フィッシングタックルの現象学 |
第25回特許と名前 |
以前この連載でも取り上げたが、ミノープラグの重心移動機構が普及したのは、K-TENシステムの特許を持っていたタックルハウス社が他社に対して寛容な対応をとったからだといわれている。このように特許は市場の商品にさまざまな影響を与えてきた。リールやロッドの特許にかかわる話をいくつか紹介しよう。 作ってなくても特許 逃れるために四苦八苦? SCTの法則 日米市場で痛み分け デザインパテントが通って・・・ |
【こっそり解説】 ■こっそりアップしたので誰も見ていないと思いますが、ギジー2010年2月売り号掲載予定だったフィッシングタックルの現象学最終回です。 ■なんでも内容がヤバイので掲載できないのだそうです。まあ「逃れるために四苦八苦?」は確かにちょっとナニですし、現行のマグ遠心併用機構と誤解されるとまずいので、これは外そうということにしたのですが、それでもダメだそうです。 ■「作ってなくても特許」はこの連載中にすでに書いたことです。「SCTの法則」「デザインパテントが通って・・・」は週刊釣りサンデー、「日米市場で痛み分け」はロッドアンドリールですでに世に出ています。ましてどれも20年も前のカビの生えたような話ばかりです。それがだめというのはさっぱりわかりません。さっぱりわからないのに原稿を書き直すのは納得がいかないので、ハイおしまいということにしました。 ■かといって他の雑誌に出すわけにもいかず、ハードディスクに眠らせておくのももったいないので、ここにアップしちゃいました。竹中が非常識な原稿書きなのか、こういうものも載せられない紙メディアがナニなのか、読者のかたがたでご判断ください。 ■スポンサーを刺激したくないというのが編集部の言い分でしたが、クレームが付くかどうかなんて心配してもしょうがありません。メーカーや担当者でメディアに対するスタンスは千差万別だからです。 ■現象学の連載では第2回から3回にかけてカーボンロッドを取り上げました。このとき、オリムピックの方に非常に詳しくカーボン材料やロッドの製法について聞かせていただき、とてもよい記事になりました。しかし、じつは、オリムピック社の前に某ブランクメーカーにコンタクトを取ってけんもほろろに断られているのです(誤解されるといけないので書いておきますがダイコーさんじゃありませんよ)。このときもし私が、「ロッドについては教えてくれないものなんだな」と思ってしまっていたら、あの第2回第3回はできなかったわけです。 ■基本的に工場内はなかなか難しく、ハリメーカーなどもまず入れてもらえませんが、サンライン社は製造ラインに入れてもらえ、写真も撮って磯釣りスペシャルにいい記事を書くことができました。 ■同じメーカー内でも温度差があります。さっき書いた取材拒否のブランクメーカーも、他社から来た現担当に変わるまではそんな対応ではなかったそうです。数年前磯釣りスペシャルの取材でダイワ精工さん(思わず協力的なところはさん付けにしてしまいますが・・・)でカーボンロッドについていろいろ伺ったことがありました。このときも、社内ではいろいろあったようですが、K氏の尽力で取材が実現、工場内の写真まで記事に使わせていただけました。 ■私はいろんな雑誌でタックルの解説文を書くためにメーカー担当者に電話取材することがありますが、本当に担当者はさまざまです。こちらが恐縮してしまうくらい親切に熱く自分たちの製品についてカタログにも書いていないことまで語る人から、そんなカタログ読めばわかるようなこと聞いてくるんじゃねえこっちは忙しいんだみたいな人までいます。どこがどうとはいいませんが。 ■こんな風にさまざまなメーカーや担当者がいるのに、何かあったからといってそのたびに記事の幅を狭くしていったら何も掲載できなくなってしまうでしょう。現在紙メディアが苦戦しているのは、一方にインターネットがあるからです。玉石混交とはいえネットの情報にいえるのはとにかく幅が広いということです。こんなときに紙メディア側が記事の幅を狭めてどうするのでしょうか。 ■雑誌が売れなくなって、スポンサーを強く意識しなければならなくなったとはいえ、現在の釣り雑誌とスポンサーの関係は異常ではないでしょうか。登場する釣り人という釣り人がメーカー関係者って、どうなんでしょうか。 ■ただ、ギジー誌はこの点について一線があり、記事本文中には商品名があまり出ない方でした。これはこの雑誌を作ったY氏ともまったく一致したのですが、記事中に商品名を入れるのは誰にとってもよくないからです。読者から見ればお金を出して買った本文記事が(本来ただで見るべき)広告だったら面白いわけがありません。雑誌の信用もなくなりますしそこに載った商品も宣伝効果どころか反感を買うかもしれません。読者も雑誌もスポンサーもみんなアンハッピーなのです。 ■私は昨年アートフィッシング小田さんとスプーンにかかわる記事2本、アラスカ釣行記1本をやっています。読んだ方はお気づきかもしれませんが、本文中にバイトのバの字も書いていません。このサイトを見ている人ならご存知の通り私はバイトの愛用者です。でも、それはそれで、記事を広告にしてはいけないという信念で、本文中はすべて「スプーン」で通したのです。 ■しかしそのY氏が去ったからかどうかはわかりませんが、最近その一線も怪しくなってきていました。そこに今回のこの一件です。つくづく、どっちを向いて雑誌を作っているんだろうと思わされました。ちらほらブログなどで書いている人もいるのでご存知の方も多そうですが、ギジーは2月売り号をもって休刊します。私にとっても大打撃です。でも、それを別にしても、もう釣り雑誌は終わりではないかと思いかけています。 |