨大公共事業は政官業癒着の最たるものです。これでいよいよ導水路事業を始め、徳山ダムや河口堰などの公共事業への見直しが始ま・・・らないでしょうねえ。

■先日民主党の代表選挙がありましたが、鳩山・岡田の両氏とも元自民党田中派です。小沢前代表はいわずと知れた金丸・竹下直系です。金丸信といえば長良川河口堰に疑問を呈した北川石松環境庁長官(当時)を「この問題から手を引け」と恫喝し、北川氏の選挙区に今でいう刺客を立てて落選に追い込んだ人です。さらに民主党には長良川河口堰に反対の署名をしておきながら運営にGOをかけた嘘つき社会党の残党もたくさん入っています。河口堰運用にGOをかけたのは自民・社会・さきがけの連立政権でしたから、元さきがけの連中も同様です。

■残念ながら河村市長の予算凍結は民主党本部にも無視され、ただのパフォーマンスに終わるというのが、私の見方です。外れてくれたらいいなとは思いますが・・・。