Back number 82

 2017年2月3日、大阪フィッシングショーに行ってきました。由々しきことに、パンフのお姉ちゃんのリールのレッグが人さし指と中指の間にあります。釣り文化を担うフィッシングショーがこれでいいのでありませうか。しかし、よく見るとリールのローターが逆回転です。これはきっと80年代のアブ・ガルシアのリールに違いありません。握り間違いで油断させておいて実はオタクなイラストレーターなのかもしれません。なあほな。 (2017/2/6)

 そんなヘンタイな話はともかく、いろいろ出ていました。シマノはアルテグラ〜セドナの4モデルがすべてアルミ鍛造ドライブギアになりました。アルテグラはストラディックと同じアルミ一体ギアでネジ込みハンドル、ナスキー以下はアルミギアに亜鉛ダイキャストの軸を組み立てて共回りハンドルになっています。

 特にアルテグラは、前のモデルのように亜鉛ギアでいいからマグナムライトローター付きのほうがよかったなというか、そういうパターンだったら買おかしらんくらいに思っていたのでちと残念。でもまあ、いまのマグナムライトローターはチタンベールだからコスト的に無理か。それ以前にナスキーがアルミギアでアルテグラが亜鉛というわけにもいかんわね。

 買ってかれこれ8〜9年になるストラディックCI4にしてもほぼ渓流使用とはいえほとんどグリスが汚れていないくらいなので、アルミギアのほうが耐久性が高いのは確かでしょうけど、ナスキー〜セドナまでとは思い切ったことをしたものです。

 ナスキー〜セドナは共回りハンドルですが、いまのシマノの共回りは軽い締め付けで完全に固定できてぜんぜん緩まないので、ネジ込みでなくても不満はありません。となると、これを使って本当の意味での実用的なリールを妄想したくなります(昔原さんと現代版308を考えてみようとか話したことがありました)。

 いちばん安いセドナクラスをタックルの扱いに慣れていない初心者向けと考えたら、トラブルなく投げて巻けるようにしてあげるのがいいわけで、ギアは普通の亜鉛一体でいいから、絡みにくいベール(今回アルテグラも非搭載)とローターブレーキ(搭載はサハラまで)付きのほうがいいような。でもって、そのリールで釣りを始めて1〜2シーズン使ったからってゴロつくとも思えないし、仮にゴロついたって文句言う人はいないんじゃないかしら。でも、やっぱHGNバッジ付けたほうが売れるんだろうしこれでいいのでしょう。

 あと、エクスセンススピニングは、ラインローラーをあえて「分解可能」としているのが面白かったです。本体もワンウェイクラッチのカバーを外さなければ、サイドカバーの分解まではやっても問題はないそうです。

 分解できるできないといえば、15ルビアスのスプール受けに完全に分解できないように止めナットが付いているのについ最近気がつきました。ローター外しちゃってマグオイルが出ちゃうのを防ぐためかしらん。うっかり外した人が修理に出して料金にクレームつけたりしたのかな。

 ダイワはセオリーでしょう。かつての07ルビアスはなんとかかんとかイグジストよりは重くしてありましたが、セオリーはあっさり現行イグジストより軽くなっています。容赦ないです。

 カルディアの置き換えみたいですが、価格が高いぶんドライブギアが亜鉛からアルミになってローターも現行イグジストと同じで高級化しています。あと、デザインはその人の好みですが、カルディアよりカッコよくなったでしょう。ボディ、ローターとともにハンドルが細くなって全体にスマートで、2500番とかを回すとでかいスプールだけが宙に浮いているような眺めでした。

 あと、フリームスの下にあったエクセラーがマグシールドとATDで事実上フリームスと同じリールに。シマノはストラディックの無印とCI4+が並立している感じだしウォームシャフトの有無でアルテグラ/ナスキーの間が分かれていますが、ダイワはセルテートを除くと中級以上は基本カーボンだし平行巻きもS字カムに統一してるぶん差別化がしにくそう。

 次の塩水誌の記事とかぶるので簡単に書くつもりでしたが、やっぱ長くなってしまいました。やっぱヘンタイやわ。

 2016年11月5日、尾鷲のカマスです。またまた去年の魚なのはメバルをからかいに行って2週連続で返り討ちにあったからです。冬の日本海は荒れてるかその後遺症で濁ってるかでなかなか。腕の問題のような気もするが。 (2017/1/30)

 メッキを釣るつもりで行ってとりあえず1匹釣れたもののあとが続かず、憂さ晴らしにジグを投げていたら夕暮れ時にこの魚がヒットしたのでした。メバルやらカサゴはネットで受けて写真撮って逃がしてきますが、このくらいになるとネットに入った時点でウロコが取れて、撮影時にネットから飛び出して傷だらけになってしまいます。で、結局、持って帰って食べてしまいました。海は魚をきれいに撮れんのがなんやなあ。シーバスあんまり行かないのは釣れないのもあるけど、あれこそ釣れてしまったらあと困るやんかというのもあったりして。

 この魚といいメッキといいいろいろ釣れそうな三重方面ですが、なんとなく足が向かないのは昔から遠いっていうイメージがあるんですね。子供のころよく親父に水族館に連れていってもらいましたが、当時でも名神を飛ばして行ける須磨の水族館よりも下道のろのろの鳥羽の水族館のほうが遠かったですもん。鳥羽は子供のころ親せきの家と一緒に旅行に行ったこともありましたが、あのときも車酔いでゲーゲー吐いた記憶しかありません。

 距離的には日本海側より霞埠頭やら桑名あたりのほうが近いんですけど、あの辺は伊勢湾の奥すぎて汚いし、道が混むから日本海側へ行くのと時間的に変わらないし、工業地帯だから釣りに行ってきた気がしないのとで、敦賀や美浜のへんに行っちゃいます。

 鬼門三重県の極めつけは国立M重大学を滑ったことでしょうか。M重大学も交通が不便で同じ高校の学生とふたり前日から近鉄養老線でコトコト行ったもんです。で、大学があっせんした(んだったと思う)旅館にほかの地域から来た受験生連中と5人くらいの相部屋で泊まって、あくる日受験するわけです。

 ところがあの日、同室になった男が「ビデオを見よう」と言い出したんですね。部屋にあるテレビに100円入れると見れるやつですわ。

 で、放映されていたのが、タイトルに反して満員電車のシーンから始まる「愛欲の波止場」と、縄で縛られている女性が一瞬写っていきなり画面に「終」の文字が出て終わりというシュールな「変態縄縛り」、それと内容もタイトルも忘れた同種のビデオを合わせた3本でした。

 そんなものを見ていたおかげでいっしょに行った同じ高校の学生ともども、M重大学を落ちてしまったのでありました。つくづく三重県とは恐ろしいところです。

 これはですね、フェンウィック・ワールドクラス83MLとFS64を竿袋に入れたところです。こやつらはなぜか1番が2番よりわずかに長くて袋に入れて持ち運ぶとき危なっかしいので、バットエンドを延長するキャップを竿袋に付けています。 (2017/1/23)

 これらを含めてなぜかフェンウィックはトップガイドの傾斜分くらい1番のほうが長いものが多いです。フツー考えたら1番を保護するために2番を長く作りそうなのにようわからんところです。

 あちらのサイトのラインナップを見てもワンピースばっかりですから、2ピースはテキトーなのかも。あちらは子どもたちが連れ立って釣りに行くとかってないのかしらん。クルマにしたってワンピースは困るじゃろに。いやそれは私みたいに小さいクルマの人の話であちらはでかいクルマばっかだからいいのか。

 で、くっつけているのはフィルムケース(考えてみればこれももう手に入らんよなあ)で、中に1cmくらいの厚さの発泡スチロールの板を切ったものが押し込んであります。接続はフィルムケースの底に1mmドリルとピンバイスで穴をあけてフライ用バッキングラインの30lbを通してコブを作っています。

 ところで、こうしてロッドを袋に入れるとき、大昔は日本の竿のように1番も2番も正立つまり袋の口側に1番のトップガイドと2番のジョイントがくるようにしていました。これがいつのころからか袋の口側に1番のトップガイドと2番の竿尻がくるように入れるようになりました。たぶんフライロッドからきているんじゃないかと思いますが、フェンウィックはたいていこの入れ方で、写真もそうです。

 そして最近のロッドは袋の口側に1番のジョイントと2番の竿尻とか、逆に1番のトップガイドと2番のジョイントがくるように入れているのが多くなった気がします。

 なんでやろと思っていたのですが、セパレートグリップが増えたからではないかと最近気づきました。写真みたいな互い違いの入れ方をしてグリップのあたりをぎゅっと握ったら、穂先が危険だからということじゃないでしょうか。ちがうかな?

 2016年11月20日敦賀のカサゴです。なんで去年の魚だって、車雪で埋まっとるがな。にしても、リールを手前にして撮ると小さい魚がよけいに小さく写っていけませんなあ。 (2017/1/16)

 この日は「弁当忘れても傘忘れるな」の冬の日本海側らしく突然激しいにわか雨に降られました。で、カッパを着て釣っていたところ、ハンドルノブがゴロゴロしはじめました。その後雨はすぐにやみ、しばらくするとノブの回転は元に戻りました。

 07アルテグラアドバンスのノブは外側にベアリング、クランク側は樹脂(ジュラコン?)のハンドルコアを真鍮の固定軸で受ける構造です。どうも大粒の雨がノブのクランク側から浸み込んで軸受け部の油を薄めたらしいです。

 このときのゴロゴロざらざらした感触にはデジャブがありました。記憶をたどると2〜3年前の雨の日、川でシメトレ1000FLを使っていてイワナを取り込んだときにロッドエンドを下にリールを一瞬川の中に落としてしまったことがありました。一瞬なのでボディ内部まで水は入っていなかろうと、そのまま釣っていたところ、徐々に回転に引っかかりが出てきて、ムリに回すとゴロゴロざらざらしたとても嫌な感触が手元に伝わるようになりました。

 巻いていて気持ち悪かったので、釣りをやめてリールを車のカップホルダーに入れて帰りました。で、途中の信号待ちでハンドルを回してみたら、回転は元に戻っていました。

 あのときは、ワンウェイクラッチあたりではないかと思っていたのですが、あのざらざら感はアルテグラアドバンスのノブから伝わってきた感触とそっくりでした。それに、あらためて考えるとエアローターでもあるまいに(おい)、竿尻を下にして一瞬水没させたくらいなら、ワンウェイクラッチにはまず水は入らないはずです。となると、メインシャフトとピニオンギア内面の摺動部が一番怪しくなります。川に落としたのに加え、雨だったのでスプールの摺動によって雨のしぶきをスカートの内側に巻き込んでいたとも考えられます。

 アルテグラアドバンスのハンドルノブは表面にオイルが付くと溶けてべたべたするのと軸受け部がジュラコンなら無潤滑でもいいはずなので、あまりオイルを注したことがありませんでした。シメトレのスプール軸もそんなにグリスがべったりではなかった記憶があります。ここに水が入ることで摩擦部分の油が潤滑性を低下させ、ゴロゴロざらざらした感触になったのではないかと考えられます。

 昔リールの耐久試験で濃縮海水に水没させたリールを乾燥させずに回転耐久テストにかけたことがありますが、特に異常な摩耗や焼き付きなく規定回数耐えてしまったものです。あれは、連続回転だからかえって摩擦部分に油脂が巻き込まれてもっちゃったのかな。それともあのときのLT-FGのほうが水に強かったのかしらん。

 いずれにせよ、ハンドルノブとかメインシャフト摺動部はオイルのほうが回転は軽くなりますが、しっかりグリスを塗っておくのが安心みたいです。

 2017年1月7日美浜のカサゴです。そういえば今年の初魚。赤っぽい魚だから一応縁起がいいのかしらん。去年の11月にカサゴが2匹続けて釣れたのと同じ場所だったので、もしや同じ魚かと思いましたが、写真で確認したら模様が違いました。当たり前か。 (2017/1/7)

 リールはBB-XリンカイSP。夜になると巻き上げたルアーが見えなくて、よくトップガイドまで巻いてしまうため、LBならすぐラインを出せて楽じゃなかろうかと思って持ち出しました。

 もともと同じような理由で渓流用に買ったのですが、レバーの本体側のツノがじゃまでうまく投げられませんでした。ストレートタイプにしてみたものの今度は指の掛かる部分が高くて同じことでした。

 で、元のレバーから下側のツノを削り落としたのが写真の状態。これで渓流でも投げられるようになりましたが、それでも心理的に何かが人さし指のあたりにあるのが影響するのかミスキャストしがちです。

 でも、基本ダブルハンドキャストの海ならよかろうと使ってみたところ、まあ問題ありませんでした。

 で、肝心のLBの効果はというと、微妙なところ。巻きすぎたときにラインを出せるのは出せるのですが、ことライトゲームだとルアーがとても軽いのと、特にこの日はPEを巻いていったためノットがガイドに引っ掛かり、ハンドルを逆転させてもラインが出ずに手元のラインがトラブってしまうことがあります。ライトゲームはドラグがゆるゆるなので、普通のリールでラインを手で引っ張り出した方がいいかも。

 あとメリットと言えばネットに魚を入れたあと、ラインをすぐに緩められることくらいでしょうか。だから、ライトゲーム系にはあまりメリットないかも。もっとも、流れのある所でフロートやルアーを流すとか、私のやったことのない釣り方なら活用の可能性はあるかもしれません。

 それでも、ダブルハンドならほぼ問題なく投げられるのがわかったので使い道はありそう。買っちゃってから使い道を考えるって本末転倒なような気もしますが。

 みなさん明けましておめでとうございます。写真は昨年5月13日4年ぶりに釣れたサツキマス。こういう魚が釣れると年賀状が楽です。 (2017/1/2)

 なかなかすごいのがヒットルアーで、現在主流のミノープラグではなくダムサイド10gでした。もっとも、ミノープラグはほとんど使いませんけどね。シングルにしちゃうんで渓流も含めてバレまくるし、かといって三本イカリ2個もぶら下げたルアーで釣りたくないし。もっとも、このルアーに付けたチヌバリ7号も相当凶悪なサイズなのでなんともですが。

 写真はアイがねじれていますが、泳ぐときハリ先が下を向くようにセットしています。昔常見忠さんの本にシングルフックは下向きにつけると泳ぎとフッキングがいいと書いてあって、一時期忠さんのスプーン完成品もフック下向きで売っていました。

 このルアーもけっこう影響が大きくて、上向きにすると止水で使ってもかなりの割合でバランスを崩して反転するような動きが入ります。下向きにすると規則正しいウォブリングの割合が増します。

 バランスを崩すのは誘いになるのでそれはそれでいいのですが、流水中ではどんなに安定して泳ぐスプーンでもバランスを崩すので、下向きにして使いました。こうすると、適度に反転するような動きをまじえて泳いできます。下向きは下アゴにかかる確率が上がって致命傷を与えにくいとも考えています。

 ダムサイドはトリプルフック時代からなにかぎくしゃくしたウォブリングで、ときどき勝手にバランスを崩す泳ぎでした。人間の目から見るとあまり泳ぎが上手には見えないのですが、なぜか釣れます。この魚を釣った日もう1匹バラしているし、別の日にも足下まで追ってきて触っていった魚がいました。何年か前某川でサクラマスが釣れてしまった(当然リリース)こともありました。目で見た泳ぎでルアーの良しあしはわからんもんです。

 2016年11月13日美浜のカサゴです。日にちが戻ってますが、メバル7cmくらいのしか釣れないんだもん。メバル・カサゴというとずんぐりした感じですが、あらためて見るとなんかかっこいいですね。 (2016/12/24)

 ロッドのレガシーブルーラインはかなり硬めのためこういった小さい魚を釣っても面白くないのではないかというと、そうでもありません。このくらいの魚だと穂先しか曲がらないため、てこの原理で魚の力が増幅される感じで、けっこう手ごたえがいいものです。

 軟らかいものは軟らかいもので大きく曲がって楽しいし、硬いものは硬いものでそれなりの良さがあって、ロッドなんざ使うルアーが飛ばないとかアワセが効かんとかよほどのことがない限り好みでいいんじゃないでしょうか。良い所を見つけて使えばいいんです。

 あらためて思うのは、ルアーロッドは調子がいろいろあって面白いということです。今ちょうどタイラバロッドの仕事をやっていて、借りたロッドのベンドカーブを撮っています。すると、ロッドごとにカーブがかなり違います。

 まえ磯竿の記事でよくベンドカーブを撮っていましたが、あれは号数が同じならほぼすべて同じカーブを描くと言ってもいいくらいでした。メーカーはここが違うんだとか言いますが、ルアーロッドに比べたらホント全部いっしょといっていいくらいでした。

 もう15年以上前ですが、がまかつVSダイコーのイシダイ竿対決みたいな企画があって、それぞれのベンドカーブを撮影し、見開きの左右に両ロッドのベンドカーブを大きく載せたことがありました。ところが掲載誌を見たら、こともあろうにデザインの過程で左右の写真が入れ替わってしまっておりました。

 しかし、メーカー担当者を含めて誰も気がついていませんでした。激しくずっこけたものです。

 2016年12月10日天竜川のニジマスです。フェルトワッシャーに改造した308Aプラナマティック(ただしスプールまわりは壊れた中国製308からの部品取り)のドラグがモノを言いました。いつもドラグセットはスプールを指でねじってこんなもんかなで済ませています。帰宅後、どのくらいのセットだったのだろうと計ってみたら280gでした。1号で6lb表示のラインをIGFA表示だし使い古しなので4lbとみて2kg強度の1/5〜1/3の400〜700gとしても、かなり弱めのセッティング。でも、フックはフトコロが開いてネットインと同時にルアーが外れ、ルアー直近10cmのラインは根ズレでザラザラだったので、これでよかったのでしょう。 (2016/12/19)

 上の280gはリールから直接ラインを引っ張った値なので、ロッドを通すともっと上かもわかりません。

 2〜3号前の『フライの雑誌』によると、芦ノ湖に放流されたこういう大型ニジマスがなにを食っているかを調べたら石ころとかばかり出てきて、ほとんどまともなものは食っていなかったそうです。養殖個体でなにを食っていいかもわからんのでしょう。こういう話を読むと釣りってなあつくづく罪深いものよのおと思いますね。

 そんなわけで、オフシーズンくらい無理に釣りなどせずに読書などどうでしょう。と、めちゃくちゃ無理やりな方向転換なんですけど、昨年発売して実に『火花』の10万分の1しか売れなかったという『ユキ』になんと感想を書いていただいておりました(勝手にリンク張ったけど基本インターネットは世界に公開されているものだからいいよね)。

 ブログ主はKDPで小説を出している新聞記者の人です。文章のプロがほめるんやから大したもんです。誰もほめてくれないから自分でこういうのを探してくるのは、没落しつつあるわが国で自画自賛番組が流行ってるのと同じか。

 それにしても、13冊出した電子書籍のうち一番売れなかったのが『ユキ』です。690円もする『TACKLE STUDY』が数百(ただしこの「数」はかなり小さい数字)出とるんやし釣りをしない人でも読めるように書いてあるんだからいったいどれだけ売れるんだろうと出したら大ゴケです。

 まあしかし、あらためて考えてみたら、売れんわな。だって、例えばゴルフ小説とかあったとして、私読みませんもんね。だから、釣りをしない人は釣りがテーマ(そうじゃないんだけど)というだけで、買わないでしょう。

 じゃあ、釣りをする人はどうかっていうと、釣り人が『釣りバカ日誌』とか見ないんじゃない? 私もたまにテレビでやってるとチャンネル(昭和!)を合わせることがありますが、最後まで見た記憶がありません。『釣り刑事』とかになると見ようと思ったことすらありません。自分の趣味を中途半端に取り上げてほしくないって思うもんね。

 それに、小説それも電子書籍の自己出版は完全なデフレ、供給過剰なんですね。いまから20年くらい前でも『小説現代』とかの小説雑誌を買う人は、小説を読むために買う人よりもその雑誌の新人賞に応募するために買う人のほうが多いと言われていました。そこにKDPとかの自己出版サービスが出てきたらどうなるかってことですわね。

 たとえばバス釣りに悩む少年とか書きたいテーマはいろいろあって、『ユキ』のスピンオフなんてのも考えていました。しかしまあ、本体がほとんど出てないのに、スピンオフもないよね。書くかもしれんけど。

 なに? 経験を生かした釣りの業界もの? バブルで間違って分不相応な会社に入っちまったダメ社員の話なぞ、誰が読むんじゃ。

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