EONのスプール調整

 すき間が大きくてラインが噛みこんでしまうEONのスプール。原因は芯ずれ。以下のように調整すれば、改善できます。

ああ16ポンドが・・・
 私の買ったEONは、スプールのすき間が大きく写真のように16ポンドライン(実測値0.36mm)が入ってしまいます。
 でも、写真のようにラインを当てていくと、この個体の場合、ラインが噛むのはスプールの上の部分だけです。つまり、スプール位置がずれているのです。
 これを修正すれば、糸がみしにくくなるはずです。
 以下、分解および調整法です。
ハンドルを外す
 
メカニカルブレーキとリテイナー、ハンドル固定ナットを取って、ハンドルを外します。
ドラグダイヤル抜け止めスプリングを外す
 先の鋭いもので、ドラグダイヤルの抜け止めになっているスプリングを外します。どんなリールでもですが、こういう場合スプリングを飛ばさないようにします。写真は撮影のためにスプリングが見えるようにしていますが、実際に行うときは手で覆いながらやってください。
ドラグダイヤルを外す
 緩めていけば、そのまま外れます。
クリックスプリングを外す
 ドラグダイヤルを回したときにクリック音を出すスプリングを外します。
サイドカバーの爪を外す
 サイドカバーは3箇所の爪でギアユニットに止められています。爪を少し広げながらサイドカバーを浮かせます。
サイドカバーを外す
 サイドカバーが外れます。
ギアユニット固定スクリューをゆるめる
 ギアユニットをフレームに固定している3本のスクリューを緩めます。
遊びを見る
 ギアユニット右に黒く見えているのはハンドルを取り付ける軸で、その中心にスプール軸が通っています。つまり、ギアユニットの位置がスプール軸およびスプールの位置を決めているのです。
 3本のスクリューを緩めたら、写真のように持ってギアユニットをずらしてみてください。わずかに遊びがあるはずです。この遊びのために、ギアユニットが動いてスプール位置がずれるのです。
ギアユニットを固定する
 すき間が大きい部分を狭める方向にギアユニットを押しながら、固定スクリューを均等に締めていきます。
修正後
 12ポンドライン(実測値0.31mm)が入らなくなりました。

 あとは分解と逆の順序で組み立てます。特に難しいところはありません。注意点は、サイドカバーの爪をギアユニットの溝に確実に入れるのと、ドラグダイヤルを組むときクリックスプリングの先をダイヤルの中に押し込むことくらいでしょう(あたりまえか)。

 ギアユニットとフレームとの合わせ部に問題があるわけです。フレーム側の合わせ部が樹脂成型のまま(に見える)なので、寸法が攻められないのだと思います。これでは分解組み立てのたびに、すき間が変わってしまいます。設計を見直すべきでしょう。

 使用ラインにもよりますが、このくらいに修正すれば、普通の使用では問題なさそうです。持っている人で、ラインの噛み込みを起こしたことのある人は、チェックして調整してみてください。

 それにしても、前のページで糸がみを指摘してから「俺のもそうだ」とか、「そんなことないぞ」とか、「それはおまえの分解組み立てのせいじゃないのか」といった反響は、1件もありませんでした。アンバサダーって熱狂的なファンがいそうですが、日本のファンにとってEONはアンバサダーじゃないのでしょうか?
 うう、かわいそうなやつ。よしよし、すき間も直ったし、これから使ってやるからな・・・。 (2003/11/29)

AbuGarcia