たかがオイル?

 グリスなどに比べると一見同じように見えるオイル類ですが、実際にはたいへん性能差があるものなのです。

汎用オイル対純正オイル
 ホームセンターなどで買える汎用防錆潤滑剤と、リール用純正オイルの耐水・防錆性の比較テストをしてみました。
 WD40は「航空宇宙工学用にアメリカで開発された」防錆潤滑剤で、シマノやダイワのUS向け取り説にも「たとえばWD40のようなウォーターリプレースメントスプレー」という形で出てくるほど、あちらではメジャーなもののようです。
 対するリールオイルはシマノの純正品です。
サンプル
 テストはベアリング入りラインローラーで行いました。ラインローラー部が共通のアルテグラ2000とバイオマスター2500を使います。
 ベアリングはシールを外して、他の部品とともに20分洗浄し、中のグリスを完全に取り除きます。その後、部品を15分間それぞれWD40とシマノ純正オイルに浸けます。
 組み立ててから15分放置してオイルをなじませてから、テストに入ります。
1塩水に浸ける
 海水の2倍の濃度にした食塩水をフィルムケースに入れ、ラインローラーを1分間浸けます。
2糸巻き
 そのまま軽くテンションをかけて糸を50m巻き取ります。これで食塩水がラインローラーの中のオイルに混じりこみます。
 糸の反対側にはベイトリールが付いていて、適度にキャスコンを締めています。

3繰り返し
 1と2を50回繰り返した後、最後にまた食塩水に1分間浸け、1日放置乾燥します。
 これを5日間繰り返しました。
4結果
 テスト後WD40のほうは、ラインローラーが回転しなくなりました。写真はテスト後のリール、ベアリングに塩の結晶が見えます。シマノ純正オイルの回転は異常なし、さて、ベアリングの中は・・・。
5ベアリングのさび
 左がWD40使用、右がシマノ純正オイル使用。WD40のほうは真っ赤にさびています。
さらに・・・
 性能の差は耐水・防錆性だけではありません。これは冷蔵庫(8度)で冷やしたWD40(左)とシマノ純正オイル(右)です。WD40のほうは完全に硬化してしまっていて、傾けても流れません。
 こんなものを、ワンウェイクラッチ式の瞬間ストッパーに使ったらどうなるでしょう?

 自動車のオイルで「トヨタ純正」とか「マツダ純正」というと、なんだかしょぼい感じです。だから「モチュール」とか「バルボリン」とかマニアックなブランドのオイルを入れる人もいます。でも、これはどちらも自動車用に作られたオイルなのですから、いいのです。

 これに対し、汎用オイルはリールのことなど考えて作られていません。いろいろなHPを見ると、思い思いのオイルを使っている人がかなりいるようです。じつは、これはとても危険なことなのです。 (2003/10/2)

 そうそう、シマノベイトについてくる小さい油さしに入ったオイルは、上の純正スプレーとは別物なのでご注意。 (2003/12/22)

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