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 2016年5月24日、揖斐川水系のアマゴです。このところお疲れ気味で昼からぶらっと行ったらけっこうきれいなのが釣れました。成魚放流していないところなので上出来です。 (2016/6/12)

 リールはミッチェル308A。自分にとっては2台目のミッチェルで、上州屋が扱っていた84年ころのものです。最近、ローターナットを回す専用工具を買ったので、バラバラにしてあった308A、408A、308プロプラナマティックを組みなおしました。やっぱ専用工具は締め具合がよくわかります。

 組みなおしたといっても、この308Aはまったく買ったときのままではなく、ギアがアルミのフェースギアになっています。購入時は真鍮ピニオンアルミドライブのストレートベベルギアだったのですが、ベアリングやらなにやらをいじくりまわしてダメにしてしまったので、その数年後に買った台湾製308に入っていた真鍮ピニオンアルミドライブのフェースギアを入れました。

 まあ、時期的にそういう組み合わせのフランス生産品もあったので、かなりオリジナルに近いかなと。その台湾製308は台湾移管間もないもので、ボディが割れて油が出ていたり、ドラグノブがいきなりつぶれたりとひどいものだったので、ギアだけ残してあったのでした。ギアはきっちりできていて、ギア以外の部分との落差を考えると、ギアはフランスで切って送っていたのだと思います。

 往時のベベルギアは、408が5.5対1、308が4.4対1でしたが、このリールのころから308(A)は5対1になりました。厳密にいうとドライブギアの歯がピニオンの歯数の5倍マイナス1なので4.9対1です。ただこれは、ジャスト5対1では“三段腹巻き”になってしまうのと、ギア設計のセオリーで歯数をハンパにして互いの歯を総当たりさせるためのものなので、ごまかしているわけではありません。

 ベベルギアの308も味があるのですが、さすがに4.4対1では厳しいので、この308Aくらいがギリギリ許容範囲かなあという感じです。

 このリールを買ったのはまだ学生だったころで、“足”がなかったため大した魚を釣ったことがなく、あらためて魚を釣ってやろうと思いました。あまり使った期間は長くありませんが、ウェルナーパックロッドといっしょにデイパックに詰めて自転車で下野正希氏の尾越(おごせ)カントリーレイクに行ったのと、卒業旅行と称して同じ研究室の者と芦ノ湖に行ってニジマスを釣ったのが思い出です。

 2016年5月21日、揖斐川水系のイワナです。ズームレンズが広角気味になっていたので魚が小さくリールやロッドが大きく写っていますが、それを差し引いても小さいです。 (2016/6/5)

 ロッドは、フェンウィック・ランカーギアLG55SUL-2J。絶賛発売中の『ギジー』の連載で取り上げているレガシーLG65SL-2は最初に付いていた非富士アルミナガイドを富士SiCに巻き替えたら独特の味が薄れてしまいました。てなことを考えながらヤフオクを見ていて、同じシリーズのこのロッドを買ってしまいました。

 このLG55SUL-2JはJモデルなのでレガシー初期の非富士アルミナガイドではなく富士ハードロイガイドになっています。で、投げてみた感じは、ガイドの重さがしなりを生む独特の……ではなく、先だけがデロンデロンした投げにくいものでした。

 このクラスになると単に当時サイズのガイドの重さに負けてしまうのかもしれませんが、もしかするとトップガイドのせいかもしれません。

 ウエダFWSとか同時代のシマノファイティングロッドのガイドを調べると、ハードロイトップのリングには薄いのと厚いのがあります。そして、このLG55SUL-2Jに付いているハードロイトップ(PLT8)はリングが厚いタイプです。そして、独特の味があったLG65SL-2の非富士アルミナのトップはこれほど厚くなかった記憶があります。

 すなわち、アメリカで売る非富士アルミナガイドで調子出ししてから日本仕様を同じアルミナのハードロイにしたものの、トップガイドの重さが違ったため本来の調子が出ていない可能性もあるのではなかろうかと思うのです(とはいえすでにそのころ実体があったかどうかわからんフェンウィックがちゃんと調子出ししてたというイメージもいまいちわかんのですが・・・・・・)。

 1番の中ほどにいきなりカーブの頂点が発生するこの時代の(?)フェンウィックなのでどのみちこんなもんのような気もしますが、トップガイドのリングを熱で抜いてLSGなどに入っている薄いSiCリングに替えてみたらどうやろかとか、いっそ全部現代のサイズのKガイドにでもしちゃおうかとか、またまた改造の誘惑に駆られているところであります。

 2016年4月30日、揖斐川水系のアマゴです。ロッドはシマノオリーブUL。中学時代初めてアマゴを、高校時代初めてサツキマスを釣ったロッドです。しみじみ。 (2016/5/28)

 ガイドはSiCのニューコンセプトに巻き替えています。オリジナルのラッピングは、ロッドラッピング用の細いのではなく、当時の一般的な竿に巻いてあったような太い糸で、もっと茶色っぽい色でした。

 このロッドはジョイント部の口割れを巻き糸で防いでいたようです。最初にガイドを巻き替えたとき、ジョイントの部分もグデブロッドのスレッドで巻き替えました。すると、口が割れて、1番(このロッドは並継ぎ)がずるずると入っていってしまいました。

 で、現在は、ジョイント部の口からバットガイドの直前まで黒いスレッドをめいっぱいテンションをかけて巻いてそれをエポキシでいったん固め、その上に白の縁取り付きの茶色の巻きを施しています。

 調子は先だけがペナペナしています。まだルアーロッドがどんなものかわからなかった時代だし調子がどうのって言っても仕方ないですな。それと、ダブルフットのワイヤーガイドを片足のSiCに替えているため、穂先が軟らかくなっているかもしれません。

 ネット検索してみるとこのスピニング版はまず出てきません。代わりにけっこう出てくるのがオリーブUL/SCというスピンキャスト版です。スピニングのオリーブULは1番の長い変則並継ぎの56です。UL/SCはセンターカットの60です(*)。スピニング版はSCのブランクを流用して作ったため、変則継ぎの56になったのではないかと思います。そう考えると、ベイトにも使われうるスピンキャスト版のために設計されているため、バットがこのように太くて先が軟らかいのかな。

 それにしても、サンスピンやブライトルアーではなく、まだマイナーだったシマノというのが昔からへそ曲がりだったのですなあ。

(あ、でもいま思い出した。最初のロッドはサンスピンL5だった)

(*:ひょっとするとこのあたり、バンタムPGと記憶が混同しているかも。最近ボケが進んどるからなあ)

 バンタムマグナムライト2200SGスピードマスターです。『80年代リールの歴史』の5枚のイラスト代用分を写真にするための1台で、昨日更新作業が完了しました。キンドル本は購入後も内容の更新が可能なので更新希望の方は「電子書籍」のページの「ファイル更新について」のようにしてください。ただ、アマゾン様からはこういうふうに一斉に更新を告知することはしないようにと言われているので、私が叱られないようこっそり申請してください。 (2016/5/22)

 大量に売れている本で更新申請がどっと来ると困るからだと思いますが、私の本くらいならぜんぜん大丈夫でしょう。あと、「ファイル更新について」のページにも書いてありますが、いろいろなケースがあるため必ず配信するとはいえないそうです(あくまで原則論なので基本的には大丈夫のはずです)。アマゾンに申請して一斉配信する方法もありますが、レイアウトが乱れてしまうなど品質上の問題に限られ、コンテンツの変更は対象外なのでご了承ください。

 5台のうちこのリールは買ってしまいました。担当ではありませんでしたが、在職時の現行モデルで、懐かしかったからです。正式名称は上のようになりますが、長すぎるので当時国内向けの名称はバンタムスピードマスターとなっておりました。

 購入時2回使っただけで仕舞ってあったそうで、中身は新品同様でした。中身が温存されていたのは分解されなかったためで、やはり中古リールで一番の不具合原因は分解です。

 2回使用なのにサムレストのプリントがちょっと取れかけているあたり、この時代のリールです。ショーケースに置いておいてお客さんが触るだけでものっぺらぼうになっていきました。でもそうした部分はアメリカではまず問題にならず、半面機能的な故障は命取りだといわれていました。

 ロッドに付けてハンドルを回してみたらボディがガタガタしました。このリールはフレームとフットがリベットカシメで、ここにガタがありました。マグナムライトより前のモデルはこの部分が溶接でしたが、マグナムライトは軽量化のためにアルミだからです。アルミはカシメ部分に海水が付くと応力腐食割れのような現象を起こすためあまり強くカシメられず、こういうことが起きやすくなります。

 当時開発のS口氏(私が退社するとき「お前を見とると男は顔だけではもてんということがわかって俺はものすごく救われたんや」とうるうるした人)と品管のN野氏(私が中学生のころ営業所にいてMLのベールスプリングを持って釣具店を回っていた人で今はデュエルにいるらしい)が、リベットの数を増した試作品の耐久テストをしていたものであります。お、いま思い出したぞ。一緒にやっていたのはS口氏ではなくてM本氏だったような気がする(読んでる人からしたら限りなくどうでもいいことか)。

 この足の型からも写真のリールは初期モデルのようで、マグネットブレーキもブレーキローター付きのものでした。ブレーキローターといっても今のダイワの出たり入ったりするやつじゃなくて単純なローターなのですが、このローター自体がダイワの特許だったのです。マグネットブレーキのコンセプト自体はリールを作っていないどこかの会社が押さえていて、それは切れていたのですが、それぞれの釣り具メーカーはこういう枝葉の部分で自社の特許にしてしまうのです。

 それで、途中から設計変更して、スプールの側面に直接磁石を接近させる方式になりました。しかし、その方が加速感がよくなってかえって性能が上がったのが皮肉なところです。

 さてさて、買ったはいいけど、なにに使うかね。

 2016年5月13日、揖斐川のサツキマス、4年ぶりです。わたくし的にはサツキマスは『川マス』のとおり終わった魚だなんだと言っているくせに行ってしまいました。なんたって家から15分やし。でも、同じ距離に長良川があっても行かないでしょうね。 (2016/5/15)

 この日は右上のWanted!のダイワPT33SHをお借りして撮影しました。なんたって貴重なものなので、速やかに返却するため、その日のうちにクロネコヤマトの営業所に持ち込むことにしました。

 で、クロネコヤマトは揖斐川の平野荘橋の手前にあるので、ついでに釣りに行くことにしました。一応平日の昼間は仕事の時間にしていますが、G誌の連載にステラSSの魚写真も欲しいし、これは業務じゃということにして3時過ぎから出かけました。

 最初に入った所で、ダムサイド10gを下流に流してゆっくり巻いていたらなんとなんとヒットです。しかし、バーブレスフックのバレを心配してつい強引に寄せてしまい、途中でバレてしまいました。考えてみれば、たとえバーブレスでもスイミングフックならフックが抜けることはあまりないはずなので、身切れを防ぐためむしろゆっくり寄せるべきでした。

 で、がっくりして帰ろうと思ったのですが、業務なので(?)もう一か所行ってみることにしました。いつも混み混みの所ですが、さすがは平日誰もいません。はたして最下流部で同じようにダムサイドを流すとまたまたヒット。今度は慎重に寄せてネットインしたのが写真の魚でした。いかに平日とはいえ朝一でもないのに2ヒットとは奇跡です。

 釣行のきっかけ(こじつけ?)になったWanted!は、あとセラテックレグノセンサーのみとなりました。地球丸のほうで当時誌面に使った写真を出してもらえることになりましたが、できれば自分で撮りたいのでもしお持ちの方がおられましたら、引き続きご連絡お願いいたします。

 突然思い立って行ったと書くと、入漁証なしで行ったんじゃないかと思われるかもしれませんが、今年は年券を買っとります。西濃水産の年券は日釣りの(たしか)10回分で、サツキシーズンだけでそんなに行かないのでここ何年か買っていませんでした。でも、日釣り券を前日に買うのはむちゃ面倒で、せっかく近いのに釣りに行かない理由になっていました。10回は行かんやろなあと思いますが、こういう釣行ができるのでまあいいかなと。

 忠さんのスプーンのアートフィッシングが作ったDVDです。これに付けるナレーションを3000文字くらい書いたのですが、なんと結局使いませんでした。でも、ギャラはもらったから全然文句はないぞ。 (2016/5/8)

 もともとは忠さんからスプーンの生産を受け継いでうんぬんみたいなアートフィッシングの紹介ビデオのはずだったのですが、ナレーション原稿を送ったあと、なにがどうなったのかイメージビデオ調のものが上がってきました。

 内容は、アラスカ釣行の映像にBGMを組み合わせたものです。小田さんからは事前に書いた3000文字とは別に映像に入れる川の説明の文章を書いてと言われたのですが、見てみたらこれはこれで完成しているんじゃないかと思ったので、これで行きましょうってことにしました。

 このビデオの画期的なところは、アートフィッシングやバイト、スプーンの釣りに関する説明が一切ないことです。

 世の中の釣りビデオは(ってほとんど見たことないけど)たいていメーカー専属の釣り人による釣り具の宣伝になっとるもんですが、このビデオはPR臭皆無です。小田さんや北海道の春日さんら釣り人がルアーを投げて魚を釣る姿とアラスカの風景とBGMだけで構成されています。バイトのバの字も出てきませんし、スプーンも冒頭の水中映像とエンドロールで石の上に3個くらい並べたのがちょっと映るくらいです。

 言っちまやあテレビの釣り番組から雑誌の記事まで程度の差こそあれすべてが宣伝になった『CM化するニッポン』(という本が昔ありました)において、メーカーの作ったビデオが純粋なイメージビデオとは、あらためて考えるとすごいことです。

 上のような空撮映像(いまはドローンでやれちゃうんだね)もあって、なかなかカッコいいものになっています。ナレーションがなくBGMだけなので、釣具店でエンドレスに流すのにもいいと思います。釣りに行けないとき、難しいことを考えずに見るのもいいビデオです。

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