転ぶ
道で転んだ。
当然ながら、痛い。
痛くなった足を見る
擦り傷が、少し。
今の俺にとっては
君を失った事実の方が
何倍も痛い。
心の傷は「擦り傷」どころでは無く
今でも止め処なく「何か」が溢れ出している。
それは、想い出なのか、未練なのか。
それとも行き場の無い後悔の念なのか。
別れは急に訪れる
まるで交差点に飛び出した猫の末路の様に。
不意打ちだけに心の「防御体制」は無いに等しく
直撃弾を受けた俺の心は
アルミホイルを握り潰したかのように
「クシャ」と頼りない音を立てて
潰れた。
時が解決する。皆はそういう。必ず。
そうだとするなら
別れたのと同じ、この季節がくると共に
急に襲われるこの「心の虚無感」は
一体、何だというのだろう。
新しい恋をすれば、忘れるよ。そうもいう。
そうだとするなら
新しい恋と「過去」を天秤に掛けようとする
この女々く答えの出ない「比較論」を
やってしまう俺は、
他の人より弱い心しか持ってないのだろう。
つまらない人生の中の想い出箱の中で
この過去は今のような鈍い光を
いつまでも放ち続けるのだろうか。