03年版カーディナル33

 実は、ベールスプリング複製のテスト用に買ってきた、03年版カーディナル33。しかし、スプリング複製は肩透かし(Break? Broken?参照)。
 でもこれ、思ったより改良されていました。
☆「89年」と書いている部分は「92年」の間違いです。(2009/6/29訂正)

03カーディナル33
 89(90?)年に続き、2度目の復活です。89年のものより、よくなっていました。

ベールスプリング
 一番の改良点がこれ。巻き数を増し、寿命を延ばしたベールスプリングです。右が89モデル、左が03モデルです。実は70年代に戻しただけですが。詳しくは「Break? Broken/ベールスプリング2」を見てください。

 それにしても、89モデルはなんでこんなことをやったんでしょうね。アブの信用がた落ちです。まあ、今回改良したのですから、良しとしましょうか。

 他のページにも書きましたが、私の(だけかもしれませんが)03モデルはスプリングやベール支持部にオイル類が付いていませんでした。グリスアップしてから使ったほうがいいでしょう。

スプールインサート
 スプールも改良。これは03モデルのスプール。スプール軸の入る穴に、真鍮のパイプがインサートされています。下巻きを強く巻いたときの固着対策です。
 こっちが89モデルのスプール。樹脂のままです。でも、下巻きを強く巻きすぎなければ、問題ありません。

ベールワイヤとローラー角度
 これは89モデルのベールです。ワイヤの形状が出ていません(修正法はページ下)。おまけに、ラインローラーが内向きに倒れていて、糸ヨレがひどく発生しました。

 写真のリールは、ベール返しレバーをわずかに曲げて、ローラーを水平に修正してあります。ただ、このとき、メリッという感じでレバーが曲がったので、使っていてポロッといかないか、ちょっと不安。もし角度を直すなら、ローターのレバー当たり面に真鍮の薄板を貼るなど、他の方法をやってみてください。

(こっそり追記:ベール反転レバーを曲げる前の写真がないために間違えちゃうのかもしれませんが、ラインローラー角度とベールワイヤーの形状は別の話ですよ。ときどきブログとかで「ベールワイヤーを直してラインローラーの角度を修正」って書いている人がいますが、ベールワイヤーの形状をいじってもローラー角度は変わりません。ローラー角度はあくまでベールアームの角度で決まります)
 こっちが03モデル。ベールワイヤの形がきれいに出ています。ローラーも水平です。くそ。

 書き忘れました。上のリールのようにラインローラー角度を起こすと、さらに後ろ巻きになります。次のページの修正が必要になります。(2003/12/10追記)

ちょっとまずいかも
 糸巻き形状はまだ後ろ巻き。昔見た4(インスプール)も後ろ巻きだったから、こういう規格でやっているのか。わからんな。なお写真のリールはすでに、ピニオンベアリングの下に紙(前ページ参照)をかませています。

うむ、立派
 でもさ、なんだかんだいっても、立派ですよ。
 製造泣かせの極太ベールワイヤ、ステンレス削り出しのラインローラーサポート、内壁切削加工のローター、真鍮(リン青銅?)とステンレスの切削ギア、ステンレスピニオンに直接刻まれたストッパーの歯、スプール軸後端のスプライン・・・こんなリールが他にありますか?

 それなのに、日本のファンの中には、こういう復刻版(という呼び名も悪いのか)を、まるで偽物みたいに言う人がいます。そりゃないよ・・・。 (2003/12/8)


直せるものは直しましょう
 ベールの形が出ていなかった私の89年版33ですが、このままでは見た目も回転バランスも悪いので、直してみました。

直し方
 1:ラインローラーサポート固定ナットを(ルアーの)スプーンの頭を切った工具などで外し、ベールワイヤを外します。
 2:この部分のカーブが強くなるように曲げます。
 3:この部分を広げて全体の幅を調整します。
 4:ワイヤーのかしめ部を回して調整します。

直りました
 修正後です。見た目も回転バランスも改善され、使い心地がずっとよくなりました。

 曲げるのは少しずつ慎重にやってください。モンキーなどで挟むと楽ですが、皮やゴムをかませるなどして傷つけないよう注意してください(一応申し上げておきますが、修正はご自分の責任でやってくださいね)。

 やってみてつくづく、こりゃあ組み立て現場は大変だっただろうなあと思いました。普通のリールのベールワイヤが2mm(シマノのあの細いのは1.5mm)なのに対し、カーディナルは2.5mmもあるからです。

 だから、やっぱりカーディナルはエライのです。(この部分追記2004/3/30)

AbuGarcia