アルセード・ミクロン
昔の雑誌や本を見ると、たまーにミッチェルやカーディナルに混じって出てくる、アルセド(アルチェード? アルセード?)・ミクロン。ヤフーオークションで買いました(しかし…)。
アルセド・ミクロン 小さなイタリアンスピニング、アルセド・ミクロンです。興味があったので、1年くらい前にヤフーオークションで買いました。 スプール径40mmですから、ミッチェル308/408と同クラスです。自重は実測198gでした。ギア比は5.1対1くらい(歯数を数えるがのめんどくさかったので目測です)。 メイドインイタリーです。 |
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??????? とまあ、スペックを見るとミッチェル308/408より軽いし、ギア比も高い。スプール径もあるので巻き取り速度も十分でしょう。 ところが、こ、このラインローラーは? 透明な樹脂製です。これって、純正なのでしょうか? これが純正としても(わざわざこんなものを作る人もいないでしょう)、ベールアームがレバーにあたる部分の樹脂が取れてしまっていました(上の写真で爪楊枝のかけらが挟んであるのが見える)。個人売買の落とし穴・・・。 2万円もしたのに・・・というショックで、このページはなかなか作る気にならなかったのです。とほほのほ。 【追記その1】このラインローラー、ウレタン樹脂か何かかと思っていましたが、カッターの刃を当ててみたところ、刃が立ちませんでした。ガラスかセラミックのような硬質のものです。失礼しました。(2004/8/4追記) |
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ドラグ そんなわけで一回も使ってません。ラインも巻いてません。だから、手でスプールをねじっただけですが、ドラグ性能はまあまあみたい。 ただし、ドラグワッシャははめ殺しのよう。ほかにも、メインギアが分解不能のようです(違ってたらゴメン)。イタリアンはこういうのが好きなのか。 |
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ワイドオープンベール 面白いのはベールまわり。180度近く開きます。ベールがどこにあってもラインコントロールのじゃまになりません(でも、バネもたんやろな)。 ただ、当時は308/408、33などもこのくらい開きましたから、当時の流行だったのかもしれませんが。 ベールトリップがローター1回転で2ヶ所あるのもユニークです。 |
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ローター ローターはカーディナル33/44のように、内面を切削加工しています。ダイキャスト時の抜きテーパーをストレートにすることにより、スプール後部とのすき間をできるだけ小さくしようというものです。 ミッチェルほどバランサー(たぶん裏)が大きくないのが軽さの理由のようです。 ただし、ローターナットも普通の工具は入りません。ホント、はめ殺しがお好きなメーカーのようです。 あれ、スプール下のワッシャも欠品か? 【追記その2】すみませんその2。写真ではスプール受けの歯付ワッシャだけに見えますが、歯付ワッシャの上にフェルトワッシャ、その上に金属ワッシャが乗ってました。これ、ベールなんかも結構こってますわ。近日中にレストアして、パート2のページを作ろうと思います。(2004/8/4追記) |
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ウォームギア ウォームギア(スクリューギア)です。メインギアは穴をあけて軽量化。裏も肉が抜いてあって、なかなか凝っています。ピニオンはおそらく前2ヶ所で受けているのでしょう(ばらせないから不明)。後ろにボスや軸受けはありません。 |
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ハンドル 大きなノブのハンドルです。裏に軸が出ない設計はイタリアンデザインのこだわりか? |
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ストッパー ストッパーもユニーク。ボタンが出た状態がオン。押し込むとオフになります。ストッパーをかけてフッキングし、魚の引きに応じて、オフにしようという考え方でしょうか。ミッチェルの逆です。 |
なかなか個性的なリールです。
上にも書きましたが、興味深いのはベールまわりです。ラインコントロールを確実にするため、カーディナル33/44はローターブレーキをつけました。ミッチェルはストッパーをオフで使うよう取説に書きました。そしてこのリールは、ベール開放角を大きく取ってベールがどこにあってもじゃまにならないようにしました。三者三様、欧州リールは面白い。
余談ですが、私がS社にいたころ、みんな想像以上にD社製品ばかりをマークしていました。たぶん当時もいまも各メーカーはいま売れているライバルメーカーの製品を研究しているはずです。だから、98年にシマノ(とマミヤ)がローターブレーキを出した後も、ダイワやリョービは同じ方向へ走りました。
でも、たとえばアルセド・ミクロンのベールまわりなどを見ていたメーカーがあったら、別の流れができていたかもしれません。
形といい、程よいサイズと軽さといい、これが性能のいい新品で買えたらなあと思います。けっこう面白いから、どこか復刻してみては? もちろんはめ殺し設計とかは直してですよ。絶対元は取れないと思いますけどね。 (2004/8/3)
玉がない!
上に「レストアしてパート2のページを云々」とありますが、やらないかもしれません。あらためて分解したところ、ミッチェル式ダブルスラストベアリングの前の列の玉が数個欠品していたからです。前のオーナーか中古業者が、なくしてそのまま組んだようです。それも、一般ユーザーが見ることのない前の列から抜くあたり、故意ではないかとも思えます。
ベアリングの玉(1.6mm)を取り寄せれば復活は可能ですが、思案中です。ネットオークションの落とし穴です・・・。(2005/3/16)
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