Backnumber75

 2016年3月21日、まだ渓流釣れないし、同じ釣れないならでかいルアーでもぶん投げてくるかって、九頭竜川に行ってきました。人だらけでろくに川に入れないのに加えて、体調も悪かったんで2時間くらい投げただけで帰ってきました。10時間投げても結果はいっしょだったでしょうけど。 (2016/3/21)

 まじめに九頭竜通いしている人には叱られそうですが、私の場合、遡上マスに夢を追うのは川マスことサツキマスで終わっちゃったみたいな部分があって、サクラマスにはそれほど思い入れがないのです。

 なんであんなにサツキマスにこだわったのかなあとか考えながら今日帰ってきたのですが、『川マス』にいろいろ書いてある理由のほかに、「自分はつまらん田舎の一個人で特別なこととは縁のない存在だ感」を破ってくれた魚だったというのもあったのかなあと思いました。

 『川マス』の一節にこんなのがあります。

 そのころの僕を含めて田舎の人間には、自分が日本の片隅にぽつんといるだけの存在だという意識がある。こういう感覚が、いくらマスコミが批判しても、地元に道路を建設する議員を当選させたり、環境問題に対して無関心な態度をとらせたりする。田舎者の目には、政治や環境の問題は、ぜんぶテレビの中だけの話。東京のだれか偉い人たちがやっていること、フィクションなのだ。家の前を反対デモが通っても、あれはテレビの中の特殊な人たちがやっていること、自分たちには関係ない。田舎者の感覚はこんなものなのだ。

 中学生くらいのときの私の感覚はさらに進んで(遅れて?)いて、ルアーで魚が釣れること自体東京にいるすごい人たちだけのものだと思ってましたし、サツキマス(当時は長良マスとか川マスといった)が実際にいるのは知っているにもかかわらず、あんなものは自分には釣れない、いわばフィクションの魚のようにとらえていました。

 自分だけの特殊なものだったのか、田舎の人はこういう面があるものなのかはわかりませんが、とにかくそれを破ったのが、ルアーに初めて釣れた17cmのウグイや、初めて釣れたサツキマスでありました。

 ひるがえって九頭竜川のサクラマスは……投げるたびに自分に運がないことを教え、気分をさらに落ち込ませてくれる魚、でしょうか。

 2016年3月5日、年券を買いに坂内川に行きました。いくら暖冬でも山は冬なので、魚はなしです。記録を見ても釣ってるのはたいてい4月以降。去年なんかは寒波で4月終わり近くにやっとでした。無理しない無理しない。 (2016/3/14)

 いままでこの時期ポツポツ釣っていたのは根尾川の成魚放流が主だったのですが、ことしは1回行っただけです。よたよたの魚を釣るのがちょっとというのもありますけど、放流場所(6→4)も放流日(4→3)も減ってるし、場所もルアーを投げられないような分流やら支流になっちゃってるんですよね。

 リールはこの前根尾川で使ったとき、負荷がかかるとウォームシャフトがコリコリした15ツインパワーです。どうやら、昨年部屋で誤って落としたのが原因らしいので、やっぱりパーツを取り寄せて交換しました。

 交換したのは、メインシャフト組とウォームシャフトピンです。ついでに、せっかくばらすので、ウォームシャフト前後のブッシュをベアリングにしました。写真には写っていませんが、必要になるといけないので、ウォームシャフトピンとウォームシャフトの調整座金も取り寄せました。

 巻いたときのコリコリ感は減少しました。新品時に意識していなかったので、はっきりとは言えませんが、もともとこのくらいはしていたのだろうという程度です。目に見えてパーツにゆがみはありませんでしたが、若干前寄りになっていたラインの巻き上がりがどんぴしゃフラットに戻ったので、オシュレーションスライダーあたりが歪んでいたのかもしれません。

 ウォームシャフトのベアリング追加の効果は、ようわかりませんでした。ウォームシャフトの場合、S字カムなどのようにオシュレーションギアの軸受けに直接的にラジアル荷重がかかるのではないのと、軸がたいへん細い(同じ摩擦抵抗でもトルクは小さくなる)ため、ブッシュでも抵抗がそれほど生じないのでしょう。

 グリスは、昨年なぜか2種類届いて両方買った、DG06/SHIPとDG16/NLTS2のうち、SHIPのほうを使ってみました。昨年、セルテートとシメトレにNLTS2を使ったら、おおっというくらい回転が軽くなりましたが、今回はもともと入っているグリスもSHIPっぽかったので、こっちにしました。

 SHIPグリスは普通の感じで、入れた直後は若干抵抗が増え、使っているうちになじんでいきます。スプレーで売っているものと同じような感じです。NLTS2のほうは、最初回転が軽かったのですが、お〜っとかいってくるくる回しているうちにそれほどでもなくなってきたようにも感じるので、SHIPのほうが安心かなと思ってますが、あくまで感覚的なものです。

 サービスグリスはSHIPにとってかわったはずなのにこれまた廃版になっているDG10/パーマルブというのも持ってますが、水でひどく膨潤するのと触った感じがサクサクしてるのとでSHIPのほうが安心な感じ。これもあくまで感覚的なものですけど。

 そもそもSHIPグリスは名前からして95シリーズあたりから使っていて、このころからシマノリールの耐久性は定評があったわけで、そもそもなんでSHIPをいったん変えたんでしょうね。

 2016年2月22日、九頭竜川に行ってきました。今年はよく釣れているとかで、人がいっぱいでした。小心者の私は遅めに行って、3人目ぐらいで釣り下ったので、結果はいつもの通り。もっとも、よく釣れてるたって2%が4%になったようなものなわけで、一番乗りしたっておんなじだわね。 (2016/3/7)

 いつぞやも書いたように、私は子供のころの駄菓子屋のくじから雑誌の懸賞まで、宝くじ的なものには絶対当たらない不幸な星の元に生まれた人を自任していて、はなから釣れるつもりでやってないのも、ますます釣れなくしとるのやろとは思います。

 この日最初は、ナスキー2500にパワープロ0.8号で釣り始めました。しかし、開始早々根掛かりでフロロ2.5号のリーダーが切れてしまいFGノットで再接続。しかし直後にまた根掛かりしたところで、やっとれるかいとスピード10lb2.5号を巻いたクォーツにチェンジしました。

 ひさびさにナイロンを使ったので、さぞ飛距離や放出抵抗にストレスを感じるだろうと思いながら投げてびっくり。あらためて使うとナイロンってスムーズですね。滑るように出ていって飛距離も大差ありません。そういえば、去年だったか一昨年だったか、ナイロン1.5号を巻いたミッチェル408で犀川に行ったときも、けっこういけるじゃないかと思った記憶があります。

 最近は私もPEの使用が増えていましたが、去年渓流でPEを使って10ヒットもあったのに取り込んだのが2匹だったということがあって、もう一度ナイロンを見直してみようかと思っているところです。

 クォーツもひさびさに使いましたが、こうしてみるとカッコいい。もっとも、カッコよく見えるのは、耳なし芳一のごとく全身にプリントされていたフィーチャーの説明書きが、ことごとく消えているせいでもありますが。

 あらためて使うと、ラインコントロールシステムが実にうまくはたらいております。ラインがもつれて出るトラブルは、いわゆるピョン吉や、ピョン吉までいかなくてもわずかに糸巻き面から飛び出したラインがキャストの時に引っかかって出ていくからです。ならば、ベールでラインを挟んでしごいて緩みを取ってから巻き始めれば、ライントラブルはなくなるはず、というのがこの機構です。

 最近、メバルやアジを狙って軽いジグヘッドを投げるとき、ライントラブルが多いので、ベールを閉じたあと、ラインローラー直前のラインをちょっと引っ張ってから巻き始めるようにしたら、トラブルが起きなくなりました。これを、クォーツは20年も前にやっていたわけです。

 惜しむらくは、当時の輸入元もそれを理解していなかったこと。カタログには「糸ヨレを解消」と書いてありました。

 もっとも、私も、こんな機構など要らんから、もっと300っぽいモノを作れって言ってたわけですが。

 キンドル本第11弾『Cardinal』新発売です。奥付には2月5日発行とありますが、今まで伸びてしまいました。中身はできてたんですが、プレビューソフトで見ると写真ページが消えたりしたので、アマゾンのサポートセンターで原因究明をしていました。なんとか対策できたけど、いまさら奥付を書き直すのはめんどくさいので、そのままにしちゃいました。だって僕悪くないんだもん。 (2016/2/28)

 ちょくちょく言っておりますが、キンドル本は専用端末・キンドルがなくても読めます。アプリさえ入れれば、写真のように、パソコン、タブレット、スマホ、iOS機器で読めます。すなわちこのサイトを見ている人はすべて見られます。

 最初、カーディナルがらみのものをすべてぶち込んだものにしようと思ったのですが、過去に書いたものを引っ張り出してきて読んでみたところ、内容がかぶるんですな。そらまあ、書くたびに見解やら結論やらが変わったらその方がおかしいわけですが……。しかも、いくつかはすでに『マイナーリールの紳士録』や『マイナーリールの紳士録2』、『Let's Inner Spool!』に収録済みです。

 そんなわけで、33や3について書いたものに絞り、最も新しくてまとまっている2013年の『ルアーマガジンリバー Vol.17』に掲載されたものをメインに、2007年の『トラウティストVol.18』のメンテナンス&チューニングを加えたものとしました。ルアーマガジンリバーの分では、2013年時点で出ていなかった3BPと3RDの写真を新たに追加しました。

 トラウティストのほうは、写真はあちらで撮ったものだったので、あらためてすべて私のほうで撮影しなおしています。さらに、メンテナンス&チューニングのページは写真中心で本文がほとんどなかったため、あらためてすべて書きました。だから、このパートはキャプション(写真説明文)が流用してあるだけで、実質新規作成となっています。写真も追加しています。新規の本文は雑誌を意識していないので、若干脱線気味の部分がありますが、かえって面白いかもしれません。

 よろしくお願いいたしまする。

 しかしまあ、『Cardinal』は、このサイトの「電子書籍」のページとフェイスブックとツイッターで告知して2日で、『ユキ』のトータル売り上げとほぼ同数が出ました。『80年代リールの歴史』もそうでした。わしはリールうんちく以外求められとらんということか(時川氏の経歴に汚点を残しただけとちがうか……)。

 先日久々に使ったらウォームシャフトがコリコリした15ツインパワーを(わざわざトルクスレンチセットを買ってきて)バラしたりました。昨年部屋で落っことしたのが原因らしいので、部品の変形などがないかチェックしましたが、目視で異常はありませんでした。もっとも、目視で異音の原因がわかったら、製造工場は苦労しませんわいな。 (2016/2/21)

 たとえば打痕がついてそこから金属粉が出ているとかだったら絶対直さんといけませんので、そういう大きい異常だけチェックし、とりあえず直ちにひどいことにはならんだろうという感じ。微妙にウォームシャフトポウル(クロスギアピン)とかオシュレーションスライダー(摺動子)が歪んだか、もともとこのくらいの音はしていたのかもというところです。

 異音をどうするかは検討中ですが、ともあれバラす際に問題なのが防水機構コアプロテクトです。どうなっとるかというと、ピニオンギアに付いている銀色のカラー(ローターカラー)に撥水加工が施されていて、わずかなクリアランスで取り付けられた外側のゴムシール(ローラークラッチシール)に来た水を水玉にしてブロックするというものです。

 なぜバラしたらあかんかというと、理由はふたつあって、ローターカラーに油(皮脂を含む!)が付くと本来の撥水性が落ちて水玉効果がなくなるのと、ネジを緩めるとローラークラッチシールがずれてクリアランスが不均一になり回転抵抗が生じたりすき間から水が入る可能性が生じたりするからです。

 ただ、それはシマノが規定している防水レベルを保証できなくなるということであって、マグシールドみたいに完全にダメになるわけではありません。そこそこ撥水性が残っていれば、そうそうこのすき間から水は入らんでしょう。

 だいたい、普通に使っていて傘状になっているローターの奥まで海水が入ること自体あり得ないのだし、ならばローターの奥まで水が入るような水洗いは百害あって一利なしなのだし、そもそもパッキンもなかった11ツインパワーなどのワンウェイクラッチが塩ガミしまくったんかってことです。

 組み立てるときに、3本のネジをいきなり締めるのではなく、ローラークラッチシールとローターカラーのすき間ができるだけ均一になるようにしてから締めます。人間の目は偏りは見分けやすいので、そこそこの位置は出るはずです。ゴムなんで触ったとしてもそう抵抗は増えないはず。 

 ちょっとだけ心配なのは、旧モデルのローターカラーはローターにくっついちゃってたことです。写真のリールはたまたま取れただけで、くっついちゃってる個体があると、すき間出しができなくなります。で、位置決めのためにローターカラーを買っとくかと思った人がいるかもしれませんが、シマノHPを見ると「部品注文不可」となっております(どこかパッキンの内径ぴったりの位置決め冶具作って出したらどや)。

 そういえば、昨日今日キープキャスト(名古屋フィッシングショー)に行ってきました。シマノのステージでムラタハジメ氏がシマノスタッフとメンテナンスについてしゃべっていて、雑誌に分解の記事が出ると修理がどっと増える、分解記事はあかんと言っていました。

 わしが聴衆の中にいると知っての狼藉かあと、ステージに躍り上がろうかと思いましたが、あとでサービスの人に聞いたところでは、バラしたものの戻せなくて組み立てを依頼してくる人がやっぱりいるそうです。そこまでならいいのですが、なかには組み立て工賃を請求すると「なんで金がかかるんや」とクレームをつけてくる人がいるのだそうです。こういう人がいるから、まともな人まで迷惑をこうむるわけです。困ったもんです。

 そういえば、先週は大阪フィッシングショーでした。バンタム100が飾ってあったところで、シマノの人にあいさつすると、以前会ったことがあるとのことでした。いつだったか思い出せなかったので聞いたところ、昨年末本社に行って取材したとき説明してくれた人でした。1か月ちょっとしか経っていないのに、なんという記憶力。 (2016/2/13)

 私は、フィッシングショーへ行っても、カタログをかき集めるだけで、あんまり各メーカーに行ってあいさつしてこない無礼な人なのですが、人混みが苦手ということのほかに、これが怖いからというのもあります。名刺を渡して、「前もらいました」といわれることがしょっちゅうあります。

 京極夏彦の『狂骨の夢』だったか、脳に欠陥があって人の顔の見分けがつかない女が出てくる小説がありました。顔の見分けがつかないために、着物の柄だけで人物を記憶していて、その証言を基にしたために事件が複雑になったみたいな話だったはずです。

 小説なんで、どこまで本当かわかりませんが、たぶん私もそれに近いのだと思います。中学のころ、(みんな丸刈りだったこともありますが)新年度クラス替えしてから5月いっぱいくらいまでクラスメイトの見分けがつかなかった記憶があります。

 私は、小学校のころ本を読むのが好きで、釣りの本をはじめ、新聞や大人が読むような雑誌まで、かなり低学年のうちから読めました。だから国語の漢字の読みのテストはほぼパーフェクトでした。ところが、書き取りとなると全然だめで、いつも放課後に残されて泣いていました。

 たぶん、物の形を正確にとらえて脳内で描くことができない頭なんじゃないかと思います。シマノでも、リールの設計屋さんになりたかったのですが、間違ってなっていたら、くその役にも立たなかったと思います。実際辞めてから入った岐阜の会社で機械の図面を描きましたが、リールよりずっと単純なものでも、まあ苦労しましたもん。

 そんなわけなので、あの野郎ブースの前を素通りしていきおったなというメーカーの人、ごめんね。

 この写真を撮った時、大垣の某大手印刷会社の人と一緒でした。シマノ時代同じ品管課にいたHという人がここで偉くなっていて、その関係で(?)最近釣り関係の仕事もやっているため、業者日に来ていたのでした。釣り具業界の人はつぶしがきかないので(おい)、勤めていた会社を辞めても、だいたい釣り具業界にとどまるものですが、この人はかなりまれなケースといえます。もっとも、H氏はシマノにいたにもかかわらずバンタムがどんなリールか知らないような人なので、ほかの業界でも通用したのかもしれません(どんな理論なんだ)。

 しかしまあ、シマノにいてバンタム知らんって、日産の人がスカイラインとか桜井眞一郎氏を知らんのと同じくらいトンデモだわと思っていたら、H氏と一緒に来ていた人がとんでもないバンタムキチガイで、レベルワインダーの形が前期型がこうで後期型がこうでと、熱く語っていました。いるところにはいるものです。

 バンタムブランドが復活するそうで、本当ならバンタム100も出てきてほしいところですが、こっちは難しいでしょうね。アップデートするとオリジナルからかけ離れるし、オリジナルと同じなら今はネットオークションで手に入りますからね……。

 そうそう、ここだけの話ですが、バスデイ・ボトムトゥイッチャーの台紙に「ヘービーシンキングミノー」という誤植をやらかしたのは、H氏の会社です。

Backnumber75

上にリストがないときはここをクリック