アルセード・ミクロンその2
 けっこう凝ってるこのリール。さらに詳しく。

復活しました
 前回、ベアリングの玉がないことが発覚、いじる気も失せかけましたが、読者の方のご好意でベアリングの玉をいただき、めでたく復活しました。

ダブルスラストベアリング
 そのベアリングです。ピニオンギア(ウォーム)の前2ヵ所で受けています。玉の直径は1.6mm、数は17個。奇しくもミッチェル308/408と同じです。
 カーディナルやプロライン、スピンフィッシャーなどは前のベアリング1個と、ギア後のブッシュで受けていますが、このリールは前だけです。そのためではないかもしれませんが、個性的なボディーラインには貢献しているようです。

ドラグ
 前回、スプール受けワッシャーが欠品していると思った部分です。金属ワッシャーの下にフェルトワッシャーがありました。

 ただ、これではスプールと金属ワッシャーの間で摺動が起きるわけで・・・。

ロウ付けベール
 ミッチェルもそうですが、この時代のは凝っています。ラインローラーサポートとベールワイヤーがロウ付けになっています。職人さんが作っていたのでしょうか。

ベール支点
 一見安っぽいベール支点。でも、いまのリールのように、こちらに機能がなくてもデザインのためにレバー状のバランサーをつけると、ベールが閉じる衝撃を増し、場合によってはベールワイヤー破損の原因になります。

 そう考えると、合理的な止め方ということができます。

ベールスプリングの穴
 スプリングのLポイントの入る穴が2個あります。ベールの閉じる強さを変えることができます。

 よく見ると、プレス製のくせにかっこいい形。

ベールアームストッパー
 上の写真にも見えているベールアームのストッパーです。元々ついていたゴムのクッションは硬化して割れてしまっていたので、ビニール線の皮膜に爪楊枝を刺したものを入れています。

 これ自体ネジで取り外しできるようになっていて、古くなったクッションを押し出すために穴が貫通しています。2mm(胴部)ほどの部品なのに、凝っています。

ベールトリップ
 ベールを返す突起が2ヵ所あります。凝っていますが、ラインを拾うところでベールが止まらないことがあることを考えると、いまいち企画倒れの感も・・・。

クランク
 これも凝っている部分。スプールを往復させるクランク。プレスの板と切削した筒状部分をロウ付けしてメッキ仕上げしています。
 ユニークなボディーラインに貢献しているとはいえるのかな。

ハンドルノブ
 古い割にガタがないなと思ったら、ノブの中に真鍮のブッシュがインサートされていました。支持軸もすりこぎ運動を起こして磨耗が進まないように、中央部を逃がしています。ここも凝ってます。

折りたたみベール
 ベールとハンドルが折りたためます。

 やっぱり、なかなか凝ったおもしろいリールです。いかにも職人さんがこつこつ作ったという雰囲気です(ホントのところはどうか知りませんよ)。

 よく見ると、イタリアらしいデザインのリールなのかなと思えてきました。たとえばプレス板のベールアーム。昔の日本製品にもよくありましたが、それらに比べたら、ずっと垢抜けたデザインです。

 特徴的なボディーラインも、好き嫌いは分かれそうですが、たとえば同じウォーム&インスプールの大森プロラインあたりと比べると、やっぱりしゃれています(比べるほうが野暮か・・・)。

 小規模でもいいから、こういうリールを作る会社が残っていたら、釣り具の世界ももっとおもしろかったろうにと思います。(2005/4/12)

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