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 2016年4月30日、揖斐川水系のアマゴです。リールは00ステラ2500SSミレニアムエディション。そのうちG誌の連載で取り上げようと思っているのですが、魚と撮った写真がありません。で、揖斐川のサツキマスや御母衣ダムのトラウトに使ってみたものの釣れそうにない。それで、渓流ならなにかしら釣れるやろと思って持ち出しましたが、これはちと小さいのお。 (2016/5/1)

 買った年に鳩ケ谷ダムでバイト13g金赤を使って40cmのイワナを釣っているのですが、背中がくの字に曲がった魚で、とても使える写真ではありません……。

 このリールは買った年に2号8lbナイロンを巻いてバス釣りに使い、ミノーのトゥイッチをやったらトラブル連発でラインが全部なくなってしまいました。だからこの日は1号ナイロンを75mつまり糸巻量表示の半分だけ巻いて行きました。

 そうはいっても当時の巻き量はマックス表示だったので、そう極端に少ないわけではありません。で、結果はというと、ライントラブルは起きませんでした。

 昔バスに使ったときは、サスペンドミノーをステイさせるため、ラインをはたく感じでトゥイッチを行い、もろ緩んだラインを巻いていましたが、渓流ミノーは巻きっぱなしの途中でトゥイッチを入れる感じなので、大丈夫みたいです。

 でも、自重275gはやっぱり重く、最近のハイギアに慣れてしまうと2500番でも5.2対1の巻き取りはしんどいです。やっぱ渓流では使えんどすな。

 まあなんといいますか、会社員時代は金持ちやったんやなあと思いますけど、それでもハイエンドを買ったのはトーナメントEX750と95ステラ2000だけで、どっちも2、3回使っただけで飽きちゃいました。そんな中ミレニアムステラは一時期けっこう使っておりました。

 今のリールは、販売戦略上ハイエンドがあってそれをコストダウンしたものを下に並べて売っていきます。そうなると下のモデルも基本構造はみんな一緒で、ちょっと自重が重いくらいの差しかありません。そうなると、別にハイエンドでなくてもええやんとか思っちゃうわけです。

 でもミレニアムステラだけは違っていて、ノーマルステラやその下のモデルとは全くの別ものでした。どやわしはこんなヘンタイのリールを使ってんねんで、というのがええわけです。

 2016年4月6日、揖斐川水系のイワナです。まだこの時は水温一桁で、アップやクロスで釣り上ったあと、帰りにスプーンをダウンに流して釣りました。いわゆる“水平方向のジギング”です。って、古い人にしかわからないか。(2016/4/24)

 水平方向のジギングというのは、昔の常見忠さんの本にやたら出てきたテクニックで、スプーンを下流に流してリールを巻かず前後方向に動かすものです。今風にいえばダウンに流してステイさせるとかになるでしょう。

 私もときどき、「水平方向のジッギング(当時はこう表記されていた)」とか言ってやってみるのですが、たいがい釣ったことありません。この日は水温が低くて魚が追いきれなかったのと、まだスレていないためでしょう、珍しくイワナが釣れ、(初めて)アマゴも釣れました。

 本に書いてある通りにならないといえば、トップウォーターバッシングの有名人が、則弘祐氏の『ブラックバス釣りの楽しみ方』に書いてあることの反対のことばかり起きてずっこけたみたいなことをバスの雑誌で話していた記憶があります。

 私の場合、同じく忠さんの『ルアー野郎の秘密釣法』の、追ってきて食わない魚が見えたらリールを巻くなというのもそんな感じ。リールを巻くのをやめるとスプーンが落ちて思わず魚が食うことがあるし、食わなければ続けてロッドアクションを加えて食わせるのだ、というものです。

 で、実際それをやってみると、かえって魚が見切ってUターンしちゃうんですね。イワナだと止めて落ちたとき食うこともありますが、私の場合はアマゴが多かったから、けっこう「ちがうやんけ!」と思ったものです。

 水平方向のジギングは『忠さんのスプーン人生』にも入れました。一代記なのにこういうテクニック的なものは要らないのではないかという意見もあったのですが、当時の忠さんの本には決まって出てきた懐かしいフレーズだし、言ってみればダウンでステイさせるだけのことが「テクニック」だったのも時代を表すものじゃないかなあと思って入れました。

 『忠さんのスプーン人生』のリンクは長らくこのページの右上に置いていましたが、かれこれ4年も経過しましたし左のメニューに移しました。代わりにいま『Wanted!』を入れています。10年前もこうしてロドリ連載のリールを募集しました。当時の方のアドレスは残っているのですが、再度お送りしても連絡は取れませんでした。10年の月日は長いものです。よって再び募集します。なにとぞよろしくお願いします。

 2016年4月12日、庄川のヤマメです。下界は暖かくなったもののやはりそこは荘川、しかも寒気が入って朝は0度近くまで冷え込み、本流の水温も8℃くらいでした。この川の成魚放流ヤマメは死んだような目の魚が多いのですが、これは稚魚から大きくなったものらしく、きれいな魚でした。(2016/4/18)

 ルアーはマスター5g銀河スペシャルパールピンク。トリプルフックだと規則的に尻を振りますが、シングル(写真はオーナーへらサイト14号にダクロン30lbアイを8mm付けたもの)にすると不規則に泳ぎます。それがいいスプーンと悪いスプーンがあると思いますが、このルアーの場合はX状の軌跡を残すような泳ぎになって、なかなかよろしいみたいです。

 忠さんのスプーンのパールカラーは90年ごろに塗料が変わっていて、それ以前のモノよりも釣れなくなった印象でしたが、この日はこのスプーンと3.2gのメッシュのパールピンクによく当たりました。ここ10数年はシルバーやゴールドベースばかり使ってきましたが、去年97銀河アユでサツキマスらしき魚をバラしましたし、もう一度使ってみようと思っています。

 ロッドはランカーギアLG65S-L2JをSiCに巻き替えたものです。この前に使っていたレガシー版は、重いアルミナガイドで独特の振り調子でした。記憶をたどると、レスターファインのミノージャック56もハードロイガイドをSiCに巻き替えたら調子が変わってしまいました。アルミナガイドのレガシーもハードロイ(は商品名で材質はアルミナ)ガイドのミノージャックも、振りかぶるとロッドが勝手にしなってルアーを飛ばしました。

 あの味が懐かしいなあと考えていたら、SiCに巻き替えてしまったレガシー版を余っているハードロイやOガイドに巻き替えたらどうやろかと、にわかに改造衝動が沸き上がってきました。でも、ハードロイガイド版のランカーギアやHMGのGFS64Jあたりがヤフオクに出てくるのを待ったほうがいいと考えて、危ういところで思いとどまりました。

 リング表面の艶ひとつとっても、SiCにしたくなっちゃいますが、安易な改造も考え物なのかもしれません。

 2016年4月6日、揖斐川水系のアマゴです。去年買ったもののあまり使わなかった15ツインパワーをようやく使っております。15型のハンドルノブが良かったので、同じノブを11型に付けて使っていたせいです。それと、やっぱり、一回バラして自分で組むと、自分のリールになった気がします。そういえば15ルビアスも1回か2回使ったきりです。10セルテート2004Hもグリスアップしてからまだ使ってない。困ったな。 (2016/4/10)

 ロッドはランカーギアLG65SL-2J。G誌の連載のために引っ張り出して使ってきました。ベンドカーブとかジョイントの突っ張りとか、台湾製ミッチェルみたいに海外移管でダメダメだったころのものですが、使ってみるとやっぱりそれなりの味があります。

 SiCに巻き替えて少し感じが薄まりましたが、スローテーパーブランクが旧式の大口径ガイドの重さで勝手にしなって、ミノープラグが楽に飛んでいきます。しかも、放出抵抗自体は大口径のほうが少ないため、飛距離も最近の小口径ガイドのロッドより出る感じがします。これはスーパーパルサーFWSなど旧ガイド構成のロッドを使ったときいつも思います。

 ニューガイドコンセプトが出たころ、キャスト実験ではニューコンセプトのほうが飛ぶというデータが富士工業のカタログに載っていました。ファーストテーパーのロッドをピシッと振るならそういう結果が出るのでしょうけれど、スローなロッドに乗っけて飛ばすなら結果は違うのではないかと思います。以前磯の雑誌でダイワの磯竿担当の方に聞いたところ、磯で使うカゴ竿も同じで、スローテーパーのロッドは大きめのガイドを間隔を開けめに付けたほうがいいそうです(ん、これ前書いたような気がするぞ。まいいか)。

 グラスやバンブーの“味”も、ブランク自体の重さによるスローなしなり感によるものが大きいはずで、だったらカーボンブランクにあえて大きなガイドを付けてそうした味を再現することも可能ではなかろうかと思います(むむ、これも前書いたような気がする。最近ぼけとるからな)。

 ミノーが軽く飛ぶという話に付ける写真が欲しかったので、ミノーで釣ってますが、この日、ミノーで3回ヒットして取ったのはこの1匹だけでした。スプーンは6回ヒットして4匹取りました。シングルバーブレスにしているためミノーはいつもこんな感じです。買ったままのトリプルバーブ付きフックなら全然違うんでしょうけど、いまさらそれで釣ってもかえって後味悪そうだし。

 『バラカ』面白かったですね。東日本大震災で福島の原発が4基とも核爆発した日本が舞台。作中の日本が事故をなかったことにして大阪五輪に邁進するあたり、ドラマ化したら高市ショーン早苗に電波停められそう。『最低。』は、昨年岐阜大学の学園祭に招かれたのにヘタレな自治会にドタキャンされた紗倉まなの処女作。昨年は、『火花』が読みにくい文章が文学的だということで売れましたけど、『最低。』は読みやすい文章でちゃんと小説になってます。こっちがちゃんと評価されないとおかしいと思うぞ。 (2016/4/3)

 『バラカ』は、紙版も電子版も同じ値段でしたけど、電子版を買いました。よく、紙の本のほうがいいとか、紙の手触りがどうとかいう人がいますが、私はまったくそういうことがありません。読み終えたあとの置き場ひとつとっても電子版のほうがいいです。例えば私は井上陽水が大好きですが、LPで聞こうがCDで聞こうがiPodで聞こうがPCで聞こうが、いい曲はいい曲でしょ? 問題はコンテンツなのに、それがなぜ本になると、こういうことを言う人が出てくるんでしょうね。

 紙の所有感がどうの以外にも、キンドルで『1984』が消されたレアな事件をもって電子書籍は本を所有していることにならないみたいな言葉遊びをしてみたり、アマゾンが実店舗の書店をオープンしたことや電子書籍の利用率がまだ日本で16%しかないことをもって電子書籍はダメだっていってみたり、こういうのは出版業界の抵抗なんでしょうね。『バラカ』は電子書籍化されましたが、同じ著者の別の作品はほとんど電書化されていませんし。

 でも電子書籍への流れは確実に進んでいて、それは自分の本の順位からも感じています。いかに売れていないかがバレますが、おおよその売れている数は、アマゾンの本ごとの販売ページにある「Amazon売れ筋ランキング」の「kindleストア有料タイトル」を見ると、だいたいわかります。

 あのランキングは30分ごとに更新されるリアルタイム表示なので、1冊売れるとポンと順位が上がり、その後売れないとほかの本に追い越されていって、30分ごとに落ちていきます。

 で、1冊売れると、4000位くらいになります。そして、1日売れないと1万位くらい、2日で2万位くらい、1週間くらいすると7万位くらいに落ちていきます。10万位くらいまで落ちるとまわりの本も売れていないので落ち方がゆっくりになります。反対に1000位以内に入るには一日に6〜8冊くらい売れないといけません。

 この感じが、最近厳しくなってきました。1冊売れて上がる順位が少し低めになって、その後の順位の落ち方が早くなりました。順位の落ちるスピードは、感覚的に2年前の2倍近い感じです。つまり、まわりの本がそれだけ動いているということです。

 もうひとつは、『川マス』とか『マイナーリールの紳士録』みたいな古いものが、いまだぽつぽつ売れてくれることです。私の本は「この商品を買った人はこの商品も買っています」を見れば一目瞭然、めちゃくちゃ狭い範囲で売れています。ならば、発売後バタバタっと売れて、ピタッと止まるはずです。

 それが止まらないということは、キンドル端末を買ったりキンドルアプリをPCその他に入れて新たに電子書籍の使用を始める人がコンスタントにいるということでしょう。

 そうそう、紗倉まなの本は読んだけど、私自身はAV全般見たことないです。言い訳(する必要もないか男やもん)するわけじゃなくて、私はあんまりドカンと見えるより水着のお姉ちゃんくらいがええな。果てしなくどうでもよかったか。

 先日、来月売り塩水誌の記事のために、95ツインパワーをバラしました。ドライブギアの写真を撮ろうとしたのですが、ベアリングが取れません。ベアリングが取れないと、ベアリングがストッパー切り替え軸に当たるので、ギアも取れません。仕方ないので、ストッパー切り替え軸を取り外して、やっとバラしたものの、ギアの写真にベアリングが付きっぱなし。カッコ悪いなあ。 (2016/3/28)

 なぜこういうことが起きるかというと、亜鉛一体のドライブギア軸がクリープ現象を起こして太くなってしまったからです。

 クリープとはじわじわ忍び寄るという意味の英語で、高温化におかれた金属が、常温でなら耐えうる応力でもじわじわと変形し、応力や温度によっては破断してしまう現象です。

 本来金属は常温ではクリープしません。だから、例えばドラグを締めっぱなしにしたからといって、ドラグノブ内のスプリングが変形して調整幅が変わってしまうなんてことは起きません。

 ところが、なぜか亜鉛合金は常温でもクリープしてしまうのです。だから、亜鉛一体のドライブギアは、ハンドル固定ネジの圧力で軸がクリープしてつぶれていくのですね。そのため、製造から20年経った95ツインパワーは軸が太り、ベアリングがくっついちゃったわけです。

 昔、いちばん安いスピニングリールのハンドルは、ハンドルクランクとハンドル握り固定軸(ダイワでいうところのハンドルリベット)を亜鉛ダイキャスト一体で作っていました。そして、ハンドルノブは、亜鉛ダイキャスト一体の固定軸端の穴に金属用タップネジで止められていました。

 ハンドルアッセンブリを組み上げると部品検査として、ねじの締め付けトルクを検査します。そして、リールに取り付けるのですが、さらに完成品からも抜き取りをして、同じ部分のトルクを検査します。

 昔、シンガポールでリールを作り始めたとき、ハンドルアッセンブリでの検査ではOKだったハンドルノブ固定ネジのトルクが、完成品検査でNGになってしまったことがありました。

 国内でこういうことはなかったので(あってもなあなあで行ってたのかも)、工場立ち上がりでハンドルアッセンブリを作ってからリール本体に付けるまでの時間が開いてしまい、そのあいだに亜鉛がクリープしてネジのトルクが落ちてしまったのが理由でした。

 亜鉛はドライブギアの材料としてはいいのですが、こういう面もあります。

 こんなことを書くと、不安になって昔のリールをバラし、「ああ、取れない、どうしよう!」となってしまう人がいそうです。まあ、普通に使う分には支障はないので、気にしなくていいでしょう。やっぱなるかな。

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