Penn716Z
G洋社のFクダさんにいただいてしまった、ペン716Zです。

716Z
 ペンリールはアメリカの伝統的なリールメーカーです。特に大型両軸が有名で、海水使用時の耐久性に定評があります。あちらでは、大型海用リールをメーカーに関係なく「ペンリール」ということもあるそうです。スピニングリールのスピンフィッシャーもソルトウォータースピニングの定番です。

 716Zはウルトラライトのインスプールモデルです。スプール径40mmはミッチェル308クラス。自重は約240g(実測値)、ギア比5.1くらいです。

メイドインUSAです。

インスプール
 クラシックなインスプールです。ベール返しレバーをベールアームの反対に配置し、バランスウエイトなしで回転バランスをとっています。バランスもまあまあ取れています。

 ローター内壁はカーディナル33などのように切削してストレートにしてあるようです。

ドラグ
 テフロンの特大ワッシャーが使用してあります。スプリング形式は、ミッチェル300シリーズ同様のもの。

金属インサート
 スプールの穴には真鍮のスリーブ、ドラグナットのネジ部は鉄系のネジがインサートされています。

ベール返しの当たり
 ベアリング押さえ板の上に顔を出しているのは、ベール返しの当たり。厚いステンレス版をプレスして作ったものを入れています。

ウォームギア(スクリューギア)
 ウォームギアです。S社在職中、このリールを含めて(当時同社の規格になかった)高負荷巻上マシンテストをしたことがあります。このリールは当時のアブC3(アウトスプール)より弱かったです(より多くのゴロが出ました)。意外に思われるかもしれませんが、スピンフィッシャーは大型モデルも、比較的早くギアがかじったり焼きついたりしました。

 でも、アメリカの販社からの情報では、ペンはかなり高い評価を得ているということでした。どうやら、ソルトウォーターのリールにおいては、単純な機械的強度より、耐海水性がより重要のようです。

 もっとも、そのときの条件が現実ばなれしていた可能性も高いです。いまそのテストをやっているかどうかはわかりません。退社直前に自らの好奇心を満たすためにやったようなものでしたし(どんな社員やったんや)。

ハンドルノブ
 バリとかそっけないデザインがアメリカンなハンドルノブ。でも、上下にフラットな面があるために、指先でつまんでもT形状を利用してしっかり握っても、具合のいいノブです。なんとなくエルゴノミックっぽい形なのに、実際はいまいちの日本某社のノブよりはよさそう。

ステンレスメインシャフト
 このへんもソルトのペンか。小型スピニングに珍しい、ステンレスシャフトです。

 ただし、ワンタッチスプールのための板バネは少し頼りない。以前このバネが折れたのも見たことがあります。ミッチェルが樹脂でスプール受けに入る部分を太くしているのは、板バネの動きしろを大きくしてより厚い板バネを使い、信頼性を増す意味もあったのです。

ストッパー
 ストッパーは旧式で、メインギアの軸に付きます。カリカリと音のするタイプ。その代わり、シンプルで、リールそのものは軽量になっています。

 シンプルでうまくまとまったリールです。ミッチェル、カーディナル、アルチェードミクロンなどの欧州インスプールに比べると、カラーリングがいかにもどぎつく、日本の渓流にはいまいちマッチしない印象ですが、アメリカ人がアメリカでニジマスを釣っている図を頭に描くと、それほど違和感ないように思えてくるのが不思議です。

 ローター設計もうまいし、ドラグも凝っています。スプールやドラグノブの金属インサート、ベイル返しの当たりすらステンレスで強化した設計、ステンレスメインシャフトなど、ヘビーデューティーなイメージのペンらしいところ。ギアの強度も、ウォームギアは「ごり巻き」できるギアではありませんから、上に書いた“テスト”結果も、無視してもらっていいでしょう。

 でも、やっぱり素直にええなあと言いたくないのは、最近の彼の国の振る舞いのせいでしょうか。もっとも、そんなことを言い出したら、フランスだって以前南の島で核実験をやって国際的に非難を浴びたわけですし、アメリカに尻尾を振ってついていくだけのアジア某国はどうなんだということになっちゃいます。ま、リールに罪はない、ということにしましょうか。

(2005/3/7)

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