スポーティーライン・スピニング
モダンデザインのスピニングです。

1 カーディナル700シリーズ
 80年代はじめに登場した、最初の日本製カーディナルです。トリガーなしが750シリーズ、トリガーつきが760シリーズで、末尾の数字がサイズを表しました。じつはこれ、アブに合併される前のガルシアが、長野の松尾工業に作らせたリールで、純粋なアブリールではありませんでした。さすがアブと言えるのは、合併後「ABU」の名前を入れるにあたり、マスターギア両軸を支持する部分に真鍮ブッシュを追加させたことです。ガルシア単独時代はアルミダイキャスト本体の穴で、じか受けしていたのです。こんな設計はアブの名が許さなかったということです。(写真提供kamatsuda氏)

2 カーディナル863
 80年代中ごろのカーディナル800シリーズ。「そういえば、こんな変なリールがあったなあ」という人もいるでしょう。逆回転ローターとか、ダブルリアドラグとか採用していますが、なんといっても特徴的なのはデザイン。当時某釣り雑誌に「ガンダムリール」なんて書かれていたものです。でもこれ、ニューヨークNo1といわれるデザインコンサルタント会社、ヘンリードレイファス社の最新デザインだったのです。当時のポラリスやライトなんかもそう。言われてみるとなんとなくかっこよく見えて……きませんか? おそらく松尾製です。

 逆回転ローターです。トリガー(ファーストキャスト)つきのリールながら、セルフセンタリングが必要ないのが利点です。人差し指を伸ばせば、トリガーとラインが勝手に指にかかってきます。なんとこれ、ルーのページで紹介したスピードスピンとゴールドスピンの設計者、原氏の発案でした。原氏は、無人のプールにアブの技術者を呼び出し、右ハンドルに付け替えたトリガーつきの正回転スピニングを、左投げ右巻きさせました。こうしてアブを納得させた(はめた?)のです。

 ダブルリアドラグです。当時(80年代中ごろ)はけったいなものがはやったのです。シマノのファイティングドラグとか、ファイティングスターに影響されたんですね。アブともあろう者が……。あまり役にはたちそうにありません。

3 カーディナル・ゴールドマックス2
 アブがオリムピックと組んだ90年頃のスピニング第一弾。韓国製ですが、けっこうしっかり作ってあります(こんな書き方をすると韓国の人に叱られそうですが、私が釣り具の仕事をしていた頃の韓国リールは、それはそれは恐ろしい品質でした)。メーカーはちょっとわかりません。写真のリールはスペアの樹脂スプールが付けてありますが本来は金色のアルミスプールです。ロングスプールながら分解しやすかったり、ラインローラーにブッシュが入っていたり、アブらしいリールです。
4 カーディナルSM1052F
 ポルシェのデザイナーがやったとかのリールです。金属ボディブームで、アルミ製になっています。たしかにかっこいいですけど、国産でいえば2000番サイズで350gという自重は、理解不能。ほかにもデザイン優先で分解メンテナンス性が悪かったり、まったくアブらしくないリールです。いまのスベロンにしても、ちょっと路線がおかしいですよ。

AbuGarcia