89年版33の巻き上がり調整
 先日、89年の復刻版カーディナル33の巻き上がりが後ろ巻きで困っているというメールをいただきました。実は私の33も後ろ巻きだったので、修正していました。
 ただし、この修正を行ったのが5年くらい前で、記憶があいまいなため、途中一部ゴメンナサイがあります。
☆ページを作ったのが古いので、次の次のページの「03年版33の巻き上がり調整」のほうを見てください。
☆2009/6/29訂正:最初の復刻は89年ではなく92年です。

後ろ巻き
 写真は実測値0.27mmのラインを巻いたところ。台形状に巻き上がってしまいます。こういう巻き上がりは、ライントラブルを増加させます。

修正後
 同じリール、同じスプール、同じラインでの、修正後の巻き上がりです。まだ少し後ろ巻きですが、このくらいなら許せるかな、という程度になっています。

ローターのガタ
 原因の一つはローターのガタ。写真のように持って、ローターを前後方向に動かしてみたとき、ガタがあれば、それが原因で後ろ巻きになることが考えられます。

巻くと下がる
 なぜガタが後ろ巻きの原因になるのか? これはウォームギアの特性で、荷重がかかるとピニオンギアを後ろに引き込むからです。そのため、がたの分ローターが後退し、ラインローラーがスプールに対し下がります。だから、糸巻き形状が後ろにずれるのです。

 ガタは、ピニオンベアリングが入る穴が、わずかにベアリングに対し深いことで生じます。ピニオンベアリングの下に、ワッシャーを入れてローターのガタを止めます。
 以下、分解調整法です。

E止め輪を外す
 小さめのマイナスドライバーなどで、スプール軸後端のE止め輪を外します。撮影のため、見えるようにやっていますが、実際に行うときは、飛ばさないように手などで覆って外します。

スプール軸を抜く
 スプール軸を抜きます。

ローターを外す
 14mmのボックスレンチなどでローターナットを外し、ローターを取ります。ボックスレンチがなければ、モンキーレンチを縦にして挟んでもいいですが、ローターに傷がつくので、注意してやってください。プライヤーなどは厳禁です。
 なお、ナットをゆるめるときは、ストッパーをオフにし、ローターを持ってやってください。ストッパーを傷めるかもしれません。

ゴメンナサイ
 ローターとピニオンベアリングの間にあったリン青銅のワッシャーです。実測値0.22mmのものが2枚です。
 ゴメンナサイはこのワッシャーのでどころです。実はこのリールを調整したのが5年以上昔なので、自分で入れたのか最初から入っていたのかが、まったく記憶にないのです(追記:やはり自分で入れたようです)。

 なお、一番上の巻き上がり写真は、両方ともこの2枚のワッシャーを入れた状態なので、巻き上がりの差は純粋にローターガタの分です。

 ワッシャーはローターを持ち上げるので、後ろ巻きを改善する効果があります(追記:ベール返しレバーの当たり面が狭くなるので、次の次のページの方法をおすすめします)。

止め輪を外す
 スナップリングプライヤーで、ピニオンベアリングを止めている止め輪を外します。

ピニオンを抜く
 ピニオンを抜きます。

ワッシャーを入れる
 ピニオンベアリングが入る穴の底に、ワッシャーを入れます。写真は0.3mm厚のテフロンワッシャーを切って作ったものです。理想的には、リン青銅や真鍮、ステンレスなどのワッシャー(0.1〜0.2mm)を用意するのがよいでしょう。その場合、外径は16mm、内径は10mm以上になります。

組み立て
 あとは分解と逆の順序で組み立てます。写真はスプール軸後端のE止め輪をはめているところ、ペンチなどではさむと真鍮のスプール軸が傷つきそうなので、エンピツのお尻で押しています。スプール軸を曲げる力を加えたくないので、スプールが前進した位置で行っています。
 止め輪がはまったときの衝撃を考えると、ラジオペンチで挟んだほうが安全かも・・・考えすぎかな。

 リールには個体差があります。すべてのケースに当てはまるわけではないので、その点はご了承ください。

 ピニオンベアリングの下に入れるワッシャーは、回転しないところですし、ネジの圧力もかかりませんので、油でおかされないものならなんでもいいと思います。紙を切って油を染み込ませたものでもいいと思います。外径は16mm、内径は10mm以上がいいでしょう。 (2003/12/3)

AbuGarcia