アブマチック170
アブマチック170です。開高健や忠さんが銀山湖のイワナを釣ったのがこのリール(だったと思う・・・)。
アブマチック170 アブのスピンキャスト、アブマチック170です。70年代まで、アブはベイト、スピニング、スピンキャストの三冠王でした。いまでは初心者向けの廉価なリールというイメージのスピンキャストですが、さすがは70年代のアブといえるしっかりしたものになっています。 メイドインスウェーデンです。 |
|
ピックアップピン フロントカバーを取ると見えるローターです。ピックアップピンは2本。ローターとともに硬質クロームメッキ仕上げのようです。ピンは手でねじると回転します。常時回転式ではありませんが、大きな荷重がかかったときに少しずつ回ることで当たり面を変え、糸溝ができにくくするようになっています。 |
|
スプール 手でねじるとローターが外れ、スプールが見えます。 |
|
ラインレベル スプールには適正ライン量が刻印してあります。径は47mmです。 |
|
スプール脱着 スプールもねじると外れます。裏に見える2本のピンがリン青銅のプレートの穴に入ります。 |
|
フェースギア 鉄系ピニオンに真鍮メインギアのダイヤカットフェースギアです。80年代のミッチェル308などのフェースギアと違い、最初からフェースギアとして設計されているため、歯に余裕がありそうです(ミッチェル/フェースギアのページ参照)。 歯数44:14の、ギア比3.14:1です。スプール有効径47mmですから、最大巻上速度は46cm/回となります。 なお、白い樹脂の部品はスプールを取り付けるリン青銅の板につながり、スプールを往復させるカムです。その間の真鍮シャフトはプッシュボタンでピンを引っ込めるためのもの。 |
|
ピニオンブッシュ さすがはアブといいたくなるピニオン支持部。鉄系ピニオンの軸部を思いっきり長い真鍮のブッシュで受けています。 |
|
ブッシュ固定部 ブッシュはハウジングにねじ込まれ、ゆるみ止めのプレートを曲げてロックしてあります。 |
|
シンクロドラグ 普通のスタードラグではなく、ハンドルを逆転させることで設定ドラグ力になり、巻き上げ時はドラグがほぼロックされるシンクロドラグです。リョービ・ダイナファイトのようにメインギアにドラグを仕込むと、すべり出しが悪く、そのくせ巻きアワセのときにすべるという問題があります。ギア効率がベイトより低いためです。 すでにこの点にアブは気づいていたわけです。 |
|
メインギアブッシュ ここもアブらしいところ。メインギアの軸も銅系焼結の大きなブッシュで支持されています。ピニオンと並んで、軸受けのアブです。 赤く見えるフェルトはダストシールの役割でしょう。土ぼこりがリールに悪影響を与えるのも、すでにつかんでいたわけです。 |
|
いま使うには・・・ ただ、いま使うにはロッドの問題があります。オフセットシートならいいのですが・・・ |
|
軽量なブランクスルーに付けると、重心やボタンの位置が高くなってしまいます。仕方ないですけどね。 ついでに自重は約320gです。 |
じつをいうと、このリール、まだ使ったことがないのです。性能を発揮する幅というか条件が狭いのです。たぶんラインは号数にして3〜4号しか適応しないでしょう。ルアーも3g以下は苦しそうですし、反対に15g以上もしんどそう。 大きめのルアーが使えたかつての銀山湖などルアー黎明期のダム湖や、バスのトップウォーター、(フィッシュ・オンで見ただけですが)アブのコテージ前を流れる川でパイクを狙うとか・・・。 でも、枠がある分スポーツフィッシングらしいともいえます。 |
書きながら思い出しましたが、かつてアングリングの「俺が使い込んでいるタックル&ギア」で常見忠さんがこのリールを紹介したとき、「日本で再び怪物のような魚が釣れるようになるまで、このリールはとっておこうと思う」と書いておられました。わかるような気がします。
本物そっくりの軽量ミノーや、それを少しでも飛ばすためのライトライン、これらを生かす最新釣法を駆使して魚を掛ける。アブマチックの入り込む余地はなさそうです。
アブマチックが活躍する時代は、もうこないのでしょうか・・・。(2005/6/3)
Spin casting reels