EONは優しい

 日本のアブファンがひっくり返りそうなEONです。遅ればせながら、手に入れました。

素EON3600
 
私が買ったのは素のEONです。アフターパーツなどをそろえてまじめにやっている正規品を買いたいのは山々ですが、今年からstdは扱わないとかなので、仕方なく並行ものを買いました。
 流行のアルミフレームではなく、低コストで軽い樹脂フレーム採用。樹脂の質感はいまひとつ。でも、それがどうした文句あっか、と言いたくなるリールです。
欠点?
 もしかしたら素のモデルを正規品として扱わなくなった原因がこれかも? フレームとスプールのすきまが大きく、4号くらいの糸でないと噛んでしまいます。
 でもこれが欠点といえるのかどうかは、難しいところ。アメリカなら4号は12ポンドです。実際カートンのキャパ表示も12ポンド。欧米でわざわざ細い糸をベイトで使うことはないのかもしれません。

 *原因と対策は次のページで・・・。
遊星ギア
 最大の特徴が遊星ギア。特筆すべきは、この構造でもばらしやすさ、メンテナンス性が考えてあること。ギアのユニットは取り外してもドラグワッシャーがバラバラにならないようにしてありますし、ユニットをフレームに止めているネジも、金属製のものがフレームにインサートしてあります。
 事なかれ主義で「分解しないで」と書く日本のメーカーと違って、取り説にも分解法がちゃんと書いてありました。ユーザーをバカにしていないのです。
 真ん中が遊星ギアとドラグワッシャー、右の黒いのがメインギア(内歯車)、その後ろがユニット本体です。
巻きやすい
 使う前は、ロッドと一緒にパーミングするんだから、リールの中心にハンドルを持ってきても仕方ないだろうと思っていました。しかし、使ってみると、やっぱりこれが巻きやすい。握りやすいハンドルもあって、快適、納得。
ドラグとメカニカルブレーキ
 これも売りのひとつですが、たしかに操作しやすいです。文句ありません。ドラグ力も余裕があります。ふたたび納得。
ぴかいちのパーミング性
 ボディ上部の黒いラバーは、なんだかつぎが当ててあるみたいでしょぼい印象。でもこれがしっかりパーミングにきいてきます。
 下部の青い塗装は手触りのいい植毛塗装風で、好感触。無意味に3色に塗り分けたわけじゃありません。
 見てくれのいいアルミ削り出しのリールと違って、安っぽくても樹脂は冷たくありません。実用的かつ優しい設計。
優しいリール
 カールのおじさんか、南伸坊のイラストか、おむすびか。フォルムだけでなく、作った人の優しさが伝わるようなベイトリールです。これは日本のメーカーには作れません。

 途中でも書きましたが、素のEONは正規にはもう売らないそうです。正規で売られるのは、高級版のプロとスポーツ。特殊なベアリングでスプールを受けていて、よく飛ぶとか。でも、わざわざシマノやダイワと同じ土俵の上に乗っていかなくてもいいじゃないのと思います。このリールのキャラじゃないですよ。

 惜しいのは、スプールのすきま。私の買った個体が不良品なのかもしれませんが、やはりせめて2.5号くらいまでは使えるようにして欲しいところ。同じ日本仕様なら、アブをたたいてこの部分の加工精度を上げたものを作らせたらどうでしょう。ギアユニットとフレーム右のスプール穴の位置関係なんですから、冶具や加工法を見直したら、なんとかなると思いますけど・・・。(2003/5/28)
AbuGarcia